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明細書の無料発行義務化について

■ 9月7日の議論
 

[厚労省保険局医療課・ 屋敷次郎保険医療企画調査室長]
 これらの施設調査、患者調査の結果が出たところでございますが、本総会におきましては、各委員からご発言を頂いているところでございます。

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 (診療側の)鈴木委員、安達委員からは、「不要と考える方に対して無理やり明細書を発行するかどうか」「(1回もらって)あとは同じ内容であれば要りませんよという人たちがかなりいるけれども、診療内容が変わったときは医療機関はもう少し丁寧にすべき」といったご発言を頂いたところでございます。

 また、堀委員からは「歯科につきましては細かい中身が多過ぎる」、あるいは「より分かりやすい内容にする方向での検討が必要ではないか」、「診療報酬上、明細書として患者さんが見た時に、前回と同じことを行っているのに明細としては違ってくるような場合があるので、どういうふうにご理解いただくかのか検討課題ではないか」といったご発言を頂いたところでございます。

 また、(支払側の)白川委員からは、「明細書の発行を受けること自体は患者として当然の権利である」といった視点からのご意見。

 花井委員からは、「最初に明細書を発行する際に希望を聞いて、それ以降は、それにならって対応しているというのは、(発行の)趣旨からいうとどうなのか」、「(すべての患者に)無料発行していない施設において、今後整備予定はどうなのかといった観点が必要なのではないか」、あと「医療に関してのリテラシーが基本ではないか」といったご発言を頂いたところでございます。

 ▼ 支払側の白川委員が強い口調で診療側委員を恫喝、診療側が焦ったように苦笑いしながら白川委員の怒りを静めたという、まさに現在の中医協を象徴するようなシーンであった。前回改定前は、診療側と支払側との間で激論があった。詳しくはこちら。今となっては懐かしい。
 なお、下記は、9月7日の議事録の抜粋。白川発言の箇所にビックリマークを、診療側委員の発言末尾に(汗)を書き入れたいところ。森田会長が「もうこの話は、これで」と収めようとしたところ、勝村委員の後任の花井委員が挙手、この問題の主役であるのに森田会長が「これに関連してですか?」と尋ね、さらに「簡潔にお願いいたします」などと求めたあたりにも、現在の中医協ぶりが出ていて興味深い。
 
 ○ 森田会長
 御質問とか御意見がございましたら、どうぞ。鈴木委員、どうぞ。

 ○鈴木委員
 明細書なんですが、不要と考える方が2割から4割、今後について希望しないという方が3から4割ということで、かなり多いような気がするんですが、この方々に無理やり持っていってもらうようにということが1つあると思うんですけれども、毎回同じとか、そういうような方にまでそういうことをする必要があるのか。
 それと、当初、これは前にいらした勝村委員が非常に熱心に推進されたわけですけれども、勝村委員がおっしゃったのは、何十年後かに何かあったときに、それがあることが必要なんだということでおっしゃったと思うんですけれども、持ち帰ったとして、ずっととっておくという人がどのくらいいらっしゃるのか、そういうことまで調べないと、本当に意味があるのか。メモ用紙代わりに使っている人もいるという話も聞くし、その辺の保存とか、保管とか、そういうことまで含めて調査する必要があるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○森田会長
 事務局、どうぞ。

○屋敷保険医療企画調査室長
 今回の調査につきまして、持ち帰ったものをどれだけ保管したのかというところまではなかったわけでございますが、調査票作成の段階でも若干議論があったというふうに記憶しておりますが、例えば、本調査で行きますと、121ページ目、図表126のところで持ち帰り自体はおおむね8割、9割程度は持ち帰られているという結果は出てございます。
 また、訪問看護の部分につきましては、保管状況としては8割が保管をしているという結果が出ているところでございます。

○森田会長
 いかがでしょうか。ここでは、一応、調査結果についての御質問、御意見ということで、それについて、今後、診療報酬の改定その他でどのような形で取り組むべきかというのは、そのときに御議論いただければと思います。安達委員、どうぞ。

○安達委員
 関連してお伺いしますけれども、性格に多分数字が出しにくいから書いていない、患者調査票というのは、医療機関に送って、そこで患者さんに渡してくださいですね。だから、機会がなくてちゃんと渡し切れなかったのか、渡し切れたんだけれども、回答が来なかったのかがわからないんですが、この明細書は特に患者さんとの関連が強いので、回収率はどのぐらいなのかというのをお聞きしたいんですけれども、一般診療所の分は、およそ類推ができるんではないか。一般診療所、回収数が708件で回収率が41.6%ですから、ということは、1,600ぐらいの診療所にお出しになったことになるのかなと。
 そこで、1施設で一般診療所の場合はたしか3枚ずつですから、そうすると、5,000枚くらい多分配られている。それで回収が1,025枚だということは、回収率は20%と、そういうような考え方でよろしいんでしょうか。

