医療システムと必要医師数
■ 医師数と医療システム
【千葉大学医学部附属病院長】
医師数の方の話に戻りますが、これは千葉県における平均寿命をプロットしたものです。
ご存じかと思いますが、千葉県には、旭中央病院、亀田総合病院といったような、メガ病院がございます。そこの地区の平均寿命を見ますと、旭中央病院の地区で77歳、亀田総合病院の地区で78歳ということで、旭中央病院、亀田総合病院などの基幹病院があっても、平均寿命は必ずしも長くありません。
ですから、医療というものは、医師を集中させて大規模病院を1病院だけ建てましても、医療のレベルがぐっと上がるということではない。やはり診療所の役割も非常に重要であり、医療ネットワークを形成して地域の医療をポイントではなく平面として捉えていかないと、その地区の医療レベルというものは上がらないと考えられます。
多様化している現代の医療問題というのは、医師数の増員のみでは解決しないのではないか。
やはり医療体制というものを見直して、在宅医療の推進ですとか、疾病コントロールを進めていく、あるいは看護師などのコメディカル、あるいは病院の機能、そういったものの分担ということによって、医療の効率化ということも進めなくてはならないのではないかと存じます。
【目次】
P2 → 高齢化率
P3 → 高齢者数の増加
P4 → 医療圏による患者数推移の相違
P5 → わが国の医師数の動き
P6 → 医療問題は誰の責任か?
P7 → 医師数と医療システム
P8 → 病院での死亡者数の増加
P9 → 在宅医療推進の目的
P10 → 在宅死率30%の効果
P11 → 疾病コントロールによる効果
P12 → 循環型医療と医療情報の共有
P13 → チーム医療からIPW
P14 → 国立大学附属病院の役割と機能
P15 → 医療需要増加に対する対策