勝ち残るのは、やはり特定機能病院?
■ 「病院ごとの基礎係数という考え方がいい」 ─ 小山分科会長代理
[小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)]
今、特定機能病院の話が出ましたけれど、池上委員がおっしゃる通り、低い所は1.1いくかいかないか、多いところは1.25。ですから、15%ぐらい差があるわけですね。
▼ もっとあるのでは? 厚労省が前回(12月16日)の分科会で配布した資料によると、平成15年度DPC対象病院の最小値は1.0560、中央値1.1446、最大値1.2859(2010年8月1日時点)だった。詳しくは、こちらを参照。
これがもし、全く同じ係数が付くということになると、大変な混乱を生じてくるんじゃないかという風に思うんですね。ここはやっぱ、「統一しろ」ということであれば、「統一する」ということで仕方がないのかもしれませんけれども......。
私の個人的な考え方からすれば「基礎係数」というのも......、各病院ごとの「基礎係数」を計算する方向も、1つの方法としてはあるんじゃないかと思っています。
これを一緒にしてしまいますと、「限りなくコストを削減する」っていう方向に動いてしまって、まさに「粗診粗療」の方向へなびいてくる可能性は十分にあると思います。
今、「粗診粗療」になっていないのは、ある意味、「調整係数」で他の病院よりも負担になっているところが戻ってくるから、そこで頑張っているという考え方もあると思うんですね。
そういった意味では、群ごとに全部、「調整係数」を一定にしてしまうと、今度は逆にそういう弊害が起きてくるんではないかと思いますので、私の意見としては個々の病院ごとの「基礎係数」という考え方がいいのかな、という感じを持っております。
[三上裕司委員(日本医師会常任理事、東香里病院理事長)]
「調整係数」を廃止するということは、「統一する」という方向で行くこと。
ただ、それでも激変を緩和する必要があるので「基礎係数」をつくるという話なので、個々の「調整係数」の違いをですね、全てバラツキを認める形であれば、包括評価なんか本来できないって思いますから......。
私は、今の(小山代理の)意見は少しどうかな、という風に思います。(中略)
本当に、こういう形で報酬をあげるとすれば、根拠法の違う病院を分けるという方法が一番分かりやすい。例えば、国立病院とか社会保険病院であるとかですね、いわゆる減価償却の部分に公費が入っているとか、税金を払うか払わないかとかですね......。
(国立病院機構総合研究センター部長の伊藤澄信委員が苦笑いしながら何かつぶやいている)
そういったはっきりした違いによって類型化するというのが一番分かりやすいわけです。病床規模で分けるというのは全く根拠がなくて......。
今、200床問題というのが出ています。199床と200床で機能が違うということの根拠は全くないわけで、そこで大きく報酬体系が変わるということについては、やはりすごく違和感があります。
【目次】
P2 → 「医療機関群の特性に応じた設定を検討してはどうか」 ─ 厚労省
P3 → 「包括評価に『一定幅』という文言が分からない」 ─ 酒巻委員
P4 → 「基礎係数の中身が示されていない」 ─ 齊藤委員
P5 → 「個別に取り出して項目で評価するのは限界」 ─ 厚労省
P6 → 「A、B、Cはどういう区分けですか?」 ─ 齊藤委員
P7 → 「同一群であれば1つの数字」 ─ 厚労省
P8 → 「基礎係数はあくまで出来高を正確に反映」 ─ 厚労省
P9 → 「かなりの激変になるのではないか」 ─ 池上委員
P10 → 「病院ごとの基礎係数という考え方がいい」 ─ 小山分科会長代理
P11 → 「一本化できそうかデータを作って議論を」 ─ 伊藤委員
P12 → 「実際にいくつかの数字を出してみて」 ─ 相川委員
P13 → 「カラーの図で基礎係数がやたらデカイですよね」 ─ 吉田委員
P14 → 「25%という数字はあくまでも平成22年の時」 ─ 厚労省
P15 → 「調整係数が全くゼロになることは起こりえない」 ─ 西岡分科会長
P16 → 「個別調整をするのは適切でない」 ─ 厚労省
P17 → 「ある程度の合意になりました」 ─ 西岡分科会長
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