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ニュース:カテゴリー「医療/従事者」の記事一覧

 市民8団体が共同で『VPD(ワクチンで防げる病気)から子どもたちを守るための予防接種法改正に関する要望書』を作成し、30日、厚生労働大臣室で三井辨雄大臣と面会して手渡したそうです。(川口恭)

 この8団体は、「NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会」、「ムコネット Twinkle Days」、「ポリオの会」、「一般社団法人 細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」、「+Action for Children」、「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会・支援ネットちば」、「先天性代謝異常症の子どもを守る会」、「胆道閉鎖症・乳幼児肝疾患 母の会『肝ったママ's』」です。

 要望の内容は①必要な予防接種を国の財源で受けられるような法体系整備②現在は任意接種である、ヒブ・小児用肺炎球菌・HPV・B型肝炎・ロタ・おたふくかぜ・水痘の7種類のワクチンの定期接種化③特にヒブ・小児用肺炎球菌・HPVの3種類に関しては来年度からの定期接種化、の3項目でした。

 詳しくは、「+Action for Children」高畑紀一代表の報告をご覧ください。

榮木副院長.JPG『ロハス・メディカル』誌は、がんの手術件数日本一のがん研有明病院に、誌面制作にあたって全面的にご協力いただいております。そのがん研有明病院で4月から、榮木実枝看護部長が副院長に就任し看護部長を兼任することになりました。抱負などを聴いてきました。(川口恭)

kyusyu1.JPG この度、ロハス・メディカルの九州版『九州メディカル』を創刊いたしました。九州大学先端医療イノベーションセンターとのコラボで、隔月1万5千部からのスタートです。
 最初の主な配置先は、県と地域のがん診療連携拠点病院や九州大学の関連病院です。無料での配置の基準は、首都圏版と同様、原則200床以上の医療機関となります。無料での配置をご希望される医療機関の方は、院内で意思決定の後、こちらまでご連絡ください。50冊単位でお届けいたします。

きぼう表紙2.JPG 東日本大震災で住まいを失った方々の健康維持のヒントとなるような小冊子『きぼうメディカルみやぎ』の2号目(右の写真は表紙)が完成、13日から配布しています。仙台市に本拠を置く健診機関「杜の都産業保健会」から委嘱を受けて、弊社で制作したものです。今回も費用は、第一三共グループと同社員からの寄付で賄われました。ロハス・メディカル仙台版版元である日本シナジーマネジメント社が仕切り、河北新報社などの協力も得て、宮城県内の全仮設住宅に配布していきます。(川口恭)

長尾氏.jpg 「平穏死できない現実を知ろう」「救急車を呼ぶ意味を考えよう」-。兵庫・尼崎市で在宅医療を続ける長尾和宏氏(日本尊厳死協会関西支部長、長尾クリニック院長)が10月26日、「平穏死の条件」をテーマに神戸市内で講演した。(熊田梨恵)

委員.JPG 中医協の診療側委員5人が9月23日、大阪市内で開かれた医療フォーラムで診療報酬改定について議論し、会場の医師らと意見交換した。厚労省によると中医協委員が揃ってイベントに登壇した例はこれまでないという。会場からは地方の看護師不足を加速させたと言われる7:1入院基本料や入院中の他科受診の問題などのほか、在宅医療や有床診療所、薬剤費の問題など様々な意見が委員にぶつけられた。(熊田梨恵)

きぼう表紙.JPG 東日本大震災から半年経ちました。被災された方々を取り巻く環境は依然として厳しいものがあり、健康への影響も心配されます。仙台市に本拠を置く健診機関「杜の都産業保健会」から委嘱を受け、生活環境が激変してしまった方々の健康維持のヒントとなるような小冊子『きぼうメディカルみやぎ』(右の写真は表紙)を制作しました。費用は、第一三共グループと同社員からの寄付で賄われました。ロハス・メディカル仙台版版元である日本シナジーマネジメント社が仕切って、河北新報社や各地のシルバー人材センターの協力も得て、宮城県内すべての仮設住宅に配布していきます。(川口恭)

医師不足に関する見解

上昌広先生資料_01.jpg 「戊辰戦争で負けた地域が極度の医師不足に陥っている」─。医師の偏在は医育機関の偏在と関連しており、医育機関の配置は近代日本の歴史を反映しているとの見方もある。(新井裕充)

坂本すが・日看協会長0610.jpg 60万人を超える看護職が加入する公益社団法人・日本看護協会は6月10日、役員改選後初の会見を開き、新会長に就任した坂本すが氏が「現場の声を大事にしながら収集して、そして現場の声を集約して、何が必要かということを考えていきたい」と抱負を語った。(新井裕充)

古川村重.JPG 久しぶりの『村重直子の眼』は、東日本大震災の救援活動を巡る話題です。非常に近接していながら没交渉な領域の住人どうしが議論をすると、こんなにもお互いに驚くものかと、それぞれの業界の人たちにとって新鮮な発見があることと思います。また一般人である私からすると、もう少し日頃から風通しをよくしてもらった方がイザという時には安心かな、という感想も湧いてきました。(川口恭)

福島第一原発の復旧に当たっている作業員に事前の造血幹細胞保存を呼び掛けている谷口修一・虎の門病院血液内科部長は28日、保存に否定的な見解を打ち出した日本学術会議に対して公開討論の要請を行った。学術会議側の対応が注目される。(川口恭)

 国立がん研究センターの嘉山孝正理事長ら幹部職員は14日会見を開き、福島第一原発事故に関連して2つの提案を発表した。一つは前回会見の際に提言した「 原子炉での作業が予定されるなど、被ばくの可能性がある方々については、造血機能の低下のリスクがあるため、事前に自己末梢血幹細胞を保存しておくこと」を「被ばく線量が250ミリシーベルト以下での職場環境が保たれない場合は、自己の末梢血幹細胞を保存しておくこと」と訂正するもので、もう一つは原発周辺の住民を対象に、定期的な健康診断と被ばく線量測定を行うよう国に提言するというもの。(川口恭)

長尾先生1.JPG 3月11日の東日本大震災により、被災地以外への患者の移動が必要な一方で、西日本をはじめとする受け入れ可能地域に避難者が移れていない現状がある。「こちらから『来い来い』と言っていても彼らは来られない、今はそういう状況。だからこちらから現地に情報を持って行って直接コーディネートするしかないと思う」と、自ら現地に赴く予定と話す兵庫県尼崎市の開業医長尾和宏氏(長尾クリニック院長)の話を聞いた。(熊田梨恵)

68-2-1.JPG 東日本大震災関連の『ロハス・メディカル』5月号記事。今度は各版共通に掲載するものです。零細メディアゆえ機動力に欠けるという点は忸怩たるものがありますが、その分、少し俯瞰して理解する助けにはなると思います。実は、意外と分かってなかったことが多いのではないでしょうか。
(ここから)
 東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発の事故は、にわかに放射線への恐怖を高めました。マスメディアによる報道も、派手に大量に流れた割にはよく分からないものが多くて、無用のパニックを呼びました。そもそも、放射線は医療の世界で有効に使われているものでもあります。原発のことはさておき、医学的な基礎知識を整理してみましょう。
監修/西尾正道 北海道がんセンター院長

satoshieye2.JPG『ロハス・メディカル』でも、5月号で東日本大震災関連の記事をいくつか掲載することにしております。雑誌の発行前ながら前倒しで掲載できるものは、どんどん掲載していきますので、ご活用いただけましたら幸いです。まずは、関西版『それゆけ!メディカル』限定コンテンツ、『梅村聡の目』です。

 国立がん研究センターの嘉山孝正理事長ら幹部職員は28日に記者会見を開き、福島第一原発から飛散している放射性物質によって、どの程度の発がんリスクが発生していると考えられるか見解を発表した。「原子炉において作業を行っている方々を除けば、ほとんど問題がないといえる」という。(川口恭)

 3月11日の東日本大震災では、医療機関も被災したために透析難民が大量に発生、被災地以外での代替が必要になっている。対応するため、日本透析医会(山﨑親雄会長)で全国の会員施設に呼び掛けを行ったところ、被災3県の全患者数を上回る約1万8000人の受け入れが可能になった(24日現在)。特に、電力事情に問題のない近畿以西で、約1万人を受け入れられるという。同会で災害医療を担当する山川智之常務理事(大阪・白鷺病院理事長)に話を聴いた。(熊田梨恵)

 ロハス・メディカル関西版「それゆけ!メディカル」の創刊に向け、実家のある兵庫県北部の豊岡市に引っ越してまいりました。豊岡市は人口約9万人、高齢化率27%(2011年2月現在)という少子高齢化の進む農村地域ではありますが、患者のための医療を目指して国内からも注目を集める活動を行っていることを知り、私自身も驚いています。豊岡の医療について、随時お届けしていきたいと思います。(熊田梨恵)

交流会.JPG 公立豊岡病院日高医療センターの豊岡アイセンター(倉員敏明センター長、23床)で3月21日、視覚障害のある患者同士の交流や情報交換のための院内サロン「すまいる会」が開かれ、地域の患者や家族、医療関係者ら約70人が参加した。視覚障害者のための院内サロン活動は国内でもめずらしく、よりよく見えるように支援するロービジョンケアや福祉制度についても学んだ。会の運営を担った一人の矢坂幸枝医師は「今までは患者さんに何もできなかった時に罪悪感がありましたけど、患者さんにロービジョンケアを紹介することで安心してもらえるので、私たちも自信を持って患者さんと話せます。この会やロービジョンケアがあると医療者も安心して患者に接することができるので、医療者も救われるのです」と話した。

 昨日発足した内閣官房・医療イノベーション推進室の中村祐輔室長には、ロハス・メディカル誌2010年1月号から12月号まで『あなたにオーダーメイド医療を』というコーナーの連載をしていただきました。これまで、このコーナーの文章はweb公開していませんでしたが、ちょうどよい機会なので1日1本ずつ公開していきます。

(2010年1月号掲載)

 がん診療の均てん化を推進する目的で、東北6県の病院が連携・組織している『東北がんネットワーク』の放射線治療専門委員会が、IMRT(強度変調放射線治療)など特殊な放射線治療をどの病院で受けることが可能で、アクセスするにはどうすればよいか一目で分かるサイトを構築した。(川口恭)

110926kondo.JPG110926murashige.JPG ご好評の『村重直子の眼』、間を置かずに続けます。今回のお相手は、医薬品や医療機器の薬事承認審査を担当している独立行政法人・医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長です。在野のキラリ光る人に会いに行くというコーナーのコンセプトからすると大変な大物ですが、厚労省在職時に相手が大臣であっても物怖じしなかった村重氏ですから、当然のように発言にブレがありません。3回に分けてお楽しみください。(担当・構成 川口恭)

