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ニュース:カテゴリー「医療/未然のお金」の記事一覧

 市民8団体が共同で『VPD(ワクチンで防げる病気)から子どもたちを守るための予防接種法改正に関する要望書』を作成し、30日、厚生労働大臣室で三井辨雄大臣と面会して手渡したそうです。(川口恭)

 この8団体は、「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」、「ムコネット Twinkle Days」、「ポリオの会」、「一般社団法人 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」、「+Action for Children」、「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会・支援ネットちば」、「先天性代謝異常症の子どもを守る会」、「胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会『肝ったママ's』」です。

 要望の内容は①必要な予防接種を国の財源で受けられるような法体系整備②現在は任意接種である、ヒブ・小児用肺炎球菌・HPV・B型肝炎・ロタ・おたふくかぜ・水痘の7種類のワクチンの定期接種化③特にヒブ・小児用肺炎球菌・HPVの3種類に関しては来年度からの定期接種化、の3項目でした。

 詳しくは、「+Action for Children」高畑紀一代表の報告をご覧ください。

 本日、野田内閣の不信任決議案と問責決議案が衆参両院に提出されたようです。以下に公開する記事は、9月号(8月20日発行)に掲載するものですが、このまま解散総選挙になったとすると、大変にピントのボケた記事になってしまう可能性もあることから、一足先にwebで公開いたします。各党の振る舞いを評価する上でも、面白い視座を与えてくれるのでないかと考えます。(川口恭)

3月20日発行の4月号に掲載の記事ですが、文中に出てくる『誤答弁騒動』が本当に『誤答弁』として処理されてしまったようなので、暗澹たる気持ちで先行公開します。

79-2-1.JPG専門家の意見と厚労省案をキーグラフ®比較
 予防接種法が、専門家たちの2年以上の議論を経て、改正されようとしています。厚生労働省の法改正案が、専門家たちの議論を正しく反映しているか、大澤幸生・東京大学工学系大学院教授にキーグラフ®解析(*)してもらいました。極めて興味深い差異が見つかりました。

委員.JPG 中医協の診療側委員5人が9月23日、大阪市内で開かれた医療フォーラムで診療報酬改定について議論し、会場の医師らと意見交換した。厚労省によると中医協委員が揃ってイベントに登壇した例はこれまでないという。会場からは地方の看護師不足を加速させたと言われる7:1入院基本料や入院中の他科受診の問題などのほか、在宅医療や有床診療所、薬剤費の問題など様々な意見が委員にぶつけられた。(熊田梨恵)

古川村重.JPG 久しぶりの『村重直子の眼』は、東日本大震災の救援活動を巡る話題です。非常に近接していながら没交渉な領域の住人どうしが議論をすると、こんなにもお互いに驚くものかと、それぞれの業界の人たちにとって新鮮な発見があることと思います。また一般人である私からすると、もう少し日頃から風通しをよくしてもらった方がイザという時には安心かな、という感想も湧いてきました。(川口恭)

DSC_0117.JPG 東日本大震災による津波で自宅を失い、兵庫県尼崎市で避難生活を続けている新妻清茂さん(福島県いわき市、80)は、「避難してから一度も戻れていないので、流されてしまった自宅がどうなっているか一度自分の目で見たいです。ここで避難生活を続けながら行き来して、あちらの様子を見ながらゆっくり復旧や、今後の生活を考えていけたらと思いますが、移動にお金がかかってしまうので難しいです」と話した。(熊田梨恵)

110107inovation.JPG 政府は7日、医薬品・医療機器分野を国の成長産業とするため、その研究開発部分を省庁横断的にバックアップする組織として、内閣官房に「医療イノベーション推進室」を設置した。室長と室長代行2人が官や政からではなく研究者から起用されたという点に目新しさを感じるところで、その3人が発足にあたって記者会見を開いたので、お邪魔してきた。(川口恭)

「地域」って、何?

12月21日の中医協慢性期分科会.jpg 「地域医療」「地域連携」「地域特性」......。医療記事を書く際に何気なく使っている「地域」という言葉だが、具体的にどこからどこまでが「地域」なのか分からない。医療における「地域」って何だろう?(新井裕充)

101016simpo.JPG 朝日新聞による東大医科研ペプチドワクチン臨床研究報道で、がん患者さんとがんに携わる医療者たちが騒然とする中、その医科研で16日に『シンポジウム がん医療と介護-親のための準備、何したらいいの?誰に相談したらいいの?』というものが開催された。軽い気持ちで覗いて来たら、あまり来場者は多くなかったものの、予想以上に面白かったので簡単に再現したい。(川口恭)

anada.jpg 子宮頸がん予防ワクチンの接種に適した年代の子供達への普及啓発を図るため、癌研究会は30日、中高生向けの公開講座を癌研有明病院(東京都江東区)で開いた。患者会の穴田佐和子代表は、抗がん剤の副作用による苦しみだけでなく、「女性という『性』を失うというメンタルな面」でのつらさも抱えるとして、子宮を摘出して子供が産めなくなったことなどから交際相手と別れたり、出産を諦めたりする女性もいると語った。(熊田梨恵)

100721tinzyou1.JPG 子宮頸がんワクチン接種への公費助成を求めて21日、毛色のかなり異なる23団体が合同で、長妻昭厚生労働大臣に要望書を提出した。5万2千筆あまりの署名も添えた。各団体の代表や付き添いが顔を揃えた結果、30人を超える大陳情団が大臣室を埋め尽くすことになり、熱気を目の当たりにした長妻大臣も「比較的前向きな答え」(同行の小宮山洋子代議士)をした。(川口恭)

7月16日のDPC評価分科会3.jpg 「医療の質」を判断する基準は患者満足度か、臨床研究の充実度か、それとも役人の方針に従うことか。「医療の質」の意味が不明確なまま、厚生労働省はすべての医療機関が目指すべき方向性として「医療の質の向上」を声高に掲げているが、調査手法はいまだ見えない。(新井裕充)

7月16日のDPC評価分科会.jpg 医療費抑制などを目的としたDPCの導入により、入院期間の短縮に追われる医療従事者の疲弊や粗診粗療の恐れなどを指摘する声もある。「医療の質」を調べる決定打を欠く中、厚生労働省は中医協のDPC分科会で「職員アンケート」を提案したが、賛否両論が相次ぎ紛糾した。(新井裕充)

 70の患者団体が連名で13日、がんの適応外医薬品への保険支払いを認める方向で検討するよう求める要望書を、厚生労働大臣など宛に提出した。適応外使用の問題を巡っては、かつて日本医師会の力が強かった時代に、医師の臨床上の判断を尊重し支払いを認めるとした『55年通知』が厚生省から出されているが、最近では有名無実化しつつある。代わって今年から『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』が設置され、適応拡大後の保険適応という手続きの、時間や費用のかかる道へ誘導されている。(川口恭)

6月23日の中医協.jpg 厚生労働省は6月23日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の薬価専門部会と総会を開催した。海外で承認されている薬が国内で使えない「ドラッグ・ラグ」や、大型製品の特許が切れる「2010年問題」などについて議論、医師の処方権を保障した「55年通知」による弾力的な運用などが争点となった。(新井裕充)

 国が昨年度から実施している、119番で救急車を呼ぶべきか判断に困った患者からの電話相談を受ける救急電話相談のモデル事業が、総務省内の「事業仕分け」で「廃止」と判定された。実際に廃止されるかどうかは選挙後の政務判断に任されているが、もしそうなれば国が描く今後の搬送体制の構築に大きく影響する可能性もある。(熊田梨恵)

100529fukuoka.JPG昨年末に政府の公表した新成長戦略では、医療・介護が今後の日本を支える産業分野として位置づけられました。しかし、医師不足に代表される医療崩壊が解決してもいないのに可能なんでしょうか、可能だとして、その手順はどうなるのでしょうか。人口あたり医学部数や医師数が日本の中では多く、活気あることで知られる九州で、識者や首長に熱く討論していただきました。(川口恭)

