医療システムと必要医師数
■ 病院での死亡者数の増加
【千葉大学医学部附属病院長】
そこで、在宅医療、あるいは疾病コントロールというものが医師数にどの程度影響するのかということについて、述べたいと思います。
在宅医療ですが、ご存じのように我が国の患者の方々が亡くなる場というものは、非常に病院が多い。
ただ、このように病院でほとんどの方が亡くなるというような日本の今の現状というのはそれほど昔からではございませんで、1970年代の後半を境に自宅で亡くなる方と病院で亡くなる方が逆転しました。この三、四十年の傾向なわけですね。
その前はそのような傾向はなかった。世界で見ましても、日本では医療機関で亡くなる患者数というのは80%で、諸外国に比べても非常に多いという特徴があります。
病院で亡くなる方が多くなりますと、入院需要の増大、救急搬送への負荷、医師の負担の増大ということに、当然つながってまいります。
【目次】
P2 → 高齢化率
P3 → 高齢者数の増加
P4 → 医療圏による患者数推移の相違
P5 → わが国の医師数の動き
P6 → 医療問題は誰の責任か?
P7 → 医師数と医療システム
P8 → 病院での死亡者数の増加
P9 → 在宅医療推進の目的
P10 → 在宅死率30%の効果
P11 → 疾病コントロールによる効果
P12 → 循環型医療と医療情報の共有
P13 → チーム医療からIPW
P14 → 国立大学附属病院の役割と機能
P15 → 医療需要増加に対する対策