現行医療計画の問題点について
■ 療養病床の調査
【河原和夫・東京医科歯科大学大学院教授】
次は、療養病床の調査です。
人口当たりにすると、東京都あるいは神奈川県の療養病床というのは、全国の5から4割ぐらいしかないのです。
これで今後やるかどうかといったとき、あるいは療養病床を運営している施設にアンケートをしたわけですが、いずれにしても赤字の施設は、例えばいまやっているところでは37%あります。
16頁ですが、これからやるかといったときに、「検討したことがない」というのが過半数になっています。
東京あるいは大都市で、こういう療養病床、福祉関係、老人関係の施設ができないのは、1つは土地単価、人件費が地方に比べて高い。その中で、診療報酬という公定価格、全国一律の価格でやっているということが問題で、医療計画がさらに実効性を上げるためには、手足が要ると思います。
先ほど社会理念を表明した計画と言いましたが、例えば診療報酬とリンクさせるとか、この場合でしたら東京版の診療報酬を作るとか、地域の多様なニーズに応じたような診療報酬の振分けも必要になってくると思います。
【目次】
P2 → 医療計画制度の目的等
P3 → 医療計画とその評価
P4 → 医療機能情報提供制度
P5 → 病床規制
P6 → 東京都のがん医療体制
P7 → 23区の救急施設全体でのカバー範囲等
P8 → A区の三次救急施設へのアクセス時間
P9 → 搬送に60分以上要する人口
P10 → 療養病床の調査
P11 → 山形県でのアクセス時間分析
P12 → 救命救急センターの最適エリア界
P13 → 献血者の動向、地理的分布
P14 → 周産期母子医療センターへのアクセス時間
P15 → 死者と重傷者の分布
P16 → 運転時間30分での転送可能領域
P17 → 医療計画の中の精神医療の位置づけ
P18 → 主たる医療職種の入学定員(平21)
P19 → 計画と評価の構造(行政計画)
P20 → 事業計画、実施計画の必要性
P21 → ある県の医療計画の目標
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