産科医療の現況と平成22年度診療報酬改定への要望
■ インセンティブ付与は実現したか
【海野信也氏(北里大学医学部産婦人科学教授)】
その中の一つに、ハイリスク分娩管理加算というものがございまして、舛添大臣は何とかこれで現場の先生、分娩手当などの形で報酬に充てるようということをおっしゃいましたし、実際に、その局長通知の中にも労働環境の改善策を講じられたい等の旨の記載がございます。
舛添大臣は記者会見で、これはとにかく待遇改善、処遇をよくする、診療報酬が上がった分はお医者さんたちにきちんと配分するということをお願いしたいということをおっしゃっておられました。
また、医政局の医療計画推進指導官も公式の場でそういうふうにおっしゃいました。
ですが、実際にこの16枚目の下段に、現場への反映状況という、日本産婦人科医会の本年度のデータがございます。
この下のほう、文字が小さくて申しわけありませんが、ハイリスク加算の還元というところがあります。ここが62の総合周産期母子医療センター、当然ハイリスク加算を算定すべき施設ですが、実際に算定しているのは44施設です。70%です。30%は算定していません。
それで、その中でハイリスク加算の還元があるというところは14%です。病院全体でいえば8%しか還元されていないということで、正直言って不十分なんです。
【目次】
P2 → 要望の内容
P3 → 分娩施設の減少
P4 → 産婦人科医の減少
P5 → 長時間勤務の実態 ①
P6 → 長時間勤務の実態 ②
P7 → 長時間勤務の実態 ③
P8 → 女性医師の割合 ①
P9 → 女性医師の割合 ②
P10 → 女性医師の割合 ③
P11 → 働き続けられる状況にない
P12 → 産科医療危機の展開
P13 → 産科医療のデススパイラルと脱却
P14 → 「勤務環境確保加算」の新設を
P15 → 産科・周産期救急の問題点等
P16 → インセンティブ付与は実現したか
P17 → 現場からのお願い
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