101128sarcoma.jpg 先日もご案内した通り、『日本に「サルコーマセンターを設立する会」』の第2回シンポジウムが28日、国立がん研究センター内にある国際会議場で開かれ、70人ほどが集まりました。この中で、吉野ゆりえ代表は、米国MDアンダーソンがんセンター内のサルコーマセンターを視察してきた結果を報告しました。(川口恭)

1009nagao.JPG100912murashige.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ。村重氏が多忙につき、前回から1カ月半空いてしまい、楽しみにしていた皆様には申し訳ありませんでした。お待たせした分だけ、今回は特に密度が濃くて面白いです。ご登場いただいたのは兵庫県尼崎市で勤務医10人のクリニックを開業し、在宅医療にも積極的に取り組んでいる長尾和宏氏です。長尾氏の発言は、関西風のイントネーションに変換してお読みください。5回に分けてお伝えします。(川口恭)

101113.JPG 命があることの意味を中学生に考えてもらおうという『ロハス・メディカル』の『いのちの授業』を13日、東京都小金井市の小金井東中学校にお邪魔して開催しました。がん患者と医師が、全校生徒300人弱と保護者約30人を前に、休憩を挟んで1時間半ほど自らの体験や医療の役割などを語りました。(川口恭)

首都圏が台風に直撃された30日、日本がん免疫学会の緊急シンポジウム『がんワクチン治療の現状と臨床』を聴講してきた。急な開催で、しかも悪天候だったにも関わらず200人入る会場は9割方埋まり、いかに患者さんたちの関心が高いかを改めて痛感した。簡単に再現する。(川口恭)

101016simpo.JPG 朝日新聞による東大医科研ペプチドワクチン臨床研究報道で、がん患者さんとがんに携わる医療者たちが騒然とする中、その医科研で16日に『シンポジウム がん医療と介護-親のための準備、何したらいいの?誰に相談したらいいの?』というものが開催された。軽い気持ちで覗いて来たら、あまり来場者は多くなかったものの、予想以上に面白かったので簡単に再現したい。(川口恭)

鈴木康裕・医療課長1015.jpg 「救急に従事する医師等の範囲は不明確」─。深夜の救急患者に対応する当直などで勤務医の疲弊が叫ばれる中、厚生労働省が出した答えは「救急医療の調査は難しい」だった。中医協委員から反対意見は出なかった。(新井裕充)

100820murashige.JPG100820kumada.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ。今回は手前味噌ながら『救児の人々』が大変話題になった本誌論説委員の熊田梨恵がお相手させていただきました。村重氏も、話題沸騰の『さらば厚労省』を出したばかりのタイミングだったため、途中から主客転倒して熊田によるインタビューになっているところはご愛嬌。上下2回に分けてお楽しみいただければ幸いです。(担当・構成 川口恭)

100811ohnishi.JPG100811murasgie.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ。今回は、大西睦子・ハーバード大学歯科医学校研究員です。一体何がキラリなのかは本文を読んでのお楽しみですが、彼女はアメリカでは、ちょっとした有名人なのだそうです。私はこの対談を聴いて以来、加工食品を買う際に必ず食品表示を確かめるようになりました。今回も3回に分けてお伝えします。(担当・構成 川口恭)

嘉山孝正理事長(右)、大久保満男会長.jpg がん患者が抱えやすい口腔内トラブルを解消してがん治療の質を高めるため、国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)と日本歯科医師会(大久保満男会長)は31日、がんに関する講習を受けた歯科医が同センターから紹介を受けて患者の歯科治療に当たる医療連携を始めると発表した。当面は手術を受ける関東圏の患者約4000人を対象に始める予定で、各地域のがん診療連携拠点病院による全国展開も視野に入れている。(熊田梨恵)

anada.jpg 子宮頸がん予防ワクチンの接種に適した年代の子供達への普及啓発を図るため、癌研究会は30日、中高生向けの公開講座を癌研有明病院(東京都江東区)で開いた。患者会の穴田佐和子代表は、抗がん剤の副作用による苦しみだけでなく、「女性という『性』を失うというメンタルな面」でのつらさも抱えるとして、子宮を摘出して子供が産めなくなったことなどから交際相手と別れたり、出産を諦めたりする女性もいると語った。(熊田梨恵)

 子どもの死亡率の低下は、子どもを亡くす親の数が減るという事も意味するため、悲嘆の気持を共有できる機会も減る。近年まで「不治の病」と言われた小児がんの治療が飛躍的な進歩を遂げる一方で、子どもや親を取り巻く状況も変わりつつあるようだ。聖路加国際病院の細谷亮太副院長(小児総合医療センター長)が24日、中野在宅ケア研究会(東京・中野区)で講演した。(熊田梨恵)

 ロハス・メディカル誌9月号には、創刊丸5年を記念した特別企画として、日本慢性疾患セルフマネジメント協会のご協力のもと、患者さん50人に普段医療者には言えない本音を教えていただくアンケートを実施し、その回答を掲載しています(P16~19)。質問項目の中に「主治医と仲良しですか」というのがあり、その自由記述が非常に面白かったので、患者さんの個人情報は一切削除したうえで全員分をご紹介します。(川口恭)

100723honda.JPG100723murasi.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズも12人目になりました。お相手は、国立国際医療研究センター病院でHIV診療などを担当している本田美和子医長。本田医師は、患者自身が自らの記録を付けていく大人版母子手帳のような『ほぼ日の健康手帳』を考案しました。なお今回は、初めて誌面とも連動します。webにはいつものように対談の全文を2回に分けて、誌面の方にも抜粋したエッセンスを9月号のP12~14に掲載します。(担当・構成 川口恭)

 森臨太郎氏(東大大学院医学系研究科国際保健政策学准教授)インタビューの最終回です。国民全体の医療を向上させるには、先端医療の開発よりも今ある医療を標準化し、底上げすることが必要と伺いました。今年度から始まった戦略研究で、森氏は実際に標準医療の底上げに取り組み始めています。(熊田梨恵)

 森臨太郎氏(東大大学院医学系研究科国際保健政策学准教授)インタビューの第2回です(前回はこちら)。今回は、このガイドラインの作成過程に関する考え方が医療政策全体に通じるというお話を伺いました。エビデンスの取りまとめや納税者の視点に立った費用対効果分析、医療者と患者の情報交流にもつながる総意形成手法といった部分にポイントがありそうです。(熊田梨恵)

 医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』の第4回会議が3日開かれた。ワルファリンカリウムの小児への適応拡大、シクロフォスファミド水和物の全身性血管炎・全身性エリテマトーデス・多発性血管炎・ウェゲナー肉芽腫症への適応拡大、ゲムシタビン塩酸塩の卵巣がんへの適応拡大などが治験なしの公知申請で認められることになった。(川口恭)

100602murasgie.JPG100602sonobe.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく好評のシリーズ。いよいよ3クール目に入りました。今回のお相手は、日本赤十字社医療センター(日赤広尾)小児科顧問でもある薗部友良『VPDを知って子供を守ろうの会』代表です。日本のワクチンを取り巻く環境についてお話いただきました。今回も3回に分けてお伝えします。(川口恭)

100725discussion.JPG 7月25日午後、東京・有明の癌研究会で<癌研オープンアカデミー『日本のがん医療の未来を考える』>が開かれた。冒頭に野田哲生・研究所長が「がん治療・研究に関するあらゆるステークホルダーが集まって一緒に話をしようという趣旨」と説明したように、医療者はもちろん、患者、政策担当者、企業人、メディア人など150人あまりが集まり、歯に衣着せぬ活発な議論が行われた。今までにないほど率直な議論ができた時に皮肉にも見えてきたのは、隠れた最大のステークホルダーである「医療費を払ってくれる健康な人々」が、その場にいないということだった。(川口恭)

 日本未熟児新生児学会(戸苅創会長)が、このほど『未熟児動脈管開存症ガイドライン』を作成・公表した。治療法などに関する33項目の推奨レベルを決定する際、すべての項目で患者家族とコメディカルの意見を取り入れた。参加した患者家族は、「ガイドライン作成過程が患者家族にオープンにされたことに意義があったと思います」と振り返る。この策定プロセスが広がれば、医療者と患者間にある知識や認識の違いを緩和する一歩になるのかもしれない。(熊田梨恵)

100718syuumatuki.JPG  3連休ど真ん中だった7月19日午後、都内で『市民と医療を考える1-川崎協同病院事件から医と法を考える』というシンポジウムが開かれた。自分や家族の死が避けられない状況になった時、私たちは医療にどこまで求めるのか。直球ど真ん中の問題を考える会になった。(川口恭)

7月16日のDPC評価分科会3.jpg 「医療の質」を判断する基準は患者満足度か、臨床研究の充実度か、それとも役人の方針に従うことか。「医療の質」の意味が不明確なまま、厚生労働省はすべての医療機関が目指すべき方向性として「医療の質の向上」を声高に掲げているが、調査手法はいまだ見えない。(新井裕充)

7月16日のDPC評価分科会.jpg 医療費抑制などを目的としたDPCの導入により、入院期間の短縮に追われる医療従事者の疲弊や粗診粗療の恐れなどを指摘する声もある。「医療の質」を調べる決定打を欠く中、厚生労働省は中医協のDPC分科会で「職員アンケート」を提案したが、賛否両論が相次ぎ紛糾した。(新井裕充)

 国立がん研究センター(嘉山孝正理事長)は、今週から始めた「がん相談対話外来」「病理相談外来」(セカンドオピニオン外来)に関して、相談担当の医師・歯科医師に1回5000円支払う手当を創設した。国立病院系では初めてのドクターフィー導入になるという。(川口恭)

100629murasige1.JPG100629yuji.JPG さる6月28日晩、周産期医療の崩壊をくい止める会代表の佐藤章・福島県立医大名誉教授(このページの下部もご覧ください)が逝去されました。『村重直子の眼』では小山万里子・ポリオの会代表の記事を配信途中ではありますが、緊急追悼企画として周産期医療の崩壊をくい止める会の活動などで米国内科学会から表彰された湯地晃一郎・東大医科研助教との対談が昨日設定されていたため、それを緊急掲載いたします。(川口恭)