提出.jpg 子宮頸がん予防のワクチン接種に関する普及活動などを行う12の市民団体や学会らは28日、ワクチン接種の公費助成を求める要望書を民主党の小沢一郎幹事長宛に提出した。申し入れを受けた今野東副幹事長は子ども手当を使った助成も検討しているとして、前向きな姿勢を示した。(熊田梨恵)

 鈴木寛文部科学副大臣は6日、10年ぶりのプラス改定を果たした2010年度診療報酬改定について、「良かったのか悪かったのか、医療現場から何のフィードバックもないので、どういう受け止め方をしているのかつかみかねている」と述べ、医療界が国政に声を上げ続けなければ医療費抑制政策に舞い戻ってしまうと危惧した。(熊田梨恵)

100402murasige.JPG100402matsumura.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく、そんな企画に登場する2人目は、『周産期医療の崩壊をくい止める会』の事務局役として、福島県立大野病院事件の被告医師支援と、それに続く出産時死亡妊産婦の遺族支援という他に類を見ないユニークな活動に関して、実務を担当し続けている松村有子・東大医科研特任助教だ。(担当・構成 川口恭)

診療側委員0311.jpg 診療報酬改定などを審議する厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)が約50日ぶりに開催されたが、「中医協改革」を掲げる診療側から新たな提案はなく4月の開催を1回とすることで合意、中医協は平常時に戻った。(新井裕充)

 厚生労働科学研究として設置されていた『漢方・鍼灸を活用した日本型医療医療のための調査研究』班会議(黒岩祐治班長=国際医療福祉大大学院教授)は25日、「国民の期待は大きいけれど実状は瀕死という漢方の実態をさらけ出して、どうしたいのか問いたい」(渡辺賢治・慶応義塾大漢方医療センター長)と5項目の提言をまとめ、長妻昭・厚生労働大臣あてに提出した。(川口恭)

改定答申前2012.jpg  約300人分の座席が用意された厚生労働省2階の講堂には、200人を超える一般傍聴者や報道関係者らが集まった。答申書を足立信也・厚生労働大臣政務官に手交した中医協の遠藤久夫会長は「非常に積極的で今までにないような多様な視点からの議論を頂いた」と委員らに感謝の意を表した。(新井裕充)

診療側協議を終えて2010.jpg 「医療崩壊の解消に向けた第一歩と期待されたこの診療報酬改定が、単なる医療崩壊の診療所への拡大という事態に立ち至るだけではないのか」─。診療所の再診料を引き下げるか、その判断は国民を代表する立場の公益委員に委ねられたが、診療所の立場を代弁する委員の訴えは届かなかった。(新井裕充)

公益委員2010.jpg 「重点課題への対応、および外来管理加算の見直しに伴う費用増の予測困難性を鑑みれば、限られた財政枠の下では、診療所の再診料は一定程度下げざるを得ないと判断した。具体的な水準については財政影響を考慮しつつ、69点とする」─。診療所と病院の再診料をめぐる議論は、国民を代表する立場の公益委員の裁定で決着した。(新井裕充)

日経記事を見せる委員0208.jpg 地域医療は大病院や中小病院、診療所などが連携して成り立っているので、診療所の再診料引き下げは地域医療の崩壊につながるとの批判がある。このため、200床未満の中小病院の収支を改善させるために病院の再診料を引き上げるという"光"の部分を強調する考えもある。(新井裕充)

勝村久司委員(中央)0205.jpg 「散らかっている部屋に他人が入れば綺麗になる」─。医療事故や薬害を防止するため、医療機関が保有する情報をできる限り公開すべきだという考えがある。これに対して、患者のプライバシー保護の観点から、投薬や検査の内容、傷病名などの個人情報が他人に漏れる危険性を指摘する声もある。(新井裕充)

遠藤久夫会長1029.jpg 4月の診療報酬改定に向けた審議が大詰めを迎えている中央社会保険医療協議会(中医協)で、遠藤久夫会長は「価格をどう付けるかが優先順位だが、それについて中医協は事実上、関与してない。そこが非常に問題だと思っている」と述べた。(新井裕充)

診療側委員0127.jpg 救急患者の受け入れが困難なケースを減らすため厚生労働省は4月の診療報酬改定で、プラス財源のうち約4000億円を救急医療などに投入する方針を示している。全国に約200ある「救命救急センター」の診療報酬が増額されることはほぼ確実とみられるが、問題は二次救急を担う地方の中小病院。厚労省の担当者は、「二次救急はレベルがさまざま」と述べ、一律に評価することを否定している。(新井裕充)

中医協公聴会1.jpg 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」「訪問看護はボランティア」「医療崩壊を患者自身が痛感している状況は異常」─。4月の診療報酬改定について国民から意見を聴く中医協の公聴会で、福島県内の医師や看護師、患者らが医療現場の窮状を訴えた。(新井裕充)

1月20日の中医協.jpg がんを切らずに治す「重粒子線治療」など保険適用が認められていない先進医療は多額の自己負担金が必要になるため、早期の保険収載を求める声がある。これに対し、「設備のランニングコストが年に40億か50億掛かる」などと反対する意見もある。「普及すると医療費が増える」という考えだが、「普及すればトータルコストは下がる」との声もある。(新井裕充)

 厚生労働省の足立信也政務官は19日、15日に中央社会保険医療協議会(中医協)に諮問した来年度診療報酬改定案の基本的考え方として「地域医療をしっかりやっている開業医の再診料と外来管理加算の合計額を減らすつもりはない」と述べた。来年度改定では、診療所(71点)と病院(60点)とで異なっている再診料を同一に揃えることが決まっており、開業医らからは診療所の点数が引き下げられるのでないかと警戒する声も多く出ている。(川口恭)

0113hpvvaccin.JPG 昨年末に販売開始された子宮頸がんワクチンがメディアを随分と賑わせていて、何となく自分もそれなりに事情を分かったつもりになっていたが、実際には何も分かっていなかったようだ。13日に国立がんセンター中央病院で開かれたシンポジウムに参加して、そのことを痛感した。(川口恭)

12月18日の中医協.jpg 厚生労働省は12月18日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の保険医療材料専門部会、総会、基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行った記者ブリーフィングの概要をお伝えする。(新井裕充)

1216suzukan.JPG 文部科学省の鈴木寛副大臣は16日、癌研究会研究所で開かれた講演会で、この日計画を見直した上で予算の復活が認められた次世代スーパーコンピュータに関して、「皆さんもぜひ使ってほしい。基礎の創薬も考えられるが、それ以上に考えていただきたいのは患者情報のデータマイニング」と、医療界にも開かれたインフラであることを説明した。(川口恭)

桜井会長(中).jpg 民主党の国会議員から成る「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長は15日の会合後記者会見で、2010年度診療報酬改定に向けて議連としての提言をまとめていくため、医科や歯科などに分けた個別の検討チームを立ち上げて議論を進めていく方針を明らかにした。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員から成る「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長は15日の会合後記者会見で、14日に厚生労働省の足立信也政務官が2010年度診療報酬改定で本体部分に1.73%の引き上げが必要との認識を示したと報道されていることについて、「不十分以外の何物でもない」と述べ、マニフェストで約束した医療費増額を実現するには足りないと主張した。(熊田梨恵)

 文部科学省の鈴木寛副大臣は15日、行政刷新会議の「事業仕分け」で国立大学法人運営費交付金の位置付けなどについて見直しを求める判定が出たことについて、医療界に対する影響はないとの見解を示した。(熊田梨恵)

12月11日の中医協.jpg 厚生労働省は12月11日、中央社会保険医療協議会(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の保険医療材料専門部会と薬価専門部会、基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行った記者ブリーフィングの概要をお伝えする。(新井裕充)

 文部科学省の鈴木寛・副大臣は11日、都内で開かれたシンポジウムの中で、80年以降増えていない大学医学部を「新設するかどうか、来年から議論を深めていく場を設けることが決まっている」と、医師養成数をさらに増やすために医学部新設も視野に入れていることを明らかにした。(川口恭)

