現行医療計画の問題点について
■ 医療計画とその評価
【河原和夫・東京医科歯科大学大学院教授】
それから5、6年経って、再来年ぐらいに、次の新医療計画というか、見直しの時期にきているわけで、この委員会の議論もその延長線上にあると思いますが、果たして、私の印象あるいはいままでやってきた研究の結果から、1つは、私も新医療計画の考え方を打ち出したときのメンバーでしたが、パラダイムシフトを起こしていない。
つまり、やり方というのが昭和60年の医療法の改正のときに医療法がスタートしたときから変わっていない。いわば病床規制と医療圏の設定、設立当時の必要的記載事項の部分が未だに機能している。
この機能の良し悪しは別としまして、ほか社会目標を表明したにすぎない。例えば救急医療を充実する、医師を確保するといっても、社会目標を充実しただけで、そこから先の具体的施策あるいは事業計画に至る詳細なプロセスが、全然見られない。
つまり、そういう現状から考えますと、本当にこの医療計画が必要なのか。何を目指すのかということが、はっきりしなくなっている。まして、TPPをどうするかという時代にきて、20年あるいは25年前の医療計画の考え方でいいのかということを、1つ議論する必要があると思います。
【目次】
P2 → 医療計画制度の目的等
P3 → 医療計画とその評価
P4 → 医療機能情報提供制度
P5 → 病床規制
P6 → 東京都のがん医療体制
P7 → 23区の救急施設全体でのカバー範囲等
P8 → A区の三次救急施設へのアクセス時間
P9 → 搬送に60分以上要する人口
P10 → 療養病床の調査
P11 → 山形県でのアクセス時間分析
P12 → 救命救急センターの最適エリア界
P13 → 献血者の動向、地理的分布
P14 → 周産期母子医療センターへのアクセス時間
P15 → 死者と重傷者の分布
P16 → 運転時間30分での転送可能領域
P17 → 医療計画の中の精神医療の位置づけ
P18 → 主たる医療職種の入学定員(平21)
P19 → 計画と評価の構造(行政計画)
P20 → 事業計画、実施計画の必要性
P21 → ある県の医療計画の目標
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