100512koyama.JPG100512murasige.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していくシリーズ。今回のお相手は、ポリオの会代表の小山万里子氏です。ほとんどの人が、「そんな話知らなかった。本当なの?」と思うであろう話の連続です。ことポリオに関する限り、厚生労働省の予防接種行政は、犯罪的なのでないかという気にすらなってきます。今回も3回に分けてお伝えします。(川口恭)

100511murasige.JPG100511uchida.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していくシリーズ。今回のお相手は、昨年の新型インフルエンザ騒動の際に全国の医療現場で何が起きていたのか、それを知ることのできる立場にあった内田健夫・前日本医師会常任理事です。国会のドタバタのお蔭で、パッチワークの改正予防接種法案が継続審議になっていますが、あの改正が本当に必要なのかということも考えさせられます。(川口恭)

 国立がんセンターが独立行政法人され、嘉山孝正理事長によって猛スピードで改革が行われているようです。一方その蔭で、何やら一部の厚生労働官僚による不穏な動きも始まっているとのこと。前国立がんセンター中央病院院長の土屋了介・癌研究会顧問に聴きました。(聴き手・川口恭)
(このインタビューは4月30日に行われましたが、6月8日の出来事を受けて加筆されました)

100604sakata.JPG100604murasige.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していくシリーズ。7日に最終報告書が公表されたばかりの『薬害肝炎の検証および再発防止に関する研究班』で、薬害被害者として自ら分担研究者となり、大変な苦労の末に厚生省の不作為を明らかにした坂田和江氏に、あの報告書が出てくるまでにどんなことがあったか話してもらいました。3回に分けてお伝えします。(担当・構成 川口恭)

 厚生労働省の『薬害肝炎の検証および再発防止に関する研究班』の最終報告書が7日、公開された。1986年から87年にかけて青森県三沢市で発生した集団感染で、医師は、ある時期を境に肝炎感染率100%の非加熱フィブリノゲン製剤ロットが出現していることを厚生省に文書で報告していたが、その文書は担当者レベルで止まっており、課長も血液製剤評価委員らも見ていなかったことが指摘されている。結果として、非加熱フィブリノゲン製剤が自主回収に留まって全国で使い続けられ、また感染性を保ったままの加熱製剤が承認され被害を拡大する遠因ともなった。(川口恭)

100529fukuoka.JPG昨年末に政府の公表した新成長戦略では、医療・介護が今後の日本を支える産業分野として位置づけられました。しかし、医師不足に代表される医療崩壊が解決してもいないのに可能なんでしょうか、可能だとして、その手順はどうなるのでしょうか。人口あたり医学部数や医師数が日本の中では多く、活気あることで知られる九州で、識者や首長に熱く討論していただきました。(川口恭)

 今月18日にヒトゲノム国際機構からチェン賞を授与され帰国したばかりの中村祐輔・東大医科研ヒトゲノム解析センター長は、最近、外国へ行く度に憂国の念を抱いて帰ってくることが続いているそうです。何が問題なのか、どうすればよいのか、聴きました。(聴き手・川口恭)

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 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していきます。5人目は、元厚生労働省の薬系技官でPMDA発足時には審査官として出向していたこともある小野俊介・東大大学院薬学系研究科准教授です。非常に大きな話で議論が白熱したため、3回に分けてお伝えします。(担当・構成 川口恭)

 米国内科学会が、世界各地で社会貢献活動を行った会員を毎年表彰している『Volunteerism and Community Service Award』に、周産期医療の崩壊をくい止める会で活動した2医師が選ばれた。カナダ・トロントで22日から始まる同学会総会で表彰式が行われる。(川口恭)

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 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していきます。4人目は、重大なラグを生んでいるワクチン行政に、患者の立場から異議申し立てをしている高畑紀一・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局長です。同会は先月23日に国会請願活動を展開したばかりです。(担当・構成 川口恭)

 近藤達也・PMDA理事長と宮野悟・東大医科研教授の対談。今回は、三澤馨・PMDA安全第一部長も話に加わり「安全対策に使いたいレセプトデータベース・電子カルテ」といったテーマで、一般国民からすると「えーっ!?」というようなことを話しています。

100402murasige.JPG100402matsumura.JPG 元厚生労働省大臣政策室政策官の村重直子氏が在野のキラリと光る人たちと対談していく、そんな企画に登場する2人目は、『周産期医療の崩壊をくい止める会』の事務局役として、福島県立大野病院事件の被告医師支援と、それに続く出産時死亡妊産婦の遺族支援という他に類を見ないユニークな活動に関して、実務を担当し続けている松村有子・東大医科研特任助教だ。(担当・構成 川口恭)

100324zentai.JPG 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の近藤達也理事長(写真右から2人目)は、機構の働きを向上させるため、自ら頻繁に有識者の元へ出向いて意見を聴いているという。安全第一部の三澤馨部長(写真右)、同部調査分析課の松井和浩課長(写真右から3人目)の3人で、東大医科研の宮野悟教授を訪れた今回、同行を許されたので、その対談の模様を上中下の3回シリーズでお伝えする。初回の今日は「立ち後れる日本のゲノム医療」について。(担当・構成 川口恭)

100326narimatu.JPG100326murasige2.JPG 舛添要一・前厚生労働大臣の懐刀として大活躍し先月15日で官職を辞した元厚生労働大臣政策室政策官(辞職時は内閣府特命大臣付)の村重直子氏は、大臣の眼や耳の代わりとなって情報収集していた経緯から、在野でキラリと輝く人たちを大勢知っているらしい。「言論の自由を取り戻した」という村重氏に、これからしばらく、対談形式でそういった方々を随時ご紹介いただくことにする。トップバッターは新型インフルエンザによる献血不足の問題に早くから警鐘を鳴らした、成松宏人・山形大特任准教授だ。(担当・構成 川口恭)

100401kayama.JPG 1日に国立がん研究センターの理事長に就任した嘉山孝正氏は、職員向けの訓示の中で、「プリンシプルだけは頭に入れてやっていかないと事業仕分けの対象になる」「自立・自律・自浄をやってかないとアウト」と述べたうえで、『がん患者さんに起きる医学的・社会的・精神的問題等を解決する組織』をめざすなどとの基本理念を明らかにした。(川口恭)

 医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』(委員名簿はこちら)の2回目会合が31日開かれた。約50日ぶりの開催とあって、どのような進展があったのか満場の傍聴人が見守ったが、何のために手間をかけてやっているのか分からなくなる本末転倒な議論が随所で展開された。特に、保険局が医薬食品局を弾除けに使っていて、それが話をややこしくしていると分かるやりとりをご紹介する。(川口恭)

 一昨年5月以来23回を数えた厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』が30日終わった。報告書の中で「薬害」をどう定義するのかなど、最終回も予定を1時間超えて熱心な議論が繰り広げられ、最終報告書がまとまるまでには、さらに委員の中でメールベースの議論がありそうだ。(川口恭)

100326adr.JPG 医療に関して裁判外の紛争解決(ADR)機関を運営している関係者を一堂に集めた厚生労働省主催の連絡調整会議が26日開催された。動きの止まっている医療事故調構想との関係にも注目が集まるが、事務局の趣旨説明は「通常の検討会とは異なり、ここで何かを決めるということより、参加者で認識を共有して自発的に何か始めていただけるならありがたい」と控えめだった。(川口恭)

100324ncc.JPG 国立がんセンター中央病院の土屋了介院長が24日、自ら主催した勉強会の席で、定年まで1年を残して4月1日付で辞職し、癌研究会顧問になることを明らかにした。厚生労働省の役人から辞めさせられる(勧奨退職)のではなく、自ら退く(依願退職)という形にしたために、退職金を数百万円失うという。勉強会には、やはり15日に官職を辞したばかりの村重直子氏とスマイリーの片木美穂代表も登壇。会場も交えて熱い討論を繰り広げた。(川口恭)

100324ncc.JPG 土屋了介・国立がんセンター中央病院院長の主催する勉強会が同センター国際交流会館で24日開かれ、演者として15日に官職を辞した村重直子氏(前・内閣府特命大臣付、元・厚生労働省大臣室政策官)が登場、卵巣がん体験者の会・スマイリーの片木美穂代表も交えて、歯に衣着せぬ討論を繰り広げた。(川口恭)

100323zuimakuen.JPG「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」(田中美紀代表)は23日、ヒブワクチンや小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種化などを求める要望書を長妻昭厚生労働大臣に手渡した。これに先立って衆参議院議長宛にも約4万筆の署名を添えて同様の請願を行った。同会による国会や厚生労働省に対する請願はこれで4回目で、集めた署名は計20万筆になる。(川口恭)

 全国でも指折りの医師不足に悩む千葉県の有志が、13日に行われた医療構想千葉(竜崇正代表)のシンポジウムをきっかけに『地域の医師を増やす市民の会・千葉事務局』(田口空一郎代表)を発足させた。お題目ではない具体的な医師不足対策が講じられるよう、今後署名活動などを展開していくという。(川口恭)

 総務省消防庁は12日、昨年12月に国内で救急搬送された心肺停止状態の患者に関する実態調査を公表した。救急隊の現場滞在時間と搬送一カ月後の生存率、社会復帰率の相関図を示し、「処置時間が短ければよいというものでもなく、どのような処置を傷病者に行ったのかの検証」が必要とした。「搬送時間が短ければよい」という一部の見方に一石を投じるデータになりそうだ。(熊田梨恵)

0309gancenter.JPG 国立がんセンター中央病院院長主催講演会『新しい病院作りに向けて』が9日開かれ、立場ある医療者たちから爆弾発言が連続で飛び出した。特に、新病棟への移行が済んだばかりの日本赤十字社医療センター・幕内雅敏院長(肝胆膵外科医としても高名)の「告発」はビックリすること請け合いだ。(川口恭)

 厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第22回会合が8日開かれ、次回まとめる最終提言について討議が行われた。予定を1時間近く超えての議論だったが、「監視評価のための第三者組織」設置の部分以外に関しては、各委員が一通り修文案を言うだけで終わってしまい、最終的にどのように整理されるのか見えないままだった。(川口恭)

 患者・市民と医療者が共に対話の姿勢を持って「メディエーション」の普及に努めていこう、まずは子供たちの周囲にいる人たちから始めよう、という緩やかなネットワーク『産科小児科メディエーション協議会』が7日に設立され、この日に開かれたシンポジウムの席でお披露目された。(川口恭)