製薬業界代表1209.jpg 厚生労働省は12月9日、中央社会保険医療協議会(会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会と薬価専門部会を開催した。予定していた保険医療材料専門部会と基本問題小委員会は中止になった。会議終了後に厚労省の担当者が行った記者ブリーフィングの概要をお伝えする。(新井裕充)

12月9日の中医協.jpg 診療報酬の引き上げを求める声は、国民を代表する立場の公益委員には届かなかった。約2時間の密室協議の末、公益委員は「中医協として診療報酬改定についての意見を(厚生労働大臣に)具申することは行わない」との決定を下したが、診療側からは「1号(支払)側の意見を公益委員が採り入れた」など不満の声が上がっている。(新井裕充)

12月4日の中医協.jpg すべての病人を救うか、優先順位を付けるか。すべての命を平等に扱うのか、"無意味な延命措置"があると考えるのか。医療サービスに優先順位を付けるなら、「医療費全体の底上げ」は矛盾しないか。平等な医療提供を求めながら、「医療費のメリハリ」を口にするのは矛盾しないか。(新井裕充)

梅村事務局長(左)、桜井会長(中)、辻副会長.jpg 民主党の国会議員でつくる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は4日の記者会見で、医療費増額を求めていく際の財源について、保険料の引き上げは税金で賄うとして、一定の窓口負担増も有り得るとの見解を示した。(熊田梨恵)

高嶋筆頭副幹事長(右)、桜井会長.jpg 民主党の国会議員約160人から成る「適切な医療費を考える議員連盟(桜井充会長・参院議員)」は4日、診療報酬のプラス改定や補助金増額などを求める決議文を、陳情対応を取りまとめる高嶋良充筆頭副幹事長に提出した。桜井会長は会見で、「9日の段階で『最重要項目』として内閣に申し入れしていただきたいというお願いをした。9日にどのような取扱いを受けるかによって今後を検討していきたい」と述べた。決議内容は他分野からの要望とともに、幹事長室で予算編成に向けた精査を受ける格好となり、民主党がマニフェストで約束した"医療費増額"であるにもかかわらず、一筋縄ではいかなさそうだ。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員160人から成る「適切な医療費を考える議員連盟(桜井充会長・参院議員)」は3日、2010年度診療報酬改定で「ネットでプラス3%以上」の改定を求める決議文を、明日にも幹事長室に提出することを決めた。補助金で医療クラークなどを10万人雇えるようにすることや、「事業仕分け」の対象になった「医師等人材確保対策の推進事業」の予算の倍増、漢方薬の保険適用の継続も求める。(熊田梨恵)

12月2日の中医協.jpg 厚生労働省は12月2日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会と基本問題小委員会、薬価専門部会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

 「民主党の上の方の人たちは大学病院とかは見ているけど、本当の意味での現場、地域のところは見ていないんだよ」―。民主党の国会議員でつくる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は1日、現政権が考える医療政策に対する不満をあらわにした。桜井会長は今週末にも医療費増額を求める要望を行い、その後は医療・介護政策全般を幅広く扱っていく考えだ。ただ与党内からは、「議連がうまくやれば身動きが取れなくなっている政務三役を助ける連携プレーになるが、ヘタしたらただの内ゲバ」との声も聞かれる。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員約120人が集まる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は1日の記者会見で、予算編成終了後は議論の幅を医療・介護政策全般に広げていくとの方針を示し、今後の活動内容が来夏の次期参院選の医療マニフェストにも影響する可能性を示唆した。(熊田梨恵)

 民主党の国会議員からなる「適切な医療費を考える議員連盟」の桜井充会長(参院議員)は1日、国会が閉会する4日までに、厚労省と財務省の政務三役に対し、医療費の増額を要望する方針を明らかにした。小沢一郎幹事長にも同様に求めていくとして、「これをやらないと選挙は勝てない。医療業界の関係者はみんな民主党の政策に期待している」と述べた。(熊田梨恵)

11月30日のDPC評価分科会.jpg DPCを導入している病院の延命に重大な影響を与える「調整係数の廃止」をめぐる問題で、厚生労働省は新たに「基礎係数」という概念を持ち出した。厚労省の担当者は「"ブラックボックス"を設定するつもりではない」などと釈明しているが、信用できるだろうか。(新井裕充)

 「人口密度が低かったり、インフラが整っていなかったりと、地域間格差があるために診療報酬で賄い切れない医療提供体制の部分をカバーするのが、補助金の役目。だから補助金をゼロにされる困るのです」―。行政刷新会議の「事業仕分け」で救急・周産期医療に関する補助金が削減される判定が出された際に抜け落ちていたポイントについて、周産期医療制度に詳しい海野信也北里大産婦人科教授に聞いた。(熊田梨恵)

 「これでまた"墨東"の悲劇が起きた時に仕分け人はどう責任を取るのか」-。「事業仕分け」でNICU(新生児集中治療管理室)不足を解消するための支援策を盛り込んだ周産期医療に関する補助金が削減される判定が出たことについて、日本未熟児新生児学会の田村正徳理事(埼玉医科大総合医療センター小児科教授)に聞いた。(熊田梨恵)

左から吉村顧問、河野副会長、小川会長、嘉山委員長.jpgのサムネール画像 行政刷新会議の「事業仕分け」作業で診療報酬配分の見直しによって2010年度診療報酬に対応するよう求める判定が出たことについて、全国医学部長病院長会議(小川彰会長)は26日、鳩山由紀夫首相らに対し、「マニフェストを無視するものであり到底容認できない」とする声明を提出した。中医協委員も務める嘉山孝正同会議委員長は27日の会見で、次回改定で病院の入院基本料を50%引き上げるよう要望した。(熊田梨恵)

 妊婦の救急け入れ不能の原因の一つとされるNICU(新生児集中治療管理室)不足を解消するための支援策を盛り込んだ事業が、「事業仕分け」で「半額計上」と判定されたことを受け、日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)は26日、補助金削減に反対する緊急声明を藤井裕久財務相らに提出した。(熊田梨恵)

櫻井会長.jpg 民主党がマニフェストで約束した医療費増額を実現させるため、民主党議員で作る「適切な医療費を考える議員連盟」が26日に発足した。まずは2010年度診療報酬改定がプラス改定となるよう、来月半ばに厚生労働省の政務三役に提言を提出する。医療費については財務省が診療報酬を引き下げる方針を打ち出しており、梅村聡事務局長は「政務三役を応援していく立場」と議連について述べるなど、年末の予算編成に向けて医療費をめぐる攻防が本格化してきたとみられる。(熊田梨恵)

 慢性期医療などの分野に保険外サービスを充実させて地域インフラを構築するとして、経済産業省が来年度予算に32億円を概算要求した事業について、行政刷新会議のワーキンググループは25日「廃止」と判定した。経産省は保険外の民間サービスと保険給付の医療・介護サービスの連携の重要性を訴えたが、仕分け人は混合診療など規制緩和を省庁間で協議すべきと述べるなど、議論は全く噛み合わなかった。(熊田梨恵)

 国立大学医学部長会議「大学医学部の教育病院の在り方に関する検討委員会」の嘉山孝正委員長は25日、「事業仕分け」で国立大運営費交付金の内容を見直すよう求める判定が出たことについて、「これで交付金の削減が毎年続くようなことになったら大学附属病院はアウトだ」とコメントした。(熊田梨恵)

 「事業仕分け」を行う行政刷新会議のワーキンググループは25日、国立大が2004年度に法人化されて以降、毎年1%ずつ削減されている国からの「国立大学法人運営費交付金」について、位置付けなど在り方自体を見直すよう求める判定を出した。議論は文科省から国立大への出向職員や、大学経営と教育研究のバランスの問題などに集中。大学附属病院については、法人化以降の収入が全体で「1225億円の増」と数字が読まれた以外、議論はなかった。(熊田梨恵)

