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DPC病院のグループ化、報酬格差を付ける意図はない?

■ 「やはり基本的な部分がある」 ─ 厚労省
 

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 では、私どもの方から、最初にご提案した趣旨をご説明させていただいて、分科会長に補足していただければと思っております。

 ▼ 迫井企画官、ここが最大の踏ん張り所。病院をグループ分けする提案は、医療費の大幅な抑制につながるので支払側は当然オッケー、公益委員もたぶん賛成だろう。
 診療側はどうか。元山形大学医学部長の嘉山孝正委員は強く反対しないはず。特定機能病院と他の病院群との間に格差を付ける提案なので、むしろウェルカムかもしれない。問題は中小病院の立場から発言する西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)、邉見公雄委員(全国自治体病院協議会会長)、鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)の3人だが、西澤委員は早くも賛成に回っている。邉見委員は欠席で代理人が出席している。そうすると、厚労省にとって最大の関門は鈴木委員1人になる。
 ところで、鈴木委員は中医協でいつも少数派だが、医療現場の声も同様だろうか。診療側委員の多数意見は現場の医師らの声を反映しているのだろうか。
 ちなみに、開業医の立場から発言するのは安達秀樹委員(京都府医師会副会長)。2010年4月の日医会長選挙で"親分"の京都府医師会会長・森洋一氏が鈴木委員の"親分"である原中勝征氏(当時、茨城県医師会長)に敗れたが、鈴木委員は中医協で日医の見解を全面展開するには至っていない。

 ご提案させていただいた趣旨は、資料の「総─3─2」の3ページから4ページにかけて、(分科会での)ご議論を踏まえた部分でございます。

 繰り返しになるかもしれませんが、「総─3─2」の3ページの一番下の白丸から次のページにかけてですが......。(中略)

○ 調整係数の廃止に向けた対応として、現状で調整係数が担っている役割や機能を全て、今回改定で導入された機能評価係数Ⅱに置き換えることは、今後さらに機能評価係数Ⅱの項目を拡大したとしても、不可能であり、機能評価係数では評価しきれない係数部分(平成22年改定の議論で提起された基本的な診療機能に対応する「基礎係数」)の設定を検討する方向で進めることが必要、との指摘がなされた。
 先ほどの説明に戻りますが、やはり現行の「機能評価係数Ⅱ」で評価しております様々なファクターは、基本的には診療のパフォーマンスですとか、とか、そういった評価をしています。
調整係数見直し後0113.jpg 「現行」の部分のブルーとグリーンと赤の数字を足した......、例えば「1.......」という数字を最終的に全ての報酬に掛ける、乗じるというのが現在の報酬算定の仕組みでございます。やや技術的な話で恐縮ですが......。

 例えば、ブルー(機能評価係数Ⅱ)の部分がある意味、診療実績とかそういったものを評価するような形での評価でございますと......。診療報酬はいずれにしても一定程度、診療を......にしているわけですから、どのDPC参加病院につきましても。

 ですから、少なくとも係数的に言いますと、1.0に相当するような基本的な診療部分基本的な基礎償還点数部分に関する部分は、何らかの形で確保しませんと、この報酬の算定方式自体は成り立たないということが議論の過程ではっきりしてきましたので......。

 ▼ とすると、現行の「調整係数」とは違う性質だろうか......。

 従いまして、従来、この赤い「調整係数」をすべてローマ数字の「Ⅱ」、ブルー(機能評価係数Ⅱ)に置き換えるアプローチを取ってきましたが、やはりここはオレンジ(基礎係数)のような基本的な部分がある程度あって、その上で、オプションと言いますか、あの......。

 インセンティブとして評価されるようなブルーの部分(機能評価係数Ⅱ)とに分けて置き換えを進めていったらどうかという、ある意味、考え方の整理をさせていただいたと、こういう趣旨でございます。

 併せて、オレンジの部分(基礎係数)については、単一で行うということではなくって、様々な機能の議論、様々なバラツキの議論、これを個別に......。

 例えば、いろんな施設基準でございますとか、いろんなマンパワーの配置とか、様々な観点でいろんな議論がなされるのですが、これを全て勘案することはやっぱり事実上不可能ではないかという側面もございました。

 ▼ 病院の様々な機能を診療報酬に反映させる「新たな機能評価係数」の議論が活発に行われていた2008年当時の担当者は宇都宮企画官(現老健局老人保健課長)だった。10年度改定の審議が本格化した09年10月、広島県健康福祉局長だった迫井正深氏が宇都宮企画官からバトンを受け取ったが、10年度改定に向けて新たな議論をする時間はなかった。
 改定をなんとか乗り切り、さあ次はどうしようかと考えたとき、効率的な進め方は、前任者が残した"垢"をすべて落とすこと。いや、捨てると言うべきか。過去の資料を整理しながら組み立てるよりも、自分のやり方で新たに構築した方がだんぜんスムーズ。「ガラガラポンにしちゃえ!」という気持ちは分かる。誰だって、この資料を見れば、「これをもう1回やるのか!」という気分になることは必至。結局、「調査専門組織」とはいえ、現在のDPC評価分科会のメンバーから何か新しいアイデアが出てくるとは考えにくい。「医療機関群に分ける」という厚労省案でほぼ確定だろう。

 むしろ「(医療)機関群」で分けて、「(医療)機関群」の平均としてそれを評価することで最終的に機能の違いなり体制の違いなりを包括的に勘案するということ考え方でどうかと、そういう趣旨でご提案させていただきました。事務局からは以上でございます。

 ▼ ところで話を戻すと、鈴木委員の質問は「考え方が変わったのか」だった。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、ありがとうございます。鈴木委員、どうぞ。
 

【目次】
 P2 → 「私どもで資料を作らせていただいた」 ─ 厚労省
 P3 → 「今後さらに具体化の作業を進めたい」 ─ 西岡分科会長
 P4 → 「新しい提案であり一番議論になるだろう」 ─ 遠藤会長
 P5 → 「ぜひやっていただきたい」 ─ 西澤委員
 P6 → 「22年度改定後は白紙との決定だった」 ─ 厚労省
 P7 → 「意図的に階段状にする趣旨ではございません」 ─ 厚労省
 P8 → 「やはり基本的な部分がある」 ─ 厚労省
 P9 → 「中小の医療機関にとってさらに厳しい」 ─ 鈴木委員
 P10 → 「グループで分けた方が適切」 ─ 厚労省
 P11 → 「図の調整係数があまりにも大きすぎ」 ─ 北村委員
 P12 → 「どうやって『基礎係数』を決定するのか」 ─ 嘉山委員
 P13 → 「差があることが実は健全ではないか」 ─ 嘉山委員
 P14 → 「特定機能病院だから一塊ではない」 ─ 西岡分科会長
 P15 → 「検証の仕方が足りないのではないか」 ─ 嘉山委員
 P16 → 「調査、分析については合意が得られた」 ─ 遠藤会長

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