 よく「国家試験の勉強は、現場では全く役に立たないよ」と先生や先輩方はおっしゃいます。しかし「研修医として働くのに役に立たない」と断言されてしまう国家試験、その合格を目標にして大量の暗記を強いている今の医学教育とは一体何なのでしょうか。医師には正確な知識はもちろん必要ですが、診断にいたるための考え方・問診や身体診察手技・患者やコメディカルの方々とのコミュニケーション能力も同じように重要です。しかし現行ではぺーパー試験のみで「暗記ができる=医師として適任」と判断されています。
 平成21年5月に発表された文部科学省医学教育カリキュラム検討会の報告書では、日本の医学部6年生は「医師国家試験の受験対策に追われ、臨床実習が形骸化し、基本的な診療能力が十分身に付かない」と国家試験の弊害が指摘されています。
 医師国家試験は、日本の医師の質、さらに言えば医療の質を規定する大切な試験であり、その位置づけ・内容・運営は真に「良医育成のため」というポリシーに沿ったものである必要があります。臨床現場に出ていない学生の立場から僭越ですが、以下の点について皆様に考えていただきたく、この場をお借りして問題提起させていただきます。(群馬大学医学部医学科5年 柴田綾子)

 厚生労働科学研究として設置されていた『漢方・鍼灸を活用した日本型医療医療のための調査研究』班会議(黒岩祐治班長=国際医療福祉大大学院教授)は25日、「国民の期待は大きいけれど実状は瀕死という漢方の実態をさらけ出して、どうしたいのか問いたい」(渡辺賢治・慶応義塾大漢方医療センター長)と5項目の提言をまとめ、長妻昭・厚生労働大臣あてに提出した。(川口恭)

IMG_9967[1].jpg 4月に独立行政法人化する国立がんセンター理事長への就任が内定している嘉山孝正・山形大学医学部長が17日、内定後初めて東京・築地の同センターを訪れ、中期運営計画検討の場に加わった。これに先立って都内の別の場所で、嘉山氏と土屋了介・国立がんセンター中央病院院長に対談してもらった。現状は現場が動きづらく個々人の能力と努力だけで態勢が維持されている、と認識が一致し、嘉山氏は患者と接する"現業"を大事にするよう組織を作りかえると語った。(川口恭)*撮影:阪倉孝幸

改定答申前2012.jpg  約300人分の座席が用意された厚生労働省2階の講堂には、200人を超える一般傍聴者や報道関係者らが集まった。答申書を足立信也・厚生労働大臣政務官に手交した中医協の遠藤久夫会長は「非常に積極的で今までにないような多様な視点からの議論を頂いた」と委員らに感謝の意を表した。(新井裕充)

20100208-0957.jpg 医療上の必要性が高く、欧米で使われていながら国内では使えない医薬品を早く使えるようにしようという検討会『医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議』(委員名簿はこちら)の1回目が8日開かれた。突っ込みどころ満載だったので、できるだけ丁寧にご報告する。(川口恭)
*なお、資料がないと意味不明の点も多いと思うので、最低限のものは掲載した。色の変わっているところをクリックすれば読めるようになっている。

 厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第21回会合が8日に開かれ、前回、詳細を公開するか否かで揉めたPMDA全職員アンケートの結果が公開された。専門的能力に欠ける厚生労働省からの天下り・出向職員が組織幹部を占めること、行政の判断が優先されて科学的判断が捻じ曲げられることなどへの不満が赤裸々につづられていた。(川口恭)

mail16-0-2.jpg 元財務官僚で厚生労働省保険局に出向中は療養病床削減も担当した村上正泰氏=写真は29日の中医協で、新井裕充撮影=が、4月から山形大学大学院医療政策学教授に就任する。同大学の嘉山孝正・医学部長は中医協の診療側委員を務めており、かつて事務方として回していた舞台に、今度は診療側ブレーンとして臨むことになりそうだ。(川口恭)

中医協公聴会1.jpg 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」「訪問看護はボランティア」「医療崩壊を患者自身が痛感している状況は異常」─。4月の診療報酬改定について国民から意見を聴く中医協の公聴会で、福島県内の医師や看護師、患者らが医療現場の窮状を訴えた。(新井裕充)

 厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第20回会合が29日開かれた。実施する前にもやるかやらないかで鞘当てが行われたPMDA職員アンケート(その後に厚生労働省職員も対象に)に関して、その回答を公開するか否かで、再びほぼ同じ顔ぶれによる言い争いが起きた。(川口恭)

0113hpvvaccin.JPG 昨年末に販売開始された子宮頸がんワクチンがメディアを随分と賑わせていて、何となく自分もそれなりに事情を分かったつもりになっていたが、実際には何も分かっていなかったようだ。13日に国立がんセンター中央病院で開かれたシンポジウムに参加して、そのことを痛感した。(川口恭)

 妊婦が新型インフルエンザに感染した場合、合併症を引き起こすなど症状が重くなりやすい傾向がある事を知ってもらおうと、国が昨年末に妊婦向けのパンフレットを作成した。監修に関わった産婦人科の太田寛氏(北里大学医学部助教)は、「妊婦さんたちには、『自分自身が元気でないと、赤ちゃんも元気でいられない』ことを認識してほしい。妊婦がインフルエンザに感染したら、まれにではあるが命を失うこともあるということを知っておいてほしい」と話している。(熊田梨恵)

 16日の『新型インフルエンザワクチンに関する有識者との意見交換会』のなかで、厚生労働省の官僚たちは足立信也政務官や外部専門家から仕事を増やされるのを非常に嫌がっていることと、『有識者』もその意を忖度して動いていることのよく分かるやりとりがあった。人情としては大変よく理解できるのだが、同じように仕事を減らす配慮を前線に対してしているだろうか。(川口恭)

1216suzukan.JPG 文部科学省の鈴木寛副大臣は16日、癌研究会研究所で開かれた講演会で、この日計画を見直した上で予算の復活が認められた次世代スーパーコンピュータに関して、「皆さんもぜひ使ってほしい。基礎の創薬も考えられるが、それ以上に考えていただきたいのは患者情報のデータマイニング」と、医療界にも開かれたインフラであることを説明した。(川口恭)

 厚生労働省の『新型インフルエンザワクチンに関する有識者との意見交換会』が16日に開かれ、臨床試験の結果を踏まえて、妊婦と中高生に関してワクチンを2回接種せず1回接種で構わないだろうとの判断が了承された。厚労省では、この判断を受けて同日中に方針を示すという。(川口恭)

 13日に行われた新型インフルエンザワクチンの安全性を議論する検討会に、ワクチンの製造者別、ロット別に副反応の数・割合を出した資料が提出された。委員からは、差がないと判断してよいのだよねと助け舟を出す質問があったが、事務局の回答は奥歯にものが挟まったような歯切れの悪いものだった。(川口恭)

 新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の検討会が13日、開かれた。前回に引き続いて、委員の何名かから疫学的データ解析の必要性を指摘する声が出たが、事務局は何も言及せず、座長も「これまで通りの対応で」と取りまとめてしまった。(川口恭)

12月9日の中医協.jpg 診療報酬の引き上げを求める声は、国民を代表する立場の公益委員には届かなかった。約2時間の密室協議の末、公益委員は「中医協として診療報酬改定についての意見を(厚生労働大臣に)具申することは行わない」との決定を下したが、診療側からは「1号(支払)側の意見を公益委員が採り入れた」など不満の声が上がっている。(新井裕充)

 「整形外科医が行う運動器などのリハは年間5600億円。一方で柔道整復師による捻挫などへの施術には3800億円が使われている。これをどう見るか」「柔道整復師への保険給付費が日本の医療統計のどこに入っているのか、何度厚労省に聞いても分からない。正体不明の数字だ」「接骨院も整形外科も、患者にとっては両方に『先生』がいる」―。腫物に触るように扱われ、医療界の"ブラックボックス"とされる柔道整復師の保険請求問題が、にわかにできたばかりの民主党の医療議連で話題に上がった。(熊田梨恵)

 先月30日に新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の検討会が開かれた。接種後まもなくの高齢者の死亡が相次いでいることに関して、委員からは「ワクチンとは関係ない」という意見が大勢を占めたが、「関係あるとかないとか言えるだけの疫学データが示されていない」と参考人から「待った」がかかり、事務局は研究班に依頼して解析を行うと約束した。(川口恭)

1201kanpouhoken.JPG 先月11日の事業仕分けで漢方薬を含む市販品類似薬を保険適用外とする方針が示されたことに対し、日本東洋医学会、NPO健康医療開発機構、日本臨床漢方医会、医療志民の会の4団体は1日、漢方薬の保険適用継続を求める27万3636人分の署名を、厚生労働省に提出した。対応した外口崇保険局長は「政務三役ともよく相談して、後々に禍根を残さないようにしたい」と述べた。(川口恭)

 妊婦の救急け入れ不能の原因の一つとされるNICU(新生児集中治療管理室)不足を解消するための支援策を盛り込んだ事業が、「事業仕分け」で「半額計上」と判定されたことを受け、日本未熟児新生児学会(戸苅創理事長)は26日、補助金削減に反対する緊急声明を藤井裕久財務相らに提出した。(熊田梨恵)

 「基本的な呼吸や脈拍の観察ができていない救急救命士が約4分の1から3分の1程度はいる」-。消防庁が開いた救急医療に関する有識者会議に、救急救命士の観察能力や手技に関する調査が示された。救急振興財団救急救命九州研修所の竹中ゆかり教授は調査について、「呼吸や循環を見るための基本手技が不足しているので、改善のための訓練が必要。教育項目や国家試験ガイドラインなどの根本的な見直しが求められる」と話している。(熊田梨恵)

 今月7日の『現場からの医療改革推進協議会』の中で、ぜひ皆さんに紹介したいなと思いながら、しかしあまりにも発表が早口だったためメモが追いつかずにいたものがある。簡単な文字起こしができてきたので、ご紹介する。発表者は、財務官僚で現在は預金保険機構金融再生部長に出向中の松田学氏だ。医療界の方々が「当然」と思っていることが、本当に当然のことなのか考えてみていただけると幸いだ。(川口恭)

 「混合診療を認めればかなり解決する」「医薬局が公共工事をして本当にラグが解消すると思っているのか。何もしてない保険局を呼んでこないと」。16日に開かれた厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第18回会合は、ドラッグ・ラグ解消を訴えた患者代表の声が呼び水となってか、建前抜きの面白い議論が繰り広げられた。(川口恭)

 厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第18回会合が16日開かれた。対立の構図で語られることの多かった薬害被害者とドラッグ・ラグ被害者とが、「問題の根っこは同じ」という認識を確認しあい、これまでになく建設的な議論が繰り広げられた。(川口恭)