○森田会長
 どうぞ。

○屋敷保険医療企画調査室長
 報告書の総-5-6の1ページ目及び4ページ目のところでございます。今、安達委員のところが御指摘になったとおりでおおむね結構でございまして、一般診療所でいきますと、1,700施設、最大3枚でございますから5,000枚。それで、回収の状況を見ますと、患者調査のところで、一般診療所患者調査の1,025でございますので、大体5,000分の1,025で約2割ということでよろしいかというふうに思います。

○森田会長
 よろしいですか。

○安達委員
 結構なんですが、データの解釈にも一種の制約が加わる数字なのかなという気はいたします。お答えになった方の中でも要らないという方もおられるんですが、では、残り8割の方は、そもそもどうなのか、興味がないのかなということを考えると、実際には、相当多くの方が本当は要らないとおっしゃっているのに等しいのかなと思えないでもない結果だろうなと、私は思いますが、ほかの方はどう思われるかです。

○森田会長
 白川委員、どうぞ。

○白川委員
 今の鈴木委員と安達委員の御意見は、私には全く理解できないんですね。そんな推測とか、思い込みで、この結果について数字を見ようと思えば、どういう解釈もできるわけで、確かに鈴木委員がおっしゃったように、勝村委員は、この明細書は将来、何か病気にかかったときのエビデンスになるんだからということを発言されました。
 それは事実ですけれども、我々が明細書を発行してくれと言ったのは、患者として当然の権利ではないですかということをベースに主張してきたわけで、自分が受けた医療がどういう医療で、それに幾ら払ったのかを知るのが患者の権利だというのがベースで申し上げているわけです。それで、要らない人がいるとか、そういう方もいらっしゃるでしょう、私は不要ですという方もいらっしゃいます。私は毎月医者に行っていますので、毎月同じような内容だから、1回いただいたら、あとは要りませんとお断りしていますけれども、そういう方もいると思います。ですから、それをこの調査結果を借りて、不要だというような意見を言われるのは、私にとっては非常に心外でございます。単に調査結果について、こういう結果だったということで、この内容について質問があるならしていただければいいし、検証部会のコメントが間違っているのであれば、間違っているというふうに御指摘をされればいいと思います。
 
○森田会長
 先ほども申し上げましたように、これは明細書の発行を今後どうするかというのは、また改めて議論の場があると思いますので、あくまでもこの検証結果についての御質問でお願いいたします。鈴木委員、どうぞ。

○鈴木委員
 白川先生、そんなにお怒りになるようなことなのかなと思うんですけれども、私どもも別に不要だとか、そういうことを言っているわけではなくて、要らないと言っている方に対して、持っていってくださいと、決まりですからというのもどうなのかなということを言いたかったということでございます。

○森田会長
 要らなかったという方がこれだけいたということが、1つの客観的な報告ですし、それについて、検証委員会の方でくだした結論について、御意見、御質問があればしてくださいということです。

○安達委員
 私も申し上げておきますが、白川先生が怒られたのでびっくりしましたけれども、一般の統計学の数値の読み方として、回収率が2割ということであれば、その解釈には一定の制限が加わるでしょうねと、マジョリティーが答えていないという意味で、そういうことを申し上げたと、そういうことだけでございますから、余り誤解のないようにしていただきたいと思います。

○白川委員
 安達委員の言い分はそのとおりです。統計学で2割の回収率で正確な数値把握ができるのかと、分析ができるのかと、それはそのとおりです。ただ、残りの8割の方の、多くも要らないんじゃないかと思っているのではないかというニュアンスの発言をされたので、それはおかしいんじゃないですかと、私は申し上げているんです。

○森田会長
 もうこの話は、これで、花井委員、これに関連してですか。

○花井委員
 私が黙っていると、勝村委員に怒られるので。

○森田会長
 では、簡潔にお願いいたします。

○花井委員
 簡潔にというか、説明についてなんですけれども、まず、分厚い方の24ページにあるところの、いわゆる明細書発行体制加算が診療所で77%と出ていて、23%では、一方では発行の現状は60.7%、差があって、これは仕方ないのかもしれませんが、この差というのは、加算を受けているからといって、必ずしも発行するということではないという数字として見ていいのかどうかが1点目です。
 それから、いわゆる発行の、分厚い資料の50ページですが、明細書発行に関する患者意向の方法で、最初に明細書を発行する際、最初の希望を聞いて、それ以降は、それにならって対応しているというところが33.2、38.4とあるんですが、ちょっとこういうのは、そもそも明細書発行の趣旨からいうと、いいのかなと、事務局としてどうお考えなのかなと、原則全員にやるということからすると、こういう形で最初に聞いて、あとは最初に要らないといったら、ずっと要らないと、さっきの議論とも関係があるんですが、こういう運用がいいのかどうかということと、それから、同じ分厚いページの163に、規則が22年で変わったんですかね、そうしたら、それを踏まえているにもかかわらず、今後予定がないと、下から5行目ですが、すべての患者が、明細無料発行していない施設事務所において、今後、整備予定や予定がないと言い切られてしまっていること自体は問題があるのか、ないのかということ、以上の点について質問です。
 それから、先ほどからの議論の件で、一言だけ言わせてほしいんですが、やはり要らないといっても、今後医療制度を議論するには、国民の医療に対してのリテラシーというのが基本としてあったと思うんですね。だから、むしろ説明というところでも、病院の方で明細書の見方とか、医療制度を議論する上でも、国民がこういうのを理解するという基礎になるデータなので、単純に個人的に要らないと言えば、要らないんですけれども、やはりできるだけこういうものを理解していってということを、やはり診療現場でもやっていただきたいなと思います。