 鈴木寛・文部科学副大臣は24日、事業仕分けで科学技術研究予算の縮減や廃止が相次いだことに関して、「事業仕分けを国民の75%が支持している。科学コミュニティーの自律が足りず、一般納税者の支持を得る努力、若手研究者の声を聴く努力をサボってきたことのツケが現れた。きちんと現実を受け止め、自分たちのあり方も見直していかなければならない。政治家も反省する」と述べた。

大谷貴子委員1116.jpg 2010年度診療報酬改定の基本方針を審議する社会保障審議会の委員に就任した「全国骨髄バンク推進連絡協議会」の大谷貴子会長は、厚生労働省の原案を「患者の視点に立っていない」と批判した上で、基本方針に「患者の負担軽減」を盛り込むよう求めている。(新井裕充)

西澤寛俊委員(中央)1120.jpg 重症患者を受け入れる「救命救急センター」に軽症・中等症の患者が流れ込む"三次救急の疲弊"を改善するため、厚生労働省は療養病棟の救急受け入れを診療報酬で評価する方針を打ち出したが、病院団体などから反対意見が続出している。(新井裕充)

11月20日の中医協2.jpg 厚生労働省は11月20日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の薬価専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

11月18日の中医協.jpg 厚生労働省は11月18日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の総会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

 今月7日の『現場からの医療改革推進協議会』の中で、ぜひ皆さんに紹介したいなと思いながら、しかしあまりにも発表が早口だったためメモが追いつかずにいたものがある。簡単な文字起こしができてきたので、ご紹介する。発表者は、財務官僚で現在は預金保険機構金融再生部長に出向中の松田学氏だ。医療界の方々が「当然」と思っていることが、本当に当然のことなのか考えてみていただけると幸いだ。(川口恭)

坂本委員、北村委員1113.jpg 管理栄養士、診療放射線技師、臨床工学技師らの「コメディカル」は決して「小メディカル」ではないのに、病院のヒエラルキーの下では医師、看護師、薬剤師らに次ぐ位置付けで扱われることが多いと聞く。しかし、来年度の診療報酬改定によって、コメディカルの確保が病院経営に大きな影響を及ぼす可能性が出てきた。(新井裕充)

11月13日の中医協02.jpg 厚生労働省は11月13日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の保険医療材料専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

長妻昭厚労相1113.jpg 診療報酬の配分を見直す「事業仕分け」への対応などをめぐって中医協が炎上した。診療側委員は中医協として慎重を求める声明を出すよう主張したが、支払側委員は時期尚早論。診療側委員の「責任を取ってください」との発言に支払側が逆上したところで長妻昭厚生労働相が入室、「激しく、時には優しく議論を活発に」などと挨拶した。(新井裕充)

鈴木委員(左)と嘉山委員1111.jpg 認知症の患者が増加する中、厚生労働省は「認知症疾患医療センター」を中心とする対策を進めようとしているが、まだ全国に51か所しか整備されていない。厚労省は、同センターと地域のかかりつけ医との連携を重視しているが、果たしてうまくいくのだろうか。(新井裕充)

 明日から事業仕分けが始まる。医療に対しても大鉈が振るわれるとの事前予測も流れている。担当の仙谷由人大臣は7日の『現場からの医療改革推進協議会』で、医療に対してどのように取り組むかのスタンスを語っていた。ワーキンググループの動きが、整合性の取れたものになるか検証できるよう、あらかじめ記述しておく。(川口恭)

嘉山孝正委員(中央)1106.jpg 「ですから、まさに佐藤君が答えた通りで、今の医療崩壊を招いたのはそこなんですよ。つまり、あなたは『算定した』と言っているけれども、医師の技術料があまりにも低いために医師が立ち去り型になって崩壊したんです」─。新体制3回目の中医協で、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が厚生労働省を質問攻めにした。(新井裕充)

鈴木、嘉山、安達委員1106.jpg 再診料をめぐり、病院と診療所の外来診療が「同一の医療サービス」といえるかが問題となっている。中医協の支払側委員は、「同一の医療サービスを受けた場合は同一の料金にすべきというのが基本」という姿勢を前回改定から崩していない。(新井裕充)

11月6日の中医協2.jpg 「誘導するようなデータを厚生労働省は出してはいかん」「回収のバイアスがあるのではないかというのが我々の印象」─。新体制の中医協で、厚労省が劣勢に追い込まれている。窮地を救うのは、診療側の西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)か、それとも邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)だろうか。(新井裕充)

 鈴木寛・文部科学副大臣は7日、都内で開かれたシンポジウムの席上で「小児医療をやっている機関は、これまで厚生労働省に税配分を求めるロビー活動をしてきたと思うが、子供手当ての創設に伴ってお金の流れが変わるので、今後は子供を抱える家庭に対してプレゼンテーションして直接支援を求めていくということが可能になるし、そうなることを期待している」と述べた。(川口恭)

11月4日の中医協.jpg 厚生労働省は11月4日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の薬価専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

遠藤会長と嘉山委員1104.jpg 「この資料はもう渡されている。DPCの医療費を決めるのであれば何が問題になっているかを議論したほうが国民のためになる。ただ座って説明を聴いているだけ。委員になる先生方のようなIQがあれば分かることだ」─。新体制で再開した2回目の中医協で、新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が中医協改革にのろしを上げた。(新井裕充)

保険局医療課・佐藤敏信課長1030.jpg 小児救急の改善策として厚生労働省は、「小児科医の数は増加している」とした上で、「トリアージ体制」や「小児救命救急センター」などを2010年度の診療報酬改定で評価する方針を示している。小児科医や看護師らが充足しているなど救急受け入れ体制が整っている病院を手厚く評価する意向だが、「地方はピンチな状態で小児科医が辞めている」との異論もある。(新井裕充)

再開した中医協2.jpg 「決して誘導されませんから、もう少し踏み込んだ形のものを書いたほうが議論になりやすい」─。新体制で再開した中医協で、遠藤久夫会長が厚生労働省側に要望した。「シナリオはもう変わらない」という自信だろうか。民主党が掲げた「中医協改革」が頓挫したことへの勝利宣言だろうか。(新井裕充)

再開された中医協1030.jpg 「私の身分は日本医師会に所属する日本医師会の会員。日本医師会も可能な限り私をバックアップする」─。1か月ぶりに再開された中医協で、新任の安達秀樹委員(京都府医師会副会長)が力強く言い放った。厚生労働省の担当者が資料をダラダラと説明する議事運営も従来通りで、中医協の位置付けも変化がない。1人気を吐いたのは新任の嘉山孝正委員(山形大学医学部長)だけだったと言うべきか。(新井裕充)

 最先端研究開発支援プログラム執行の凍結を解除する方針を決めた22日の総合科学技術政策担当大臣(菅直人氏)と総合科学技術会議有識者議員の定期会合の議事要旨が30日、内閣府のサイトで公開された。選考過程の不透明さが指摘されていた「支援会議」や「ワーキングチーム」を棚上げしようとする津村啓介政務官に対して、榊原定征・東レ社長が激しく抵抗した形跡が残っている。榊原社長はワーキングチームの一員であり、そして東レ顧問の研究が採択30件の中に含まれている。(川口恭)

北村善明・日本放射技師会会長.jpg コメディカル代表として中医協の専門委員に内定した日本放射技師会の北村善明会長がチーム医療の推進に意欲を見せている。「実際の現場ではチーム医療ではなく医療チームになっている。医師以外の職種がどれだけモノが言えるか、発言できているか」と指摘、医師を含めた「メディカルスタッフ」という言葉を提言している。(新井裕充)

 文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、プロジェクト採択の正当性などをめぐり問題となった最先端研究開発支援プログラムを教訓に、国内で研究職を志す人がキャリアデザインを描けるような体制を再構築する必要があると主張した。(熊田梨恵)

 文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、来年度予算の概算要求に絡み、「結局財務省が認めるかどうかだが、ぜひお願いしたいのは、新政権は誰ともしがらみがない。したがって現場の声、世論が本当に重要。有権者の皆さんが真に何を望んでいるかという事のご意向に、ものすごく左右されると思う」と述べ、医療現場から新政権に対して声を上げてほしいと求めた。(熊田梨恵)