坂本委員、北村委員1113.jpg 管理栄養士、診療放射線技師、臨床工学技師らの「コメディカル」は決して「小メディカル」ではないのに、病院のヒエラルキーの下では医師、看護師、薬剤師らに次ぐ位置付けで扱われることが多いと聞く。しかし、来年度の診療報酬改定によって、コメディカルの確保が病院経営に大きな影響を及ぼす可能性が出てきた。(新井裕充)

11月13日の中医協02.jpg 厚生労働省は11月13日、中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)の保険医療材料専門部会と基本問題小委員会を開催した。会議終了後に厚労省の担当者が行ったブリーフィング(記者説明)の模様をお伝えする。(新井裕充)

 「志と気概なんかない。行く所ないから来ちゃったという子ばかりだ」。8日の『現場からの医療改革推進協議会』で、シンポジストとして登壇し、理学療法士の養成課程を大学化することを求めた半田一登・日本理学療法士協会会長から、専門学校に関する衝撃の"実態"が明かされた。(川口恭)

嘉山孝正委員(中央)1106.jpg 「ですから、まさに佐藤君が答えた通りで、今の医療崩壊を招いたのはそこなんですよ。つまり、あなたは『算定した』と言っているけれども、医師の技術料があまりにも低いために医師が立ち去り型になって崩壊したんです」─。新体制3回目の中医協で、嘉山孝正委員(山形大学医学部長)が厚生労働省を質問攻めにした。(新井裕充)

adati110801.JPG 昨日の『現場からの医療改革推進協議会』に登壇した足立信也厚生労働大臣政務官が、6日夜の会見に関して「これだけ重要なデータを出したのに一紙も出てない」とマスメディアに対して憤りを見せた。会見の発言内容は既にお伝え済みだが、グラフをお示ししていなかったので、ここに掲載すると共に昨日の政務官発言のうち該当する部分をご紹介する。(川口恭)

 先月25日に開かれた医療構想・千葉シンポジウムより、最後にご紹介するのは、当日最も共感した豊島勝昭医師の発表。事後に聞いたところによると、会場に着いてから講演するように言われて勧進帳に近い状態だったらしいが、シンポジウム全体の流れも踏まえてほぼ時間ピッタリ、実に理路整然としたものだった。(川口恭)

1103jahm.JPG 医療機関の中で患者側と医療者側の対話の架け橋となる人材『医療メディエーター』の育成を進めている日本医療メディエーター協会が3日、早稲田大学で会員研修会を開いた。生後間もない長男を病院内で失い、その後遺族ケアを行うNPO活動を長く続けてきた愛媛県の寺尾るみ子さんが、医療メディエーターをめざして看護学校へと通うようになったいきさつを語った。(川口恭)

 ワクチン接種回数に関する厚生労働省の迷走は、足立信也政務官が政治の力で科学をねじ伏せた結果であるかのようにマスメディアで報道されバッシングされている。しかし19日の会合の内容は、科学的根拠のない行政決断に政務官が疑問を呈し、専門家もそれを支持したというものであり、傍聴していた身からすると、一連の報道内容には違和感を禁じえない。19日に出席した専門家の1人である森兼啓太・東北大大学院講師も同じ思いのようだ。簡単にインタビューした。(川口恭)

 厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第17回会合が29日開かれた。医薬品行政を検証するとの旗印を掲げて開始されてから1年半、終結まで半年のこの時期になってようやく、審査や安全対策を行なっているPMDA(医薬品医療機器総合機構)職員の生の声を知りたい、と匿名アンケートが行なわれることになった。(川口恭)

北村善明・日本放射技師会会長.jpg コメディカル代表として中医協の専門委員に内定した日本放射技師会の北村善明会長がチーム医療の推進に意欲を見せている。「実際の現場ではチーム医療ではなく医療チームになっている。医師以外の職種がどれだけモノが言えるか、発言できているか」と指摘、医師を含めた「メディカルスタッフ」という言葉を提言している。(新井裕充)

 仙谷由人・行政刷新担当相は28日、「がん対策基本法をつくったけれど、事務局の厚生省のやり方が自治体に丸投げに近くて、国民の実感として医療環境がよくなっていない。議論を自治体の中で巻き起こしていただかないと前へ進まないのでないか。都道府県が本気になった時、もう1回矛盾が出てくるだろうが、その問題提起が自治体側からされれば、国としても解決できるのでないか」と、がん医療に対して地域レベルで考えることを呼びかけた。(川口恭)

 仙谷由人行政刷新担当大臣は28日、独立行政法人化されることが決まっているナショナルセンターや社会保険病院・厚生年金病院の経営について「日本の医療の世界を覆う大変な権威とパワーというものが、その延長線上で現在の日本の医療を再建できるとは限らない。いったん白紙に返して、今の事態を憂慮する専門家の方々と、そのことを理解するガバナンス・マネジメントの分かる方々の共同作業で新たなモデルから」と延べ、ゼロベースで検討する必要があるとの考えを明らかにした。(川口恭)

 25日に開かれた医療構想・千葉のシンポジウムで第一部のシンポジストとして登壇した薗部友良・日本赤十字社医療センター小児科顧問が、大変に力のこもった論文を配っていた。発表内容ともシンクロする部分が多く、以後の報告も分かりやすくなると思うので、許可を得て全文ここに転載させていただく。(川口恭)

 25日、6月に発足した医療構想・千葉の第二回シンポジウム『医療崩壊から再生へ 患者の視点で考える』が浦安市の了徳寺大学で開かれた。非常に密度の濃い講演とディスカッションが予定を大幅に超えて約3時間繰り広げられた。講演内容などは、彼ら自身が報告するものとの兼ね合いを見ながら機会を見て記すとして、まずはディスカッションの模様をご紹介する。(川口恭)

「社会保障基本法」シンポ2.jpg 救急患者の受け入れ先が決まらないのは、医療機関の怠慢だろうか。勤務医の環境が悪化しているのは、患者の権利意識の向上や医療訴訟の増加などに原因があるのだろうか。十分な医療を提供できないのは、医療機関の責任だろうか、それとも患者の責任だろうか。医師が悪いのか、患者が悪いのか。(新井裕充)

司会の埴岡健一氏.jpg 「医療崩壊とか救急・産科の(受け入れ困難)問題とかで多くの人が『医療に問題がある』と認識している。これは裏返せば、(医療)基本法成立へのエネルギーになる」─。医師の計画配置や患者の義務などを盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、長妻昭厚生労働相の政策ブレーンとされる埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)が声高らかに語った。(新井裕充)

仕切る埴岡健一氏1018.jpg 「民主党のマニフェストでは、残念ながら医療問題を解決できない」─。医師の計画配置や患者の義務を盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、現役の官僚がついに声を上げた。「自民党の時はもっと自由に言えた」としながらも、来年夏の参院選で「民主党なり最大野党の自民党のマニフェストに書いてもらえば成立は現実化する」と訴えた。(新井裕充)

読売新聞の田中秀一氏.jpg 日本医療政策機構の理事を務める埴岡健一氏らが推進する「医療基本法」について、読売新聞医療情報部長の田中秀一氏は、「医療は医師や患者の勝手になるものではなくて、公共財という視点で考える必要がある」などと力説している。「医療基本法」は、医師や患者に義務を課す強権的な法律なのだろうか。(新井裕充)

 19日晩に急遽開催された新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングは、大変に白熱して面白かった。しかし終了後の記者たちの顔を見ていると、金曜日の専門家会議について旧来型取材の常識に則って記事を書き、結果的に"誤報"とされて面白くなかったらしい。無理に要約しようとするから間違えるので、当方はあんまり要約しない。(川口恭)

伊藤雅治氏1018.jpg 「もっと強力に拠点化・集約化を図って集中的に医師を配置していく。医師を強制的に配置をするような仕組みを導入する」─。医師の計画配置を盛り込んだ「医療基本法」の成立に向けたシンポジウムで、元厚生労働省官僚が吠えた。(新井裕充)

 新型インフルエンザに関する厚生労働省の専門家会議で16日唐突に「13歳以上のワクチン接種は1回でよい」との合意がなされたことに対して、17日世田谷区医師会内科医会が開いた講演会の中で「専門家ならしない非科学的な判断を、専門家を名乗る素人が行なっている。それを御用メディアが垂れ流し、皆で拝んでいる。この国は危険だ」と激しく批判する声が上がった。(川口恭)

 13日夜に国立がんセンター中央病院で開かれた『院長主催講演会●新型インフルエンザとがん患者―ワクチン問題を考える●』の模様をご報告する。木村盛世検疫官と高畑紀一・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局長の2人が講演した後、鈴木寛・文部科学副大臣、足立信也・厚生労働大臣政務官、梅村聡参院議員(内科医)、土屋了介院長を加えた豪華な6人でのディスカッションとなった。まずは、そのディスカッションから。 (川口恭)

本田宏先生1.jpg 「新政権に期待したいのは、良い意味で医療に人が雇えるように、新しい雇用の創出。これは社会福祉も介護もそうです。全部そうですね。保育所もそうですよ。そういう所で人が働ければ、世の中が変わってくる。今こそ発想の転換をして、こういうところで雇用をつくってくれないかな、こう思っているわけです」─。埼玉県済生会栗橋病院副院長で、NPO法人「医療制度研究会」の副理事長を務める本田宏氏は9月27日、京都府保険医協会(関浩理事長)が主催したシンポジウムで講演した。(新井裕充)

 出産育児一時金に関して、開始直前にバタバタと見直しが行なわれた。なぜ、こんなことになってしまったのか。事の経緯を追っていくと、泥沼にはまっている医療事故調問題と共通する構造が見つかった。厚生労働省と医療界との馴れ合いの関係が時代にそぐわなくなってきていること、それなのに依然として医療界に自律の動きは鈍いことが、改めて浮き彫りになったとも言える。(川口恭)

表紙.jpg 「自分の子もこんなふうに大きく育つのかなと思うと勇気付けられる」「こんな交流の場を設けてくれた村田選手に感謝したい」-。シルバーウィーク中日の9月21日、横浜スタジアムで開催された横浜ベイスターズ対阪神タイガース戦には、新生児集中治療管理室(NICU)に入院したことのある子どもやその家族、NICUで働く医師や看護師ら約120人が観戦に駆け付けた。家族同士の交流を目的にした、自らも未熟児の息子の父親である村田修一選手からの招待イベントだ。子どもが退院した後の家族へのサポートが社会的な課題になる中、家族や医療者が一緒になってつくる"交流の場"を取材した。(熊田梨恵)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療側委員7人のうち6人が10月1日に改選期を迎える。6人とも規約上は再選可能だ。また今年2月に前田雅英委員が再選を拒否されたような国会同意人事でもない。だが、特に自公政権時代に与党支持を明言してきた日本医師会や日本薬剤師会を出身母体とする委員たちがスンナリ再選されるのか、長妻昭厚労相の判断に注目が集まっている。(川口恭)

