入院、外来、在宅医療について(総論)
■ 入院④ 地域に密着した病床
[厚労省保険局医療課・鈴木康裕課長]
次は入院の最後でございます。スライド37からです。
これはなかなかあの......、「地域に密着した病床」という分析の仕方が難しいので多々ご議論はあろうかと思うのですが、少し大胆に抽出してみようということで、スライドを提示させていただいております。
スライド38はすべての2次医療圏、348あります。その中で、医療圏からの患者さんの流出、これが少ないもの、20%未満が3割ありました。
恐らく、この流出が少ないものの中に、非常にその......、医療圏の中で、医療資源が充実しているので「他に行く必要がない」というものと、それから交通機関等々の理由によって、医療資源が乏しいけれども「他に行けない」というもの、そこで医療を受けざるを得ないというものが混在しているというように思われます。
ということで、それを少し細かく見てみようということで、医療圏当たりの医師総数、病床総数、それから病院総数で見たものが右の点線内です。
これはそれぞれに中央値が書いてございます。中央値より左にあるもの、つまり医療資源が乏しいものについては先ほど申し上げたような、流出はしていないけれどもその医療圏自体の医療資源が非常に乏しいというものになろうかと思います。こういう所を、多くは「医療過疎」と言われるような状況にあるということだろうと思います。
その状況を少し見たのが次のスライド39以下でございます。
39の左側は、先ほどの中の真ん中ぐらいの......、流出割合が20%未満で、かつ病床数が1000未満の2次医療圏、これは3つございます。8医療機関ですが、それと全国との間で看護配置の割合を見たものですけれども、やはりそういう所が13対1、15対1というのがどうしても多くなってしまうような状況でございます。
それから右側、これは日医総研のペーパーをお借りしたものでございますけれども......
これは総務省のほうで不採算地区と不採算以外という所に分けて......しております。不採算地区ですと、どうしてもやはり13対1、15対1のほうが多くなる。これはやはり、医師、看護職が集まらない、ということも1つあるかと思います。
それから下の所(スライド40)をご覧いただきますと......
特に右側をご覧いただければいいと思いますが、右側の......、ちょっと見にくいんですけれども、不採算以外の例えば一番下の15対1の所と......
それから一番下の「不採算地区以外の、DPC以外の所」をご覧いただきますと、上のほうが24日以内で退院するという比率が、下のほうの比率に比べて倍以上になっているということになりますので......
不採算地区ではどうしても13対1、15対1にならざるを得ないけれども、入院期間が短い差が多いということですので、そういう所ではどうしても人が集まらないけれども、やはり急性期以外の役割をきちっと果たしておられる部分があるだろうと思います。
これは病院団体等からの要望にもありますけれども、様々な加算......、これは加算に付いていた要件、例えば常勤の医師、専任の常勤医師などがありますけれども、そういうケアはやっているんだけれども、どうしてもお医者さんがいない、看護師さんが確保できないので加算が算定できないというような所になります。
それを少し抽出してみようということで、人口密度が平方キロメートル当たり300人未満の所と1000人以上の所を比較しました。
特に、緩和ケア、栄養サポートチームについて、病院の中での届出の割合を見ますと、やはり人口密度が厚いほうが、人口密度の薄いほうよりも加算の届出をしているということになります。
この加算要件と支払いのレベルとの関係を、人口密度の薄い所でどのように考えるかという問題があろうかと思います。
スライド42は、これは試みに、そうした地域に密着した病床が必要と考えられるような地域はどういうふうになるんだろうということで、先ほどの不採算地域、もしくは医療資源の問題、さらには離島加算の地域、そういうような地域......、様々な切り方があるだろうと思います。
【目次】
P2 → 医療を取り巻く環境
P3 → 社会保障と税の一体改革
P4 → 入院① 高度急性期・一般急性期
P5 → 入院② 亜急性期等
P6 → 入院③ 長期療養
P7 → 入院④ 地域に密着した病床
P8 → 入院⑤ 今後の方向性
P9 → 外来① 病院勤務医の負担
P10 → 外来② 病院の負担
P11 → 外来③ 大病院の負担
P12 → 外来④ 今後の方向性
P13 → 在宅① 死亡者数
P14 → 在宅② 看取り
P15 → 在宅③ 訪問診療
P16 → 今後の目標と課題