 文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、同省の来年度予算概算要求で医療に関する分野について、「大事なことは教員をはじめ、教育体制を整えていくという事。その観点で予算要求をした」と述べ、特に医学部の教官の増員などへの重点配分を考えているとした。(熊田梨恵)

佐藤敏信医療課長090709.jpg 中医協人事を発表した10月26日の会見で、長妻昭厚生労働相は終始メモに目をやりながら歯切れの悪い回答を繰り返した。年金問題を追及したかつての"勇姿"はなく、今にも泣き出しそうな痛々しい表情。対照的だったのが厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長で、説明に窮する長妻大臣に強い口調で助け船を出すなど、大臣との"上下関係"を記者団に見せ付けた。(新井裕充)

中医協人事質疑1026.jpg 「5人のお医者様すべてが日本医師会の会員」「安達先生は(日本)医師会の診療報酬検討委員会の委員長で診療報酬に関しては権威」─。日医執行部を外す中医協人事を発表した10月26日の会見で、長妻昭厚労相は"日医外し"の人事ではないことを強調した。長妻厚労相の質疑応答は以下の通り。(新井裕充)

中医協人事会見1026.jpg 今月1日で任期切れとなった中央社会保険医療協議会(中医協)の委員について、長妻昭厚生労働相は10月26日午後7時から厚労省内で会見を開き、支払側委員2人、診療側委員4人、専門委員1人の計7人を改選する人事を発表した。日本医師会(唐澤祥人会長)の執行部3人を外し、京都府医師会副会長、茨城県医師会理事、山形大学医学部長を新任するほか、専門委員ではコメディカルを代表する委員として新たに日本放射技師会会長を選任する。審議が中断していた中医協は早ければ30日に再開される見通し。(新井裕充)

 「プレーンの状態であれば通らない話であっても、いったん公表したものを覆すだけの盛り上がりに欠けた。若手研究者をディスカレッジしてしまったことは間違いないので、これを大いなる教訓にして、科学的に先端研究を支えていく仕組みを構築していきたい」。鈴木寛・文部科学副大臣は、いち早く疑問を表明していた最先端研究開発支援プログラムの選考やり直しに至らなかったことに無念さをにじませつつ、今後を見据えて必要な取り組みを列挙した。(川口恭)

 選考の不透明さなどから執行が一時凍結されていた最先端研究開発支援プログラムは、金額などは見直すものの、採択した30件を変更せず進むことになった。22日、科学技術政策担当大臣(菅直人氏)と総合科学技術会議有識者議員の定期会合が開かれ、その場で1000億円を採択済みの30課題に当てる方針が了承された。今後、持ち回りの総合科学技術会議で決定される。(川口恭)

日本医療・病院管理学会1017.jpg 医師不足の解消など医療再生計画を策定した都道府県に国が支給する「地域医療再生基金」について、厚生労働省の担当者は「ハコモノじゃなくて、マンパワーの確保ということが一番大事だ」と指摘した上で、「どこかの病院1つだけを大きく建て替えるためにたくさんのお金を使うというのは好ましくない」と強調している。同基金の実体が、「医師の計画配置」を進めるためのバラマキ政策であることが再確認されたといえる。(新井裕充)

遠藤久夫・中医協会長2.jpg 診療所・病院間の医療費の配分について、中医協の遠藤久夫会長は「マンパワーだけの比率を見ると、診療所のほうに有利な資源配分がされているという見方をするのが素直」としながらも、「最終的にはどのぐらいの利益率になっているかで調べるのが一番良い」として、医療経済実態調査による比較を挙げた。今年度から医療法人の診療所についても調査するため、「医療法人の診療所と病院を比較すれば診療所と病院の収支率の差が明らかになる」との考えを示した。(新井裕充)

中医協・遠藤久夫会長1010.jpg 医療経済フォーラム・ジャパンが10月10日に開催した公開シンポジウム「診療報酬改定の方向性」で、中央社会保険医療協議会(中医協)の遠藤久夫会長が「わが国の医療費の水準と診療報酬」と題して基調講演した。前半は医療費抑制策に対する評価、後半は医療費の配分の在り方や次期改定の主要課題について述べた。講演の模様を2回に分けてお伝えする。(新井裕充)

 足立信也・厚生労働大臣政務官は13日、国立がんセンター中央病院で開かれたシンポジウムの席上で「(新型インフルエンザワクチン接種に関する)新法の中に、無過失補償と免責と予防接種法改正を検討するとの文言を加える、実施するまで入れられれば良かったが、検討するという項目を設けることが、この短い期間に私にできる全てだった」と述べた。(川口恭)

09年医療経済フォーラム主要課題.jpg 中央社会保険医療協議会(中医協)の遠藤久夫会長は10月10日、東京都内で「わが国の医療費の水準と診療報酬」と題して基調講演し、来年4月の診療報酬改定に向けた新たな課題として、「新薬の薬価維持特例制度」と「DPC対象病院の機能係数」の2点を挙げた。薬価を含めて医療費の配分を見直す考え方に対しては、病院団体の幹部から疑問の声が上がった。(新井裕充)

保険局医療課・佐藤敏信課長1005.jpg 慢性疾患を抱える高齢者らが回復すると医療費が上がるという考えがある。診療報酬を審議する中医協の分科会で、「体力の悪い方がどんどんどんどん入院してきて、ある程度良くなったら、どんどんどんどん医療費が上がっていってしまう」という発言が飛び出した。(新井裕充)

10月5日のDPC評価分科会2.jpg 「ちょっと複雑で、我々自身も知らなかったポイント」─。診療報酬が高くなるように請求する"裏技"を病院団体が告発して、厚生労働省が調査に乗り出すという奇妙なことが起きている。医療現場の改善につながるような政策を提言すべき病院団体がまるで警察犬のように嗅ぎ回り、厚労省の取り締まりに手を貸している。(新井裕充)

 厚生労働省の足立信也政務官は8日、地域医療再生基金についての私見を示し、地域を限定して補助する方法では医師不足などの解決にはつながらないとして、「診療報酬か税金を投入して全体のベースアップを図ることがなければだめ」と述べた。(熊田梨恵)

 総額2700億円を配分するとして前政権時代に配分対象者30人が公表されている「最先端研究開発支援プログラム」で、配分対象者の中に、審査員の夫が含まれていることが分かった。このプログラムについては、鈴木寛・文部科学副大臣が就任早々「選考過程が不透明」と見直す方針を明らかにしている。(川口恭)

10月5日のDPC評価分科会.jpg 大学病院で後発品の使用が進まないため、厚生労働省は「医師への教育的観点からも、特定機能病院で後発医薬品の使用が進まないのは問題がある」などの指摘事項を盛り込んだ報告案を中医協の分科会に提示し、全員一致で了承された。DPC病院の管理・統制に熱が入る委員らに対し、「医療の価値判断をする委員会ではない」とブレーキをかける発言もあった。(新井裕充)

 出産育児一時金に関して、開始直前にバタバタと見直しが行なわれた。なぜ、こんなことになってしまったのか。事の経緯を追っていくと、泥沼にはまっている医療事故調問題と共通する構造が見つかった。厚生労働省と医療界との馴れ合いの関係が時代にそぐわなくなってきていること、それなのに依然として医療界に自律の動きは鈍いことが、改めて浮き彫りになったとも言える。(川口恭)

坂本すが委員0930.jpg 救急患者の受け入れ状況を改善するため、厚生労働省は「ベッド確保策」に意欲を見せている。総務省消防庁と厚労省の調査では、受け入れ不能理由で最も多かったのは「処置困難」、次いで「手術中・患者対応中」「ベッド満床」などの順。これらの具体的な内容について厚労省の担当者は、「実は分からない」と答え、「ベッド満床」を解消する方針を強調したが、果たしてそれでいいか。(新井裕充)

出産育児一時金の支払い方法が10月から変更されることに伴って産科開業医に資金繰り不安が表面化している問題で、厚生労働省の長妻昭大臣が29日に制度開始を一部医療機関に対して猶予する旨の発表を行ったが、マスコミ報道だけでは何がどうなったのか今ひとつ分からないという声も多い。そこで足立信也政務官に話を整理してもらった。(川口恭)