坂本すが委員(左)0918.jpg 新型インフルエンザの流行に伴う看護師不足が懸念されるため、厚生労働省は「非常勤職員を新たに採用するなど、看護要員の過重労働の防止に配慮すべき」と求めている。これに対し、日本看護協会の副会長は「コスト面でのサポートはあるのか」と声を上げているが、募集すればすぐに看護師が集まるのだろうか。(新井裕充)

 今年度補正予算に総額3100億円が計上され箇所付け待ちになっている地域医療再生基金に関して、千葉県医師会が125億円の獲得を目指すことを理由に、「敢えて各二次医療圏に要望ならびに計画を出していただくことは控える」との文書を、総選挙投票2日前の先月28日に会員に送っていたことが分かった。「インチキだ」との強い批判が現場から出ている。(川口恭)

 全国医学部長病院長会議が11日、新政権に対する要望として、旧政府に対して要望してきた事柄を9項目にとりまとめた形で発表した。「特に新しい項目はない」(小川彰会長)と言いつつも、省令見直しが行われたばかりの医師臨床研修制度なども含め医師教育の抜本的改革を求める内容になっている。(川口恭)

 自民党の世耕弘成参院議員(参院議院運営委員会筆頭理事)は3日、「政治を動かしてよりよい環境を実現するということもお医者さんの仕事の『外』ではなくて『中』だと思う」との見方を示し、医療者は政治に声を届けてほしいと求めた。(熊田梨恵)

jciaccredire.JPG 先月に日本で初めて国際医療機能評価JCIの認証を取得した千葉県鴨川市の亀田総合病院・亀田クリニックで3日、認証式典が行われる。この2施設を中核とする亀田メディカルセンターの挑戦は、国から指示も援助も受けずに行われたという点で、国家統制色の強い医療界に大きな一石を投じるものとなりそうだ。「亀田」の人々が何を考え、どのように行動したのか、随時ご紹介していきたい。(川口恭)

 国内の企業と研究機関による先端医療機器開発を産業として活性化し医療工学水準を向上させることを目的に、それに向けた情報発信をしていく『日本の技術を、いのちのために。』プロジェクトが28日から始まった。この日、委員会が設立され、その記者会見が国立循環器病センターで開かれた。大阪主導、民間主導のものづくり復権の動きとしても注目される。(川口恭)

influadviseryvactine.JPG 26日夕刻、厚生労働省で『新型インフルエンザワクチンに関する厚生労働大臣と有識者との意見交換会』が開かれた。特に何かが決まったということではないが、後で記すように舛添要一厚生労働大臣が趣旨として説明した「議論の内容を皆に伝える」ことに私も意義があると思うので、簡単に再現する。(川口恭)

 全国42の国立大学医学部首脳でつくる国立大学医学部長会議が常置委員会名で21日、自民、民主、公明の3党に要望書を出した。医師数増、国立大学医学部定員増、医学部教職員増、大学設置基準見直しと高等教育費増、大学病院の借入金解消などを要望している。(川口恭)

ikakenwadakousyuukai.JPG 医療者と患者が一堂に会して互いのコミュニケーションについて学ぶ勉強会が17日、東京大学医科学研究所病院で開かれた。企画した外科の釣田義一郎講師は、「この病院は臨床試験をするのが使命。しかし、ともすれば『人体実験』と誤解を招くことにもなりかねないので、患者と医療者との信頼関係を構築するための試みとして開いた」という。(川口恭)

 14日に国立がんセンター中央病院で開かれたがん患者3人による講演会の概要をお伝えする。会の趣旨を、土屋了介院長の挨拶から引用すると「がんの患者さんは、実は経済的な負担が大変だという。私たち医者も分かったようでいて、でも聴くとそうだったのかということがたくさんある。診察室ではこういう話を聴くことはないので、ウチの若いのにも聴いてもらおうと思ったのだが、ちょっと参加が少ないのが残念。逆に言うと、これが医療界の実態であるということで大いに反省しないといけない」。会場は3分の2ぐらいの入りだったのだが、どうもメディア関係の聴衆が多かったようだ。(川口恭)

 厚労省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』に対しドラッグラグやワクチンラグに悩む6つの患者団体が連名で緊急要望書を出している問題は、29日に開かれた同検討会で、座長が秋以降にラグ問題についても議論したい意向を示した一方、一部委員は否定的意見を述べた。(川口恭)

 明日、第15回の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』が開かれる。検討会を傍聴するには大抵、厚労省サイトの案内に従って事前に申し込みが必要だ。しかし今回、待てど暮らせど申し込み方法の告知が出ない。心配になって問い合わせてみたら、いつの間にか、告知方法が変わっていた。(川口恭)

 昨年に相次いだ妊婦の救急受け入れ困難の問題をめぐる報道では、早産となった妊婦が周産期母子医療センターに救急搬送されるシーンが目立ったが、実際に「ハイリスク」と言われる出産は、早産よりも、小さく生まれる「低出生体重」ケースの方が多い。新生児医療を専門にする東京女子医大の楠田聡教授が「日本の新生児の運命」と題したフローチャートで示した。(熊田梨恵)


 10日の「第11次へき地保健医療対策検討会」では、事務局が座長に梶井英治・自治医大教授(地域医療学センター長)を指名した後、先進的な取り組み事例として高知、三重、長崎、島根がそれぞれの取り組みを紹介。第10次計画がスタートした後の班研究結果について説明が行われた後、最後の20分ほど自由討論が行われた。そのやりとりをご紹介する。(川口恭)

 10日に第一回会合が開かれた「第11次へき地保健医療対策検討会」で、メディアでありながら委員に入った前野一雄・読売新聞編集委員が「昨年11月(ママ。10月?)に読売新聞で出した医療改革提言についても意見を言わせてもらえれば」と挨拶した。若手医師の計画配置をうたって物議を醸した提言だけに、今後の検討会で、一企業の私案から「公的」なものへと格上げされないか、注視が必要だ。(川口恭)

相川直樹委員(左)0706.jpg 全国どこの病院でも同じような水準の医療を受けられることは患者の立場からは望ましい。しかし、関係学会などが示す指針(ガイドライン)の厳密な順守を求めることに対しては、「医師の裁量権を奪う」など否定的な意見もある。厚生労働省はむしろ、「診療ガイドライン」よりも「クリティカルパスの公開」に関心があるようだ。(新井裕充)

 東京都内で脳卒中医療連携に関わる急性期から慢性期までの医療機関が集まる「脳卒中地域連携パス合同会議」が7月4日に開かれ、回復期リハビリテーション病棟を有する4病院がパスの影響について報告した。在院日数が約30日短縮したケースや、脳卒中ではないがパスに乗って送られた患者のケースなど、さまざまな報告があった。(熊田梨恵)

 多くの勤務医が労働基準法違反の時間外勤務や当直勤務を強いられていると問題になっているが、当の勤務医たちは法律の規定を知らないのかもしれない--。そんな実態が消化器外科学会が会員を対象に行ったアンケート調査から浮かび上がった。(川口恭)

 緩和医療というと一般的に成人のがんに対するターミナルケアという印象が強いが、子どもの場合になると、約6割が脊髄性筋萎縮症などの神経筋疾患や18トリソミーといった先天性の染色体異常などの進行性で障害を伴う病気だという。成人に対する緩和医療も発展途上の段階で、まだまだ知られていない小児緩和医療。日本小児医療政策研究会での報告を聞いた。(熊田梨恵)

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藤原康弘氏(国立がんセンター中央病院臨床試験・治療開発部長)

「国立がんセンターとして、再発がん患者さんへのケアをどう考えていくかが問われている時。ナショナルセンターだからこそできる緩和ケアの研究や未承認薬の臨床研究、そして最後まで患者さんをみられるホスピスがあれば」-。がんセンターというと手術など外科領域に目が行きがちになるが、年々がん患者が増加する中、化学療法など内科的治療に頼る患者が増えていくのは間違いないだろう。内科の立場からがん患者を診ている国立がんセンター中央病院の藤原康弘臨床試験・治療開発部長に話を聞いた。(熊田梨恵)

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宮下徹也氏(国立がんセンター中央病院第二領域外来部長、手術・緩和医療部グループ責任者、写真左)
後藤隆久氏(横浜市立大大学院医学研究科生体制御・麻酔科学教授、右)

 
 「国立がんセンターは他がやっていることを追随するのではなく、新しいことに挑戦していくべき組織」(宮下氏)「現場から実績を示していくことができれば、日本の医療が変わる」(後藤氏)-。昨年秋、麻酔科医不足に悩まされた国立がんセンター中央病院は手術部門の再建に舵を切った。その立役者となった宮下徹也部長と、彼の出身大学の教授としてサポートを続ける後藤隆久・横浜市大教授の話を聞いた。(熊田梨恵)

長谷川学課長補佐0619.jpg 中小病院が地域で果たす役割を診療報酬でどのように評価すべきか─。中医協の分科会では、「救急医療」と「医療計画の実施」が候補に残っているが、具体的な基準はまだ明らかにされない。2010年度の診療報酬改定では、救急医療が重点的に評価される見通しだが、「地域医療への貢献」という"隠れ蓑"に身を包んだ計画が静かに進行している。(新井裕充)

 先般お伝えしたように、『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』が2年目に入った。医薬品行政のあり方を検討すると称して組織論が始まったのだが、どうも唐突な印象を拭えない。当の委員たちはどう考えているのか知りたいと考え、正反対の立場にいそうな、医薬品医療機器総合機構(PMDA)審査官経験のある堀明子・帝京大学講師と薬害サリドマイド被害者である間宮清氏の2人にインタビューしてみた。(川口恭)

DSC_0320.JPG 医療崩壊の危機に瀕している千葉県の現場から、医療再生への提言をしていこうというネットワーク的シンクタンク『医療構想・千葉』(代表・竜崇正前千葉県がんセンター長)の設立記念シンポジウムが13日、市長選投票前日の千葉市で開かれた。多彩な顔ぶれが集まり、オピニオンリーダーたちから「敵は日本医師会だ」、「千葉大病院がなければ千葉はよくなる」などと過激な意見が発せられた。(川口恭)

