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「患者と接したくない研修医がいる」―第6回医学教育カリキュラム検討会

吉村俊太郎さん.jpg 一方、順天堂大学を昨年卒業し、同大医学部附属練馬病院で研修中の吉村氏は、現在の医学教育の改善点について、「特にない」と回答。「1年から4年まで座学中心でテストをして、(基本的な)質問に答えられるような教育は必要だ」と評価した。

 その上で、実習で患者らと接する機会が少ないことを指摘し、「いきなりベッドサイドに出て、患者さんの前に『ポン』と置かれても戸惑うことが多い。人と人とが話す機会を与えられないことが多いので、看護師さんと接してみるとか、老人ホームなどの施設実習でお年寄りと会話することなどが必要」と述べた。

 吉村氏はまた、「1日がカルテをながめるだけで終わってしまう。患者さんのことを考える時間を増やさなければいけない。上の(指導医の)先生から、『この患者さんについて、お前はどう思うか』という問い掛けが必要だと思う。考えるチャンスを与えてあげる指導が必要だ」と指摘した。
 この発言に荒川座長は、「ないの? おかしい...」と驚いた表情で首をかしげ、委員からざわめきが起こった。

福田康一郎・副座長.jpg 福田康一郎・副座長(社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構副理事長)は、「私たちは質の高い医師になってもらいたくて、この検討会をやっている」と前置きした上で、次のように尋ねた。

 「今日、初めて公の場で(研修医の声を)聞いた。人と接するのが嫌だという(学生や研修医がいる)のは大変なことで、これをどうやって治していくか。医学生は、どういうスタンスで(医学部に)入ってきているのか」

 立花氏は「純粋に『医師になりたいな』と思って医学部に入る人もいるが、偏差値で大学を決めてしまうので、『一番難しいところに挑戦しようかな』という感じで、成績の良い人は医学部を目指す傾向があるのではないか」と明かした。

 ヒアリングの後、臨床実習前の医学生の行動などを評価する海外の論文を紹介した吉田素文委員(九州大医療系統合教育研究センター教授)は、研修医の発言について次のように感想を述べた。

 「臨床実習に入ってからでは遅い。臨床実習に入る前の段階で、入試で(問題のある学生を)はじいてしまうのが一番良いのだが、今の入試の方法でやるのであれば、われわれが医学教育の中で、低学年の段階で、『人と接するのが苦手である』ということを評価して、苦手であるならば臨床には進めないことを示して改善していく必要があるのではないか」

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