9月30日の中医協.jpg 診療報酬の決定プロセスを見直す「中医協改革」が叫ばれる中、厚生労働省と支払側、診療側、公益委員らが「診療報酬だけでは無理だ」という大合唱を繰り広げて団結した。改定の主戦場を厚労省の「社会保障審議会」に移し、中医協をその「下部組織」に位置付けて骨抜きにするというシナリオが見える。(新井裕充)

DPCヒアリング0924_03.jpg 「医師個人とメーカーの直接的な関わりを完全に排除」という方針を厚生労働省は気に入ったらしい。後発品の使用割合が61.4%という"優秀な成績"を収めた病院が中医協分科会のDPCヒアリングに招かれ、取り組みを紹介。「MRと医師の癒着は結構、強い」と述べると、厚労省の担当者は笑みを浮かべた。(新井裕充)

DPCヒアリング0924_2.jpg 「それをやるかやらないかは、それぞれの病院の志だろう」─。医師や看護師不足が深刻化する地域で、「施設完結型」の高齢者医療に取り組む民間病院がやり玉に挙げられた。急性期と回復期の病棟を往復する「再転棟」の割合が全体に比べて高い青森慈恵会病院を、中医協分科会の委員は「非常に目まぐるしいピンポンのようなやり取り」などと酷評した。(新井裕充)

DPCヒアリング0925.jpg 厚生労働省の役人にぶら下がる医療者が臨床現場の医師らを叩く「DPCヒアリング」の2日目が行われた。「大変ご迷惑をお掛けした」「私の管理不行き届きで、深くお詫びを申し上げたい」─。ヒアリングに呼ばれた院長らが低姿勢で謝罪したが、「きちんと守られないようであれば、DPCを返上していただかざるを得ない」と、委員が語気を強めた。(新井裕充)

DPCヒアリング0924.jpg 「先生、それは病院として恥ずかしい発言ですから、やめてください」「国策に反している国立大学ということになります」─。厚生労働省の陰湿な反撃が始まったというべきか。厚労省の医療事故調査委員会や臨床研修制度などに対し、歯に衣着せぬ積極的な発言をしている嘉山孝正氏が医学部長を務める山形大学医学部附属病院が、DPCのヒアリングで集中砲火を浴びた。(新井裕充)

出産育児一時金の支払い方法が10月から変更されることに伴って産科開業医に資金繰り不安が表面化している問題で、医療法務弁護士グループ代表の井上清成氏は「新制度を強制することは財産権の侵害であり、憲法違反。事前の差し止め請求なり事後の損害賠償請求なり起こすことになる」と、国を相手取った行政訴訟を準備していることを明らかにした。(川口恭)

出産育児一時金の支払い方法が10月から変更されることに伴って産科開業医に資金繰り不安が表面化している問題で、産婦人科医らで作る日本のお産を守る会が18日、サイト上に長妻昭厚生労働大臣へ制度変更を求める要望書の掲示を始めた。賛同署名も募っている。(川口恭)

 今年度補正予算に総額3100億円が計上され箇所付け待ちになっている地域医療再生基金に関して、千葉県医師会が125億円の獲得を目指すことを理由に、「敢えて各二次医療圏に要望ならびに計画を出していただくことは控える」との文書を、総選挙投票2日前の先月28日に会員に送っていたことが分かった。「インチキだ」との強い批判が現場から出ている。(川口恭)

 民主党の山井和則衆院議員は17日、今後の予算執行が不透明となっている地域医療再生基金について「いつからどうやってやるかは決まっていない。(基金は)医療関係者からの期待も高いところ」と述べ、見通しは立っていないとの見解を示した。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛参院議員は16日、「診療報酬の決め方は一つの行政プロセスで、今のプロセスでよいか見直す必要があるところ」と述べ、仙谷由人衆院議員が担当相に起用された行政刷新会議で"中医協改革"が扱われるとの見解を示した。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛政調副会長は15日、今後の診療報酬改定について「エビデンスに基づいたプライスセッティングをするための調査をする体制を作る必要がある」と述べ、医療経済実態調査など既存の調査の在り方を変えていく必要があるとの見方を示した。(熊田梨恵)

 民主党の鈴木寛政調副会長は14日、2012年度診療報酬改定ついて、「改定の内容は来年(参院選)のマニフェストづくりでより具体化される」と述べ、来年1月にも着手するマニフェスト作成に向けて医療現場から情報を提供してほしいと要望した。(熊田梨恵)
 

 民主党の鈴木寛政調副会長は11日、地域医療再生基金には「箱物」の計画が多いと指摘し、「3000億円を箱物に使うよりは医療提供体制、とりわけ人材強化や立て直しに使うべきだと思うので、交付要綱のコンセプトは変えた方がいい」と述べた。(熊田梨恵)

出産育児一時金の支払い方法が10月から変更されることに伴って産科開業医に資金繰り不安が表面化している問題で、民主党の鈴木寛政調副会長(参院議員)は9日、「淡々と金額を増やせばよいだけで、支払い方法を変更する必要はない。ただ一度スキーム変更されてしまうと、それを元に戻すのにまた混乱するので、できれば舛添さんは新スキームを止めてほしい」と述べた。(川口恭)

 民主党の鈴木寛政調副会長は3日、日本医師会の政治団体「日本医師連盟」が政治献金の配分を見直すと報道されていることについて、「民主党は『企業献金を廃止する』とマニフェストでうたわせて頂いているので、それを読んで頂きたい」と述べた。(熊田梨恵)

 出産育児一時金の支払方法が10月から変更されるのに伴い産科診療所に資金繰り不安が出ている問題で、とある産科開業医の声を聞いた。「制度変更の趣旨と違う。我々は踏んだり蹴ったりで、天下り団体が太るだけ。このままではパニックになる」という。(川口恭)

 10月から出産育児一時金が健康保険組合から医療機関へ直接支払われるようになる。医療機関の未収金に配慮した政策だったが、窓口払いから保険支払いへと変わることにより、分娩の2~3ヵ月後まで医療機関の収入がほとんどなくなる。このため、開業医の多くから資金ショートするとの悲鳴が上がっている。その間の資金繰りを支援すると称して、厚生労働省の外郭団体が有利子での融資を準備しているが、一度借りると引退まで借金を背負い続けることになる例が多いとみられる。(川口恭)

 民主党の鈴木寛参院議員(医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟幹事長)は31日、厚生労働省の2010年度予算概算要求について、マニフェストと食い違いがある部分については必要に応じて修正を図っていくとの見解を示した。(熊田梨恵)

民主党の鈴木寛政調副会長は21日、現在選定の進んでいる「最先端研究開発支援プログラム」に関して、民主党が政権を取った場合はいったん凍結して選定をやり直す方針であると明らかにした。国立大学医学部長会議常置委員長の安田和則・北海道大学大学院医学研究科長との会談の中で「既に国会でウォーニングは出している」などと文部科学省担当者の事業進行を厳しく批判した。(川口恭)

 「『特定』を除外された患者さんの病態を見てみますと、医療療養と非常によくに通っている。しかし出来高なので、検査とかレントゲン、CTはたくさんとっている」-。厚労省が中医協の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大教授)に示した一般病床の実態調査の内容について、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、同じ状態の慢性期患者であっても病床の種別で診療報酬が異なることについて「不公平ではないか」と述べた。(熊田梨恵)

 厚労省が中医協の「診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶応義塾大医学部教授)に示した、医療療養病床の患者分類ごとの収支差によると、医療区分3ではADL区分の1と3の間に、一日当たり約5000円の差があった。診療報酬自体はADL区分によって変わらないことから、池上分科会長は「費用の面では差があるが、報酬としては同じになっているのは大きな課題」との見方を示した。(熊田梨恵)

