文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

医療事故調検討会17


奥村
「まずプラスアルファのこと。今のサンプルサイズで、また十分な広報もされていない中では、正直に言って、いまのところ、あまりインパクトはないと言わざるを得ない。今後、こういった事業のやり方で拡大してやっていけるかどうか、そのフィージビリティーに関しても、人的パワーや時間的な問題があって、全部できますということは、とても言え
るような状況ではないと思う。であれば、どういったところがこういう事業の対象になるのかをきっちり絞って、例えば、本当に大病院であれば、独自の調査システムというものがきっちりとあるだろう。そういうものを持つことができない、立ち上げることができない規模の病院に絞ってやっていくということも、ひとつの考えかなと個人的には思う。
 医療不信に関しては、このモデル事業がもちろんそれなりの役割を果たしていけるだろうと期待はするわけだが、これだけの問題ではないとも思う。私は、14例中13例の事例では満足いただいたというふうにお話ししたが、それはあくまで、その評価結果に対して了解できたというものであり、半分ぐらいは感謝もしていただいているが、残りは、やはり治療中の医師から患者への言葉であるとか誤解も随分ある。だから、こういったことは、患者を診療する医者個々の資質というか、そういったところまで遡っていくと思う。
 これは医学部の教育から卒後の臨床研修とか、そういったところまで、医学教育ということで対処することも必要な問題で、もっと掘り下げて言うと、どういった人を医学部に入学させるかという選抜の問題にも関わってきて、非常に根の深い問題があると思う。モデル事業だけで医療不信を解消するのは難しいと考える」
ふつうに考えれば、これが現場の偽らざる実感ではないか。続く田浦参考人の発言で確信が強まる。

田浦
「拡大したときにできるのかということに関して、現場でも、やはりそのように思っている。例えば、24時間受付する時に、誰が受付するのか。それと、必要なのか。この世の中、なるべく夜の業務は少なくしていこうという時代なのに、失礼ながら、死んでしまった人はそれ以上悪化するわけでもなく、良くなるわけではない、継続する。そういう人を目の前にして、夜中に対応しなければいけないのかということもすごく疑問。
 それと、医療従事者がいま少なくなってきている。大きな病院でも小さい病院でも、そういう話をよく聞く。そういう狭間をぬってこういうモデル事業で、今と同じように看護師が調整看護師として働いてくれるだろうか、そういう看護師がいるのだろうかという疑問もある。このままやっていけるのか、という辺りの心配だけはいつも持っている」
そりゃそうだ。平凡な人があんなに気苦労のある仕事できるはずもするはずもない。結局4人が4人とも、このまま地域や範囲を拡大するのが可能だとは言わなかった。予想をはるかに下回る件数しかやってないのに、この有様である。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
loading ...
月別インデックス