 「薬剤師の病棟業務は、医療の質にとって非常に重要なファクター」「(病棟薬剤師を評価しないと)病院のチーム医療は進まない」―。病院の機能によって診療報酬に差を付ける「新たな機能評価係数」について審議している中医協の分科会で、病棟薬剤師の配置を評価することに賛同する意見が相次いだ。(新井裕充)

DSC_0273.JPG 3月末まで千葉県がんセンター長を務め、この程『医療構想・千葉』というシンクタンクを設立する竜崇正氏にインタビューした。(川口恭)
りゅう・むねまさ●1968年、千葉大学医学部卒業。92年、国立がんセンター東病院手術部長。99年、千葉県立佐原病院院長。2005年、千葉県がんセンター長。

 『持病のない人は受診を控えて』という昨日の記事をお読みいただいた方の中には、「インフルエンザなら、タミフルをもらって治療すべきではないのか。大丈夫なのか」と、疑問を感じた人もいるかもしれない。結論から言うと、軽症であれば大丈夫だ。(堀米香奈子)

薬害防止のための行政のあり方を検討してきた厚労省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』が、このほど1年間の議論に基づいて第一次提言をまとめた。薬害被害者たちの強い意向を反映して医薬品の添付文書への規制を強めようとさせる内容となった一方で、委員たちも知らない間に「臨床研究支援のための基金設立」が盛り込まれていた。(川口恭)

4月22日の診療報酬改定結果検証部会1.jpg 「家族内での診療方針に対する意見の相違があり、個々に話し合いを要求される」「遠くに住む縁者を称する人が後から現れ、話がひっくり返る」―。回復が難しい患者の治療方針について話し合いをする上で医療機関が困難に感じるケースとして最も多いのは、「家族の意見にばらつきがある」だった。(新井裕充)

 医師の卒後臨床研修制度見直し案について検討してきた医道審議会・医師臨床研修部会が23日開かれた。この見直し案は、先週まで募集されていたパブリックコメントで各方面から強い批判を浴びており、この日の会議でもいくつかの点に関して複数の委員から繰り返し再検討を求める意見が出た。だが最終的に、この日から部会長になった相川直樹・慶應義塾大学名誉教授が「概ね了承された。ご意見の反映については一任いただいてもよろしいか」と辻褄を合わせた。(川口恭)

第4回終末期医療のあり方に関する懇談会TOP.jpg 死期が迫っている患者に対する治療方針をどのように決定したらいいだろうか。本人の生前の意思表示が文書に残されているなら、それに従ってもいいか。個人の意思は、日々変化するものではないか。死期が迫っていて患者の意思が確認できない場合はどうか。家族の判断に従って、延命を中止してもいいか―。(新井裕充)

siminnokaisimpo.JPG 医療の抱える課題を克服するために国民的大合同をめざそうという『医療志民の会』が発足し、その記念シンポジウムが11日に開かれた。楽観的に言っても、悲観的に言っても、千里の道も一歩からの「一歩」は確かに踏み出した、ということに尽きるだろう。(川口恭)
*写真左側で立っているのは、来賓を代表して挨拶する川田龍平参院議員。

 3月末にメディアを賑わせた恩賜財団母子愛育会・愛育病院(東京都港区・中林正雄院長)の「総合周産期母子医療センター」指定返上騒ぎ。労働基準法違反に対する労基署の是正勧告に端を発しているとは言え、唐突さに驚きを隠せない医療関係者がほとんどだった。だが取材を進めてみると、単なる偶発の騒ぎでは済まされない事情が見え隠れする。(熊田梨恵)

 「今の医療は、『とりあえずこの薬を出しておこう』という"とりあえず"型医療。そうではなく、『科学的に病気の性質を明らかにし、その人に合った、副作用がない薬を提供したい』と考えるのがこのプロジェクト」-。日本のゲノム研究の第一人者である、東大医科学研究所ヒトゲノム解析センター長の中村祐輔氏は4月7日、一人ひとりの体質に合った医療や薬を提供することで副作用のリスクなどを減らし、患者のQOLや医療の質を向上させようという「オーダーメイド医療」の普及啓発シンポジウムで、詰め掛けた約500人の聴衆に呼びかけた。(熊田梨恵)

過去の記事を調べていただくと分かるように、8から11へいきなり跳んだ。これは9回目と10回目が非公開だったため。途中6回目も非公開だった。11回目の議論を聴いていたら、この非公開の3回によって、かなりのコンセンサスができたようだ。土屋了介班長は総括で「全部公開した」と自賛したが、報じる側としては都合のよい部分だけ見せられたようで釈然としないものがある。これに起因するモチベーションの低さのほか、年度代わりのバタバタや超個人的事情もあって報告が遅れた。とはいえ書いておいた方がよいと思われることもあるので、遅まきながら記す。(川口恭)

 東京都渋谷区の日赤医療センター(幕内雅敏院長)が、渋谷労働基準監督署から、36協定を締結していないことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが分かった。同センターは、心臓病など緊急の救命処置が必要な妊婦を必ず受け入れることを目的に、東京都から指定を受けた3つの「スーパー総合周産期センター」の1つで、今月25日からスタートしたところだ。愛育病院が是正勧告を受けたことに続き、全国的にも注目を集めている「スーパーセンター」にも同様の指摘が入ったことで、都の周産期医療体制の維持を危ぶむ声も上がっている。(熊田梨恵)

 恩賜財団母子愛育会・愛育病院(中林正雄院長)が総合周産期母子医療センターの指定を返上するとの意向を東京都に伝えていた問題で、東京都福祉保健局医療政策部の室井豊救急災害医療課長は25日夜に取材に対応し、愛育病院側と協議の場を持ったとした上で、「病院側は法律の解釈について厚生労働省と相談し、調整していくということになった」と話し、病院側が総合センターの継続に前向きな意向を示しているとの見方を示した。(熊田梨恵)

『医療における安心・希望確保のための専門医・家庭医(医師後期臨床研修制度)のあり方に関する研究班』(班長:土屋了介・国立がんセンター中央病院院長)の最終第11回会合が25日開かれ、科や地域の医師偏在を是正する機能などを持った独立機関の卒後医学教育認定機構(仮称)設立を要望する報告書の提出を決めた。(川口恭)

(速報)愛育病院が総合周産期センターの指定返上を打診

 東京都港区の恩賜財団母子愛育会・愛育病院(中林正雄院長)が3月24日、都に対し、総合周産期母子医療センターの指定を返上するとの意向を伝えていたことが分かった。同院は今月17日に所管の三田労働基準監督署から、医師など職員の労働条件に関して労働基準法違反で是正勧告を受けており、現状での法令遵守は通常の医療サービス提供に支障をきたすと判断したとみられる。(熊田梨恵)

 東京都港区の恩賜財団母子愛育会・愛育病院(中林正雄院長)が今月、所管の三田労働基準監督署から、医師など職員の労働条件に関して、36協定を締結していないことなどを理由に、労働基準法違反で是正勧告を受けていたことが分かった。最悪の場合、業務停止に追い込まれるという。同病院は、秋篠宮紀子様が悠仁親王を出産されるなど、条件の恵まれたセレブ病院として知られている。また、1999年には東京都から総合周産期母子医療センターの指定も受けている。他病院に比べて労働条件に恵まれた同病院さえ是正勧告を受けたことで、周産期医療界に激震が走っている。(熊田梨恵)

患者の声と対話型ADRというシンポジウムが
早稲田大学で開催されたので傍聴してきた。
実に内容が濃く、かつ頭の中がクリアになるものだったので
記憶が鮮明なうちにご報告したい。
ちなみにNHKのカメラも入っていたようだった。

会場は早稲田大学の南門を出てすぐのところにあるという
小野記念講堂。
小雨の中、地下鉄早稲田の駅を出て歩いていくと
商店街は、野球部の全国優勝を祝う張り紙ばかり。
あれも早稲田で、これも早稲田、大したもんだ、と思う。
着いてみると楽屋まで完備の実に立派なホールだった。


前置きはこれくらいにして早速報告を始めよう。
まず和田仁孝早稲田大学紛争交渉研究所長が挨拶。
「被害者や遺族が参加する新しいタイプのADRをめざす。しかし、どんなに善意に考えたとしても、我々は専門家でしかなく、本当に被害者や遺族の声に答えることにはならない。いろいろな機会で被害者や遺族の声を聴く必要があるだろうということで、今回はここに焦点を当てて2人の遺族の方にお話をいただく。それを受けて我々のNPOがどう考えているのか説明し、さらにパネルディスカッションで議論したい。最後には国会議員も交えてさらに論議を深めたい」
いつものことながら、分かりやすいアジェンダだ。
今からの2人の話を克明に記録することが肝要だなと合点する。

=====
最初の佐々木孝子さんは
1994年1月に二男の正人さん(当時17歳)が
バイクの自損事故で救急病院に搬送されたのだが
十二指腸破裂を見逃された挙句、MRSAの院内感染によって
事故後15日目に亡くなったという経験の方。
聴けば聴くほど理不尽極まりないと思うのだが
感情を高ぶらせることなく低い声でゆっくり噛みしめるように話す。