 厚生労働省の社会医療診療行為別調査(07年6月審査分)によると、90日以上入院している75歳以上の後期高齢者の患者約37000人のレセプトのうち、約3万6000件が「後期高齢者特定入院基本料」の算定から除外されており、一般病棟入院基本料を算定していた。(熊田梨恵)

7月29日の中医協02.jpg 「中医協の位置付けの話だが、以前、確か遠藤会長は改定率についても内閣に対して発信することも考えたいというような......」「いやいやいや、そんなことは申し上げていない」─。中医協の位置付けが見えないまま、足踏み状態の議論が続いている。(新井裕充)

保険局・神田裕二総務課長0729.jpg 近年、「医療崩壊」と言われる。医療者にとって「医療崩壊」とは、過重労働や訴訟リスクなどで必要な医療を提供できる環境が破壊されていることを意味するだろう。一方、患者側から見れば、必要とする医療をいつでもどこでも受けられなくなったことを意味するだろう。(新井裕充)

 民主党は27日、来月投開票の総選挙に向けてのマニフェストを公表した。医療分野では、後期高齢者医療制度の廃止、社会保障費2200億円抑制の撤回、国立大学病院へ運営費交付金の水準回帰、医師養成数5割増しなどが盛り込まれた。それに要するのは、総額で年に約2兆円だ。(川口恭)

佐々木健補佐(中央)0724.jpg DPC(入院費の定額払い方式)を導入している病院に提出が義務付けられているEファイル(診療明細情報)とFファイル(行為明細情報)に重複した項目があることから、厚生労働省はこれらを統合した「一体化ファイル」の提出に切り替える方針を中医協の分科会に提案し、了承された。しかし、これを「医療機関にとって良い話」と受け取るのはやや早計かもしれない。(新井裕充)

松谷高顕専門委員(右)0715.jpg 「仮に足を踏み出すのであれば、恐る恐る石橋を叩きながら」─。中医協の支払側委員が薬価維持特例の「試行的実施」に賛同した。クリアすべき課題は残っているが、厚生労働省が「試行的実施」を打ち出したことで「カウントダウンは既に始まった」との見方もできる。(新井裕充)

 2010年度診療報酬改定に向けて厚生労働省が実施した慢性期入院医療に関する実態調査。しかしその内容は、本来なら同時期のデータとなるべき部分は揃っておらず、必要な調査項目は予算不足で実施できなかったという。このようなことで医療機関にとって正しい評価につながる診療報酬改定のための議論ができるのだろうか。(熊田梨恵)

舛添要一厚労相(右)野村英昭代表(その隣).jpg 慢性骨髄性白血病(CML)患者らでつくる「CMLの会」の野村英昭代表らは7月17日、舛添要一厚生労働相に対し、グリベックなどによる治療を『高額長期疾病(特定疾病)にかかる高額療養費の支給の特例』の対象にするよう求める趣旨に賛同して集まった8万6700件の署名を手渡した。(熊田梨恵)


コスト調査分科会2009.jpg 医療機関の運営コストをいかに診療報酬に反映させるか─。この課題に取り組んできた池上直己・慶應義塾大教授のグループが開発した計算方法によると、最も黒字だったのは「眼科群」で、「外科群」と「産婦人科群」は辛うじて黒字を維持、「内科群」は収支差額がゼロだった。「2010年度の診療報酬改定に反映させるか」について、厚生労働省は「中医協で決めていただく」との回答にとどめている。(新井裕充)

7月6日DPC評価分科会.JPG 抗がん剤など高額な薬剤を使用した場合、DPC(包括払い)では不採算になってしまう問題について、厚生労働省は出来高算定にせずに診断群分類のツリーを増やすことで対応する案を中医協の分科会に提案し、了承された。厚労省は、入院初期の点数設定の方法を変えれば赤字部分が解消されるとみているようだ。(新井裕充)

相川直樹委員(左)0706.jpg 全国どこの病院でも同じような水準の医療を受けられることは患者の立場からは望ましい。しかし、関係学会などが示す指針(ガイドライン)の厳密な順守を求めることに対しては、「医師の裁量権を奪う」など否定的な意見もある。厚生労働省はむしろ、「診療ガイドライン」よりも「クリティカルパスの公開」に関心があるようだ。(新井裕充)

宇都宮啓企画官(右)0629.jpg がんの化学療法に使う高額薬剤など、DPC(入院費の定額払い方式)で包括評価されている項目を見直す審議が中医協の分科会でスタートしたが、早くも議論が錯綜している。救急医療の問題を議論しないとDPCの議論も進まず、逆にDPCの議論を進めないと救急医療の議論も進まないという硬直状態に陥っているようだ。(新井裕充)

6月29日のDPC評価分科会07.jpg 「中小病院では患者の追い出しにつながることは間違いない」─。入院初期の診療報酬を引き上げる厚生労働省の方針に対し、民間病院の医事担当者は驚きを隠せない。来年4月から、脳卒中や心筋梗塞などで緊急入院した患者が早期に追い出されるケースが続出しそうだ。(新井裕充)

6月29日のDPC評価分科会.jpg 入院期間が長くなるにつれて診療報酬が引き下げられるDPC(入院費の定額払い制)について、厚生労働省は2010年4月から入院初期の点数を引き上げる方針を中医協の分科会に提案し、大筋で了承された。一定期間が経過した後は現在よりも引き下げ、入院期間の短縮化をさらに進める方針。(新井裕充)

 日本医師会の内田健夫常任理事は6月27日、厚生労働省の2010年度予算概算要求に対する日医の要望について、小児医療分野の一部を明らかにした。当直医や救急担当医、へき地で働く医師に対する人件費補助のほか、小児救急医療の充実、小児デイケア・ショートステイ施設の整備などを求めるとした。(熊田梨恵)

厚生労働省0624.jpg 検査や投薬などをやればやるほど儲かる「出来高払い」に対し、必要な診療をカットすればするほど儲かる「包括(定額)払い」がある。診療所は出来高払い、病院の入院医療は包括払いが中心。診療所と病院、「どちらが儲かるか」ということが問題になっている。(新井裕充)

長谷川学課長補佐0619.jpg 中小病院が地域で果たす役割を診療報酬でどのように評価すべきか─。中医協の分科会では、「救急医療」と「医療計画の実施」が候補に残っているが、具体的な基準はまだ明らかにされない。2010年度の診療報酬改定では、救急医療が重点的に評価される見通しだが、「地域医療への貢献」という"隠れ蓑"に身を包んだ計画が静かに進行している。(新井裕充)

6月19日のDPC評価分科会1.jpg 「手間のかかる年齢階層を引き受けている病院は高い数字が出る」「規模の小さな地域で一定程度の大きさの病院であれば、救急車の搬送割合が高い数値として出る」─。地域医療への貢献度を評価する指標として、厚生労働省は「年齢補正係数」と「2次医療圏人口」という2つの基準を打ち出した。(新井裕充)

kaziwaranaoshima.JPG ちょうど1週間前に自民党を訪れて「マニフェストに医療改革を」と求めた元岐阜県知事の梶原拓氏が17日、今度は民主党の直嶋正行政調会長を訪ね、やはり提言を手渡した。梶原氏が「根幹は政策決定のプロセスを変えること。自民党じゃ、しがらみがありすぎてできないと思う。今度は民主党政権間違いなしだから」と水を向け、直嶋氏が「いや油断は禁物」と苦笑いで返す場面もあった。(川口恭)

長谷川学課長補佐(中央)0608.jpg 「病床規模が小さい病院の方が、救急車による緊急入院の割合が高い」―。救急患者の受け入れが困難なケースが問題となる中、入院ベッド数が200床程度の小規模病院が積極的に救急患者を受け入れている実態が明らかになった。救急医療をどのように診療報酬で評価すべきか、今後の動向が注目される。(新井裕充)

