DPC病院のグループ化、報酬格差を付ける意図はない?
■ 「新しい提案であり一番議論になるだろう」 ─ 遠藤会長
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
(厚労省と分科会長の)お話の前半部分はDPCの現状、仕組みについてのご説明だったわけです。
これについては、時間のあるときによく読んでいただきまして......。(笑い) 不明なところは事務局(医療課)にお尋ねいただくという形にしたいと思います。
そこで、本日の具体的な審議の内容といたしましては、今後、調査専門組織(DPC分科会)が議論していく方向性について、中医協としてどう考えるかということを決めなければいけません。具体的には3つの課題があります。(中略)
▼ 資料「総─3─2」はこちら。
3つの検討課題があるわけですが、お聴きになって分かるように3番目(調整係数見直し後の医療機関別係数の在り方)が新しい提案でもありますし、一番議論になるだろうと思いますので、まずは1番目(精神病棟への対象の拡大)と2番目(1入院当たり算定方式への移行)を片付けてから、と思います。(中略)
(2つの論点について)大体、ご意見は出尽くしたと思います。分科会でのご意見とほぼ同じということです。(中略)ありがとうございました。
3番目の課題は(調整係数見直し後の医療機関別係数の在り方)ですが、これがまあ......、ある意味で大きな検討事項になると思います。最終的には7ページにありますように、「基礎係数」を「医療機関群」ごとに分けていくということ。
従来は、「調整係数」を減らしていき、その財源を「機能評価係数Ⅱ」というもので医療機関の機能を評価しようというものでしたけれども......。
まあ、それではなかなか十分ではないということで、むしろ「基礎係数」を何らかの基準で分けていこうという、ある意味で大きな発想の転換であるわけですけれども、こういうことをやってはどうかという......。
こういうことができるかどうかも含めて、分科会として検討していいかどうかという理解でよろしゅうございますね?
▼ 医療課・迫井正深企画官がうなずく。
従って、今の段階で「基礎係数」を医療機関別に分類するように、この仕組みを変えるということをここで決めるわけではない、こういう風に理解してよろしいですか? えーっと、これは事務局(保険局医療課)にきいた方がよろしいですかね......。
今、ここで議論する話はですね......。
[保険局医療課・迫井正深企画官]
私ども、そのような理解でおります。
[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
分かりました。従って、この制度を......。「この制度」と言いますのは......。
▼ 「DPC制度」を「DPC/PDPS制度」と呼ぶことを昨秋のDPC分科会で合意した。この日の総会でも異論はなかった。「支払方式としてのDPC」と「診断群分類としてのDPC」をきっちり区別しようとの趣旨だが、「支払方式を大きく変えますよ」という予告にも聞こえる。
「医療機関群」ごとに「基礎係数」に分けるということは、今後のDPC/PDPSの仕組みの枠組みとして考えるということではなくて......。
その前段階として、果たしてこの「基礎係数」をどのように分類することが合理性があるのかどうかということを検討するために、調査専門組織(DPC分科会)で議論を進めていただくということを決めていただくということであります。これが審議の内容です。
▼ 回りくどいが、つまり「最終ゴール」に向けて分科会をこのまま走らせていいかということ。
それに関連して、事務局(保険局医療課)提案として、「一定幅」という考え方をご提案されています。
▼ 平均値一本でバサッと切ってしまうと激変にあるので、それを調整しようという意味合いのものだろうか。とすると、この「一定幅」が「調整係数」的な役割を果たすのだろうか。そうすると、現行の「調整係数」75%をどうするかという話ではなく、バッサリ消えてなくなるのだろうか。
「基礎係数」の全貌がまだ分からないので、「調整係数を基礎係数に置き換える」とザックリ考えているが、1月13日の分科会で迫井企画官は、「基礎係数はあくまで出来高を正確に反映しているもの」と述べている。
DPCごとの報酬額は出来高算定の額をベースに使っているわけですが......、平均値を使っているわけですが、それに少し余裕を持たせようということで、膨らませたらどうかということです。
この「一定幅」は、ここだけに使わなくても、色々な、将来計算をしていく......、例えば、新たな「基礎係数」が出てきた場合、その計算過程においても出てくる可能性もあるので、そこでも使うとかですね......。
具体的なところはまた今後、出てくると思います。かなりテクニカルな話が一緒に出てきています。
▼ 遠藤会長は「答え」を知っている様子。「テクニカル」とか「技術的な問題」というのは一種の"中医協用語"で、「医療課長通知でやります」という意味もある。つまり、公開の場(中医協)で決める話と、医療課の専権である「通知」でやってしまう事項とを分ける場合に、「これは技術的な問題ですから」などと言葉を濁す。
「コンセプトの話」と「テクニカルな話」とが出てきているので、やや混乱すると思いますけれども、2つの提案が上がっております。
まず大事な所は、「基礎係数」を......。ここ(厚労省案)では「医療機関群」ごとにということですが......。
▼ 意見交換の前に、会長がこれほど整理するのは異例。
果たして分けられるのか、どういう「医療機関群」にしたらいいのか......といったようなことを「検討してみたい」ということ、このような理解でよろしゅうございますですね?
▼ 西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)がうなずいた。
はい。では、これについてご質問、ご意見どうぞ。
▼ 診療側の鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)と西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)がほぼ同時に挙手。
西澤委員、ちょっと早かった! 西澤委員、どうぞ。(会場、爆笑)
▼ クイズダービーか?
【目次】
P2 → 「私どもで資料を作らせていただいた」 ─ 厚労省
P3 → 「今後さらに具体化の作業を進めたい」 ─ 西岡分科会長
P4 → 「新しい提案であり一番議論になるだろう」 ─ 遠藤会長
P5 → 「ぜひやっていただきたい」 ─ 西澤委員
P6 → 「22年度改定後は白紙との決定だった」 ─ 厚労省
P7 → 「意図的に階段状にする趣旨ではございません」 ─ 厚労省
P8 → 「やはり基本的な部分がある」 ─ 厚労省
P9 → 「中小の医療機関にとってさらに厳しい」 ─ 鈴木委員
P10 → 「グループで分けた方が適切」 ─ 厚労省
P11 → 「図の調整係数があまりにも大きすぎ」 ─ 北村委員
P12 → 「どうやって『基礎係数』を決定するのか」 ─ 嘉山委員
P13 → 「差があることが実は健全ではないか」 ─ 嘉山委員
P14 → 「特定機能病院だから一塊ではない」 ─ 西岡分科会長
P15 → 「検証の仕方が足りないのではないか」 ─ 嘉山委員
P16 → 「調査、分析については合意が得られた」 ─ 遠藤会長