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ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会17


山口
「このモデル事業でご遺族から非常に感謝されているのは、間違いないのでないかと思う。モデル事業の目的のひとつは再発防止にあったわけで、医療への貢献という点から言えば、重要な再発防止策の提言ができれば、個々の事例を個々の病院にフィードバックして、その病院でどう生かされたかというだけにとどまらないで、それがもっと広い範囲で全国的に役立てばよい。その点では、医療機能評価機構が行っている事業と相通ずるものがあるので、そこはうまくコラボレーションしていかなければいけないと思っている。
 信頼回復につながって欲しいという話だが、モデル事業を始めたときは、ともかく死因を究明して、その結果をご遺族と病院に返すという点にポイントがあった。しかしその過程で、死因究明という点ではちゃんとできているのに、その説明や内容がご遺族にちゃんと伝わらない。死因究明がちゃんとできていることと、医療への信頼が回復するということは別のこと。先ほど田浦参考人から話があったように、事前に話を聞き、その疑問点に答える報告書にする。あるいは分かりにくい言葉には注釈を付ける。さらに、ご遺族から、報告書のあとに2週間、特別何か疑問のところはありませんかというフォローアップもする。それは本来の死因究明というところから更に一歩も二歩も踏み込んでいる。そういう意味で言うと、メディエーションとか説明役とか、ただ単に死因究明というだけでなく、医療者とご遺族との間のやり取りを仲介するような働きがなければいけないということを痛切に感じている。ただ、それがモデル事業の中に含まれるべき仕事なのか、それとも、病院にそういう仕事をするセクションがあるべきなのか。これは今後の検討課題で、それら全部をこのモデル事業が手を広げて答えを出そうとすると、現在の死因究明という点だけでも相当苦労しているので、別の方法がよいのではないかと個人的には思う。本来の医学的な判断だけではなくて、その周辺の新しい患者とのコミュニケーションを深めるような仕組みが、新しい制度と同時に出来ることを期待したいと思っている。
 また、必ずしもすべての事例をこの委員会がこなさなければいけないということではないだろうとも思う。大きな病院では、事故調査委員会の活動はかなり軌道に乗っている。そういう活動とコラボレーションして、病院に任せられるところは任せて、その結果をレビューするという形も十分あり得ると思う。
 病院での事故調査委員会の活動がどうやって公正性を保つか、それがどう担保されるかに対してある程度仕組みを整えれば、かなりの症例数を受け付けることができる。また、先ほど言ったように実務をもう少し効率化することによって、十分対応できるのではないかと私は思っている」
言葉としては「できる」だけれど、内容は「今のままではできない」と言っている。もっと明瞭に言えばいいのに、言えないか言いたくない事情があるんだろう。
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