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ニュース〜医療の今がわかる

DPC病院のグループ化、報酬格差を付ける意図はない?

■ 「検証の仕方が足りないのではないか」 ─ 嘉山委員
 

[嘉山孝正委員(国立がん研究センター理事長)]
 今の(西岡)先生のお話を伺っていますと、やはり「なんとか係数」とかですね、「調整係数」とか、こういう類では本当は......。診療報酬は......、計算できないということを先生、おっしゃったと同じですよ。いくら調整しても調整しても、調整しきれない

 ▼ ドスの利いた声。会場内は緊迫した雰囲気に。

 私が前から主張しているように、DPCを導入するときから私は反対だった。実は。そんなことを言っちゃうと身も蓋もないんですが......。

 先生、それを総括してほしいんですよ。なかなかこういう係数ではやはり難しいんだということを、今、先生、いみじくもおっしゃったんですよ。

 つまりですね、何が言いたいかって言うと、やはり行った診療行為に対価する診療報酬体系、プリンシプルをきちんと立てない限り、調整、調整でやっていっても、いつまで経っても調整しきれないということを先生はただおっしゃっただけなんです。

 ▼ なんだか話が本題からそれてきた。2010年度改定の際、嘉山委員は診療報酬を医師に直接支払う「ドクターフィー」の導入を主張していた。

 ですから、私は......。ですから、それをはっきりと明瞭にですね、こういう風なことで「調整係数」では......、実態の......、診療報酬は打ち立てられないから新しいパラダイムを変えていくような議論したらどうだということをご提案なさった方がいいのではないかという気がします。

 ▼ あさっての方向に話が進んだせいか、遠藤会長はちょっと安心した様子。

 それから、あと......、もし検証して結論を出されるとすればですね、「調整係数」で評価しきれなかったということであれば、最初のDPCの立て方も何か問題があったと......。

 例えば、前年度の実績を基にしてDPCの係数を打ち立てたとか、そういうことに問題はなかったのか、あったのかということも検証してほしかったんですよ。

 ▼ 再び緊迫した雰囲気に......。

 そうすれば、もうちょっと良い、ベタライズした、より一層いい制度も出てくるんじゃないかと思いますが、その辺の......。最初のDPCのやり方が良かったのかどうか、全然、先生おっしゃっていらっしゃらないし......。

 ですから、その辺はちょっと......、検証の仕方が少し足りないのではないかなという気がして......。もう少し検証していただきたいなという希望なんですが。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 よろしいですか?

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 じゃ、西岡分科会長。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 この議論を続けてよろしいでしょうか......。これ、ちょっと、話が違う方向になるかと思うんですが、嘉山委員が反対であったというのは......。

 当時、私は大学の代表といたしまして、DPCに反対した立場でございます。(委員も傍聴者も爆笑)

 ▼ 年の功と言うのだろうか、緊迫した空気の中、笑いを取って一気に流れを変えてしまう。

 ですから、ちょっと......。これは別に置いておいていただかないとですね、この議論を続けますとですね、ちょっと具合が悪くなるんで......。(会場、爆笑)

 その中で、各施設の医療費を保証するために「調整係数」というものが出来上がったという経緯がございます。それでなんとか「調整係数」のおかげで......と言ったら変ですが、それによって各病院のデコボコが......あるんですが、それぞれの病院にとっては医療費収入が保証されてきたという経緯がございます。

 その「調整係数」をやめろというのをここ(中医協)でお決めいただいたものですから、それに代わるものの考え方を出すということで、先生のおっしゃっるパラダイムシフトになるんだと思うんですが......。

 その通りでございまして、そのところで、この「調整係数」が持っている役割を延々議論させていただきました。その中で、今申し上げたように、基本的なものを保証できるようなものをつくっておかないと、この「調整係数」を全てなしにしろということにしてしまうと、医療界が混乱してしまうというところでのスタートでございます。
 

【目次】
 P2 → 「私どもで資料を作らせていただいた」 ─ 厚労省
 P3 → 「今後さらに具体化の作業を進めたい」 ─ 西岡分科会長
 P4 → 「新しい提案であり一番議論になるだろう」 ─ 遠藤会長
 P5 → 「ぜひやっていただきたい」 ─ 西澤委員
 P6 → 「22年度改定後は白紙との決定だった」 ─ 厚労省
 P7 → 「意図的に階段状にする趣旨ではございません」 ─ 厚労省
 P8 → 「やはり基本的な部分がある」 ─ 厚労省
 P9 → 「中小の医療機関にとってさらに厳しい」 ─ 鈴木委員
 P10 → 「グループで分けた方が適切」 ─ 厚労省
 P11 → 「図の調整係数があまりにも大きすぎ」 ─ 北村委員
 P12 → 「どうやって『基礎係数』を決定するのか」 ─ 嘉山委員
 P13 → 「差があることが実は健全ではないか」 ─ 嘉山委員
 P14 → 「特定機能病院だから一塊ではない」 ─ 西岡分科会長
 P15 → 「検証の仕方が足りないのではないか」 ─ 嘉山委員
 P16 → 「調査、分析については合意が得られた」 ─ 遠藤会長


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