○森田会長
 最後の点は、御意見だと思いますので、では、事務局お願いします。

○屋敷保険医療企画調査室長
 1点目の24ページ、図表36でございます。ここにつきましては、診療所におきます届出状況を記載しておるということでございますので、実際に、また算定をしているかどうかというところは、また別途の形になってまいります。
 2点目の50ページの図表67でございます。最初の希望どおりに運用しているということになりますと、最初に受け取った後、2回目以降受け取っていないというような事例について、制度の運用上どうかという御質問かと思いますが、恐らくこれは、毎回発行するということのうちに含まれるという考え方もございますし、趣旨からいきますと、一回伝わっていればよろしいという考え方もできるので、運用としては、明確にだめとか、いいとか、というところはなかなか言いづらいところでありまして、これはそれぞれ受け取られる側あるいは発行されている側の意見をお聞きしながらテーマとして取り組んでいくべき部分だと考えております。
 あと、3点目の今後の予定について予定がないということにつきましては、今のオンライン請求が免除されている条件というのが、今後、永久に続くところにつきましては、予定がないというふうに答えておられる可能性があるということでございますが、その基本的なスタンスにつきまして、云々につきまして調査は行っておりませんので、そこの部分については、この調査からは不明でございます。以上です。

○花井委員
 わかりました。個人的な意見になるかもしれませんが、やはり最初に要らないと言ったからずっと要らないという運用は、やはりちょっとよくないというふうに考えます。

○森田会長
 ありがとうございました。それでは、堀委員、どうぞ。

○堀委員
 細かい方は、今後の議論と言われてしまうと、なかなか発言がしにくいんですけれども、1つ明細書、今、鈴木委員が言われた、今後は不要だという回答について、歯科は患者さんの6割がそう言われているということで、そこについて、検証部会のコメントがないので、一言考えを述べさせていただきたいんですが、ちょっと歯科は、細かい中身が多過ぎるのかなと、結果として見てもわかりづらいんだろうと思います。これをもし活用するのであれば、この6割ということを踏まえて、今後、よりわかりやすい内容にしていただく方向で御検討をお願いしたいなという気がいたします。
 それから、これは今日の議論に妥当かどうかわかりませんが、1点、このほかに、今後、この検証結果を踏まえてどうするかということで、今、顕在化していませんけれども、例えば麻酔注射を行ったときに、これが算定できる場合と、例えば処置や手術に含まれて算定できない、つまり明細書に出てこないケースがありますし、また、初回の処置行為と2回目で点数が違う、あるいは月に2回しかできない、算定できないということが、結果として、同じ医療を御提供しても、患者さんが見たときに、前回と同じことをやっているのに違うというのが出てくる、こういった疑念が、これから明細書が普及していくと出てくると思うので、そういったことをどうやってわかりやすく御理解いただくか、そういう周知についても今後の検討課題ではないかと思っております。以上です。

○森田会長
 御指摘ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。どうぞ。

○安達委員
 今の花井委員のお話にもあるんですけれども、私が8割の方が回答していないのは要らないんでしょうかねと申し上げたのは、実は、白川委員もおっしゃっているように、1回来て、あとは同じだとすれば、同じ内容ですから、そのときは要りませんよという人たちがそのぐらいいる、その中にはかなり含まれるのかなと。
 だから、例えば2割ぐらいが、新患の方なら当然要るのかなと、そういうようなことも含んでいたわけで、花井委員の御指摘のように、診療内容が変わったとき、例えば同じなら要らないという意思表示をしておられたとしても、診療内容が変わったときは、医療機関の方は、もう少し丁寧に対応すべきかと、例えば変わりましたよと、だから改めてというような対応が要るんだろうなということはそのとおりだと思います。

○森田会長
 では、明細書の話は、このくらいでよろしいですか。(以下略)

 

【目次】
 P2 → 経緯
 P3 → 「正当な理由」
 P4 → 費用徴収
 P5 → 発行状況
 P6 → 意向確認等
 P7 → 患者調査の結果
 P8 → 9月7日の議論
 P9 → 論点


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