日本医師会.jpg コレステロールを下げる薬と高血圧を治す薬を組み合わせるなど、効き目が異なる複数の成分を1つにまとめた「配合剤」をけん制する動きが中医協で活発化している。「配合剤」は、1回に服用する薬の錠数を減らすことができるなど、患者にとって利便性が高い薬とされる。しかし、中医協委員は「先発品メーカーに利便性がある」という点を問題視しているように見える。(新井裕充)

kaziwarahosoda.JPG 自民党の細田博之幹事長は10日、「小泉政権で三方一両損みたいなことをやって医療費を抑制しようとしたけど、残念ながらうまくいかなかった。日本では医療費が増えても仕方ない。逆に税負担でしっかりやらざるを得ない」と述べた。全国知事会会長を務めたこともある梶原拓・元岐阜県知事が「マニフェストに医療改革を盛り込んでほしい」と党本部を訪れて要請したのに対して答えた。(川口恭)

 「薬剤師の病棟業務は、医療の質にとって非常に重要なファクター」「(病棟薬剤師を評価しないと)病院のチーム医療は進まない」―。病院の機能によって診療報酬に差を付ける「新たな機能評価係数」について審議している中医協の分科会で、病棟薬剤師の配置を評価することに賛同する意見が相次いだ。(新井裕充)

6月8日DPC評価分科会1.jpg 2010年度の診療報酬改定に向け、DPCの在り方について検討している中医協・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が6月8日に開かれ、「新たな機能評価係数」について審議を進めた。最大の焦点だった「現在の調整係数と新たな機能評価係数との相関関係」については、医業収支に与える影響を考慮せずに両者を切り離した形で選定作業を進める方針で合意した。(新井裕充)

命の薬 お金次第

自分や家族が命に関わる病気にかかったとき、飲み続ければ命が助かる特効薬を「飲まない」という人はまずいないだろう。ただしそれは同時に、「その薬を"一生"飲み続けなければならず、やめれば命の保証はない」という道を選ぶことでもある。この薬が高価で、手が届かないというほどの額ではないけれども、その経済負担が毎月じわじわと自分やその家族を追い詰めていくとしたら――。

実際にそんな薬がある。慢性骨髄性白血病(CML)の治療薬「グリベック」(一般名:メシル酸イマチニブ)だ。その治療費負担の大きさに、自ら立ち上がった人たちがいる。「CMLの会」代表・野村英昭氏にインタビューした。(堀米香奈子)

アイラウルフ・PhRMA日本代表(右).jpg 2010年度の薬価制度改革に向け、6月3日の中医協・薬価専門部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)で、日本製薬団体連合会(日薬連)、ファルマ(PhRMA、米国研究製薬工業協会)、エフピア(EFPIA、欧州製薬団体連合会)、卸連(日本医薬品卸業連合会)の4団体が意見を述べた。ファルマの意見陳述からお伝えする。(新井裕充)

長谷川閑史・武田薬品社長(右).jpg 革新的新薬の創出か、後発品の使用促進か―。大型医薬品の特許切れが相次ぐ「2010年問題」を抱える先発品企業が命運を託すのは、研究・開発に投下した資本を早期に回収する仕組み(薬価維持特例)の導入だが、道のりは険しい。関係業界からヒアリングを行った6月3日の中医協・薬価専門部会(部会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の模様を3回に分けてお伝えする。(新井裕充)

 厚生労働省は5月27日、中央社会保険医療協議会(中医協)の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直巳・慶大医学部教授)を約2年ぶりに開催。2010年度診療報酬改定に慢性期医療の「質の評価」を導入していくための議論を開始した。(熊田梨恵)

中川俊男委員(左).jpg 勤務医と開業医の報酬格差の根拠とされている「医療経済実態調査」について、5月20日の中医協総会で支払い側委員は、「回答率を上げるような努力をぜひお願いしたい」と診療側に求めた。これに対し、診療側の委員は「回収率を上げるのであれば、2号側(診療側)ではなく厚労省にも伝えていただいた方が筋としては正しい」と反論した。(新井裕充)

 東京都は今年度中にも、受け入れ先が見つからない妊婦の搬送先について、東京消防庁内に配置された助産師が調整する「搬送コーディネーター」をスタートさせる予定だ。都の周産期医療協議会は、今年1月から多摩地区で助産師によるコーディネーターを実施している杏林大附属病院の話を聞きながらディスカッションした。委員からは「ベテランでなければ消防庁内でコーディネートするのは難しい」などの意見が上がった。(熊田梨恵)

 「労基署の助言もあるが、交替勤務ができるような周産期センターの形をとらないといけない段階になった」―。東京都では昨年度、相次ぐ妊婦の救急受け入れ不能や、労働基準監督署から周産期医療機関への是正勧告など、数々の問題が立て続けに起こった。都の周産期医療体制を議論する「東京都周産期医療協議会」では、医師確保と労働環境改善のバランスなどについて、さまざまな意見が出た。(熊田梨恵)
 

 来年4月に独立行政法人化されるがんセンターや循環器病センターなどの国立高度専門医療センター(いわゆるナショナルセンター・NC)に関して、与謝野馨財務大臣は25日の参議院予算委員会で「来年度予算で財政状況を健全にする」と述べた。多額の債務を背負わされて首が回らなくなり、運営費交付金欲しさに天下りを受け入れざるを得なくなるのでないかとの懸念を払拭した形だ。(川口恭)

5月20日の中医協開始前.jpg 中医協・診療報酬改定結果検証部会(部会長=庄司洋子・立教大大学院教授)は5月20日の総会で、2008年度診療報酬改定の影響を検証するために実施した「特別調査」(08年度調査)5項目について、「検証部会としての評価」などを報告した。検証部会の評価と、これに対する委員の発言要旨をお伝えする。(新井裕充)

吉田英機委員.jpg 「基本問題小委員会で分科会長がいじめられる」―。5月20日に開かれる中医協・基本問題小委員会を前に、DPC評価分科会で"作戦会議"が行われた。「DPCの導入によって医療の質は低下していない」との報告に対し、DPC(入院費の包括払い制度)を批判している日本医師会はどのような主張を展開するだろうか。(新井裕充)

西岡清会長.jpg 2010年度の診療報酬改定で導入される「新たな機能評価係数」について、5月14日の中医協・DPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は、「救急」「4疾病5事業」「チーム医療」「副傷病」などの項目を審議した。「新たな機能評価係数」の候補に関する厚生労働省の説明と、委員の発言要旨をお伝えする。(新井裕充)

5月14日のDPC評価分科会.jpg 中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が5月14日に開かれ、「平成20年度『DPC導入の影響評価に関する調査及び評価』最終報告概要(案)」、「調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数」などを審議した。(新井裕充)

薬害防止のための行政のあり方を検討してきた厚労省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』が、このほど1年間の議論に基づいて第一次提言をまとめた。薬害被害者たちの強い意向を反映して医薬品の添付文書への規制を強めようとさせる内容となった一方で、委員たちも知らない間に「臨床研究支援のための基金設立」が盛り込まれていた。(川口恭)

坂本すが専門委員(左)と西岡清分科会長.jpg 「地方ではその病院しかなくて頑張っているのに、ドクターやナースの数が足りない」―。医師や看護職員らの不足が深刻化する中、日本看護協会(日看協)の坂本すが副会長はこのように述べ、来年の診療報酬改定で都市部と地方の格差が生じることを懸念した。(新井裕充)

4月10日DPC評価分科会1.jpg DPC(入院費の包括払い)を導入している病院について、前年度の収入を保証する「調整係数」が2010年度から段階的に廃止される。これに伴って導入される「新たな機能評価係数」や、調整係数廃止後の「包括評価点数」の範囲によっては大幅な医療費抑制につながるため、「費用保証がなくなると大混乱になる」「医療の質の低下につながってはいけない」などの声が上がっている。(新井裕充)

本日開催される中医協薬価専門部会において、製薬業界の意見とりまとめを行っていた専門委員から、①新薬の価格を高く設定し特許切れまで高い水準で維持する、代わりに②後発薬の普及が進まなかった場合には長期収載品の価格を引き下げる、ことで合意を見た旨の報告が行われる。

これにより新薬開発力のないメーカーは生き残りが困難となり、業界再編が急速に進むものと見られる。(川口恭)

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