医療システムと必要医師数
■ 高齢化率
【千葉大学医学部附属病院長】
これは世界における人口の高齢化率の推移でございますけれども、黒いラインが日本ですが、1960年代、1970年代では、世界でも高齢化率の非常に低い国でありました。
それが1990年から2000年になりますと中ぐらいになりまして、現在は、2010年は世界でもトップレベルということでございます。これは、我が国における高齢化率が非常に高いというだけではなく、その進行が早いことを示しています。
高齢化の問題というのをそのまま先ほど申しましたように医療問題ということで置きかえますと、現在、我々が直面していっている喫緊の医療課題というものは、世界で類を見ないものであり、私たち自身で回答を探していかなくてはならないというものでございます。
これは全国の都道府県別の高齢化率をまとめたものでございますが、現在、既に沖縄を除く全都道府県で高齢化率は20%を超えております。
2020年には沖縄を除く都道府県で25%、スライドの左下の方の2040年では、東京、愛知、大阪などの人口集中地域でも30%を超えるようになります。
ただ、その後、2040年を過ぎてきますと、各地区で見ますと高齢化率は若干の低下がございますが、問題は東京が2040年以降も高齢化率が高くなっていくことです。
ですから、地方は違った意味での医療の大きな問題というのは先ほどのお話のようにあるわけですが、この高齢化で見ていきますと、高齢化による医療需要の増大というのは都会の問題であり、このような時間の経過からみますと、特に東京などは非常に大きな問題を抱えているということになります。
【目次】
P2 → 高齢化率
P3 → 高齢者数の増加
P4 → 医療圏による患者数推移の相違
P5 → わが国の医師数の動き
P6 → 医療問題は誰の責任か?
P7 → 医師数と医療システム
P8 → 病院での死亡者数の増加
P9 → 在宅医療推進の目的
P10 → 在宅死率30%の効果
P11 → 疾病コントロールによる効果
P12 → 循環型医療と医療情報の共有
P13 → チーム医療からIPW
P14 → 国立大学附属病院の役割と機能
P15 → 医療需要増加に対する対策