現行医療計画の問題点について
■ 医療機能情報提供制度
【河原和夫・東京医科歯科大学大学院教授】
それから、住民にとってわかりやすい計画なのかということで、医療機能情報提供制度を設けて、県内の各病院、診療所、歯科診療所、助産所に至るまで、やっていることの情報、差額ベッドの状況、どういう術式ができるか、そういうことも公表することになっているわけですが、これが一昨年ぐらいの研究でやりましたが、アクセスできない。
医療計画、医療法、そういう制度論的なことまでいくと、比較的アクセスが容易でしたが、例えば疾病あるいは症状ということで、一般の方が連想する選択肢では、なかなかアクセスできない。
アクセスしても、その情報が単に羅列してあるだけで、非常に使いにくい、専門用語も非常に多いということで、国民あるいは住民が利用しやすいような情報になっていない。
それから、この制度設計のときに、1つは47都道府県の仕様がバラバラです。47都道府県見てみたのですが、10県は少なくとも同じ会社が手掛けた仕様になっていますが、ほかは全然違うので融通性がないと。
それから、その情報を求める厚生労働省において、電子媒体でまとめる仕組みになっているのか、紙媒体なのかわかりませんが、私が当時お聞きしたところでは、紙媒体にしかまとめていないということで、1つはいろいろな情報を集める基本的な、有益なツールだと思いますが、こういうところも活用されていないと。
住民にわかりやすく伝わっていないということが、医療機能情報提供制度、わかりやすい医療を国民にというところでは、問題があると思います。
【目次】
P2 → 医療計画制度の目的等
P3 → 医療計画とその評価
P4 → 医療機能情報提供制度
P5 → 病床規制
P6 → 東京都のがん医療体制
P7 → 23区の救急施設全体でのカバー範囲等
P8 → A区の三次救急施設へのアクセス時間
P9 → 搬送に60分以上要する人口
P10 → 療養病床の調査
P11 → 山形県でのアクセス時間分析
P12 → 救命救急センターの最適エリア界
P13 → 献血者の動向、地理的分布
P14 → 周産期母子医療センターへのアクセス時間
P15 → 死者と重傷者の分布
P16 → 運転時間30分での転送可能領域
P17 → 医療計画の中の精神医療の位置づけ
P18 → 主たる医療職種の入学定員(平21)
P19 → 計画と評価の構造(行政計画)
P20 → 事業計画、実施計画の必要性
P21 → ある県の医療計画の目標
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