「もう13年前になりますが、三人兄弟の真ん中の子供を医療事故で亡くした。医療者に対して私は高級職、専門職として信頼と尊敬の念を持っているが、その時にことについては納得がいかなかった。バイクの自損事故で運び込まれた救急病院で、非常な腹部の痛みを訴えていたにも関わらず単なる打撲と診断され、食事に普通にさせていた。9日目に造影検査をして初めて1.5センチの亀裂が見つかった。あまりに遅い診断だったし、それから行った長い手術の後、『食べさせたのが悪かった。食塩水で洗った』と言って、その晩は出てこなかった。翌朝になったら黄疸の症状が出ているので訴えたら『ここでは処置する設備がない。お母さんあらめてください』と。そんなことを言われてあきらめる親がいるはずがない。慌てて済生会へ転院させようとしたら、その時になって『もう一度手術させてほしい』と言ってきた。転院させたのだけれど、2日目にMRSAの感染が分かって、正人がお母さんもうダメと指でバッテンを作った。葬儀の後で、先生いったいどうなってたのですかと尋ねたら、分厚い文献を持ってきて、これにも載ってないので分からなかったと言われた。しかし、どうしても納得いかなかったので提訴することにした。医者を訴えるのはよほどのこと。
それなのに途中から弁護士が示談しましょう、と。1年ぐらい準備書面を交わしていて、『争点になる事実がないか』と言うから、いろいろ調べて救急の腹部外傷に関して鑑定してくれる医師が沖縄にいたので行ってみたら、レントゲンの中に教科書に出せるくらい十二指腸破裂に典型的な気腫像が見える、と。これを分からない医者が救急病院にいるのか、と。それで、その旨を準備書面で出したら、相手からは『最初からわかっていたけれど、あなたが主張しないので言わなかっただけだ』という不可解な答弁書が出てきた。しかも弁護士から、『もう準備書面を書けないし、先にも進めることができない』と言われ、和解を勧められた。最初から和解する気なんでなかったので弁護士を解任して、どうしようかと思っていたところで本屋さんで和田先生の書いた本人訴訟に関する論文を見つけて、本人訴訟で行こうと決めた。裁判長からは威圧的に『せっかく和解が見えて8合目まで行っていたのに3合目まで戻ってしまった。弁護士を決めなさい』と言われたが本人訴訟で行くと突っぱねた。
(裁判官も代わって)ようやく医師の証人尋問をできることになったのだが、出廷してきた医師2人の顔を見てハッとした。2人ともでっぷりとした体格だったのに、顔が半分くらいスリムになっていた。心が痛んだ。医師は私の顔を見ることもなく謝罪の言葉を述べることもなく、私の問いかけには無言だった。私は遺族は一生癒されないのだと伝えたかった。
裁判は精神的に張り詰めた状態が長く続く。しかも相手側からは真実のない書面が出てくる。多くの被害者・遺族は、まず診療期間中に何があったのか知りたいと思っていて医者から聞きたいと思っているのに答えてくれない状況があると、それだったら公の訴訟という場に呼び出してもらおうという気になってしまう。しかし医療過誤が裁判に向いているかというと必ずしもそうでないと思う。
ADRのシステムは5年前に知った。ミスがあった時に医療者が説明し真摯に謝罪することによって、医療者は次の医療へと向かっていけるし、遺族も立ち直れると思う。そうすればマスコミにセンセーショナルに取り上げられることもなく、解決の道筋が開ける。
訴訟の後、北海道から九州までいろいろなところから電話がかかってくるようになった。多くの人が医療者への不満を漏らす。それをカウンセリングのように聴いてあげる。長い人だと1時間以上話す。ただ聴いてあげるだけでも、最後には少し気が楽になりました、ありがとうと言って皆さん電話を切る。

13年も経っているが昨日の如く息子のことを思い出す。当時88歳だった父が『誰にも迷惑をかけることなく逝ったんだから、あきらめなさい』と言ってくれた。その父も3年前に97歳で亡くなった。100年近く生きたとしても人は必ず死ぬ。息子の人生はたった17年だったけれど、その分凝縮して生きたんだと思うことにした。裁判の途中で病気になって1週間入院した。それが息子からの「自分の人生も大切にしなよ」というメッセージのように受け止められて、それからは前向きに楽しく毎日を過ごしていこうと思えるようになった。
医療者の使命感を尊敬している。どうか心やさしいケアをお願いしたい」

=====
この医療事故は民事の一審で佐々木さんが勝訴した後
医師2人が控訴し
「反省してない」と考えた佐々木さんが刑事告発して
最終的に業務上過失致死で医師2人の有罪が確定し
2人の医師は罰金刑とさらに業務停止3か月の行政処分を受けた。
民事訴訟も医師側が控訴を取り下げる形で和解が成立したという。
なかなか言葉を発しづらい雰囲気の中、和田所長が
「分かると言ったら失礼になる。でも学んでいきたい」
と引き取って、次の村上博子さんの紹介へ移った。


最後まで事情がよく分からないままだったが
話をつぎはぎすると、どうやらこういうことらしい。
神奈川県の大学3年生だった息子さんが心拡大によって亡くなった。
実は大学が行っていた定期健康診断では
心拡大は判明したいたのだが本人にその結果が知らされていなかった。
村上さんは和田所長がインタビューする形式で話をした。


和田
「息子さんが亡くなって、まず何をしたいと思ったか」


村上
「何が起きたのか事実を知りたいと思った。私にとって息子の死は理不尽なあってはならないことに思えた、二度と息子のようなことが起きないようにしてほしいと思った」


和田
「まず裁判するつもりがないと宣言したというのが珍しい」


村上
「最初からそうだったわけではない。パッと思いつくのは裁判。とはいえ、裁判のことなど何も知らない。調べてみたら、何が起きたか知りたいとか、二度と同じことが繰り返されないようにとかいった自分の願いを叶えるものではない、そういう気がしてきた。お金も時間もかかるし、息子の死を損害として金銭換算しなければならないのが気持ちに馴染まない。だったら最初からやりませんと。それに裁判では死の決め方が狭い。この時こうしていれば死ななくて済んだというのは全部明らかにしたかった」


この時点では「死の決め方が狭い」という言葉の意味が
よく分からなかったのだが
後になって実に重大な意味を持っていたことに気づく。

=====
和田
「狭いとは」


村上
「健康診断の結果を息子に知らせてくれていれば治療できたかもしれない、といった具合に、資料開示をかけてみると、ここでもしもう少し医療者が突っ込んで対応してくれていれば、死なずに済んだかもしれないということがゴロゴロしている。それをすべて握りつぶされた。その過程を検討して改めるべきは改めてほしい。
健康診断が、大学にとっては就職証明書を作るためだけのものになっていて、医療者にとっても大したものが出てこないと決めつけられていたように感じる。息子の死をケーススタディに再発防止の検討をしてほしい。
そう思って、医療機関の最高責任者や現場レベルの責任者に都合5回面会を申し込んだけれど、残念ながら誰にもお目にかかることができなかった。こちらは開示されたものが真実なのか疑義を持っていて、とても事実にたどり着けないという感覚を持った。そういう対応をするのは責任問題を恐れているからだろうと考えたので、だったら上の人に面会して責任追及や裁判はしないと伝えて、事実を聴きたいと思った。しかしあっさり断られてしまった。
こちらは怒り狂って全て文書にしてぶつけてしまった。それでもやりとりの肝心のところは曖昧だし、改善案もおざなりに感じた。だったらと事実解明はあきらめて、再発防止の一点に絞ってと提案したけれど、それでも現場の責任者からは『説明を尽くした』という文書での回答しか来なかった」


これまた凄まじい話である。
例えるなら、丸腰で「話せば分かる」と近づいているのに
相手が銃を構えたまま砦から出てこないということだ。
たぶん、こんな事例が少なくないのだろう。


村上
「患者がまだ質問があると言っているのに、説明は尽くしたという医者がいるのか、と怒り狂った。医療者の良心に訴えていけば何とかなるのでないかという信頼が音を立てて崩れた」


和田
「医療者の一人ひとりと話してみると、良心を持っているし、悩んでもいることが多い」


村上
「しかし、その部分が何にも出てこなかった。医療者も苦しんでいるんだと感じ取れていたら、状況がまた変わったかもしれない」


和田
「文書でやりとりしたのが問題だろうか」


村上
「窓口が総務の部署で、医療者とは一度も話すことができなかった」

=====
和田
「話をできていたら、納得いく対応が得られたと思うか」


村上
「まず、きちんと話を聴いてほしい。納得いくまで説明をして、そのうえで私の言い分を聴いて欲しかった。事案解明した説明と反省や後悔、あるいは力及びませんでという言葉と息子のようなことを二度と起こしませんという誓いの言葉があれば、納得できたのでないかと想像する。
会っても文書と全く同じ対応だったら怒り狂って何も言えなくなってしまうかもしれない。単なる謝罪だけなら受け入れられない。
会うのはいいことで解決する手段かもしれないけれど、お互いに準備をしてからでないと意味がないのでないかと想像する」


和田
「どういう準備?」


村上
「疑義を申し立てるのはよほどのこと。スーパーのレジ打ち間違えとは訳が違う。迷いに迷った挙句の行動なので、感情的に崖っぷち、ギリギリの所に立っている。マイナスの感情だけで、しかも自分自身を責める気持ちも根底にある。そんな状態だから、感情そのものをぶつけてしまいがちだし、自分が何を望んでいるのかすら分からなくなる。
医療者と会う前に、そういったマイナスの感情を脱ぎ捨てないと、脱ぎ捨てるのは無理だとしたら、せめて抑え込まないと。被害者が加害者と話をする図式ではうまくいかない」


和田
「村上さんに『被害者』という言葉に違和感があると言われた。マイナスの感情を抑え込むことができたという意味では自分自身でメディエーションをこなしているのだろうか」


村上
「私には、まじめに話を聴いて、しかも批判してくれる家族や友人がいた。その点で恵まれていた。周りに医者がいたのでカルテを読んでもらったし、弁護士の友達もいた。そうした人たちに支えられることで、自分の中でキリの良いところで終わらせることができた」


和田
「医療者側も準備しなければいけないだろうか」


村上
「鎧を脱いでもらいたい。組織、保身、体面、世の中を渡っていく鎧を脱いで、良心だけで対峙して将来への誓いを立ててほしい。自分には、できないと思ったら、それも口に出してほしい。組織も、大きな度量で医療者にそれを許してほしい」


和田
「医療機関との交渉では得るところがなかったけれど、文部科学省が対応してくれたとか」


村上
「いろいろと文書にまとめて大学へ送った最初の項目が、健康診断結果の通知方法についてだった。大学の方法は明らかに問題があったけれど、調べてみると全国の多くの大学で同じ方法を取っていた。そこで文部科学大臣に手紙を出した。お役所だから期待していなかったのだけれど、「どういう結果であろうとも本人へ伝えるよう」全国の大学へ文書を発したとのお返事が来た。
たったひとつだけれど願いが叶ったと思うことにした。息子の死が価値あるものになるのは遺族にとって大きな意味がある。
私が伝えたかったのは、疑義を申し立てた人の気持ち。医療者には理解してもらえなかった。危険人物のように見なされ、相手は隙を見せないように身構えている。大きな溝を感じた。その構図では気持ちが伝わるはずがない。
医療者へ申し上げたい。疑義申し立てした人を固定観念で見ないでほしい。真っ正面で受け止めてほしい。それが問題解決につながる」

=====
まさに圧巻の意見陳述である。
ここから議論がどう展開していったのかは稿を改めることにする。


今日になって遅まきながら気づいたこと。
遺族も一生恨みや怒りを抱えていくのは耐えきれないことで
どこかで心に区切りをつけたいと願うものなのだろう。
ところが医療者が出てこないことによって
いつまでも宙ぶらりの不幸な状態に留め置かれるわけだ。
これは二重の苦しみでないか。
やはり医療者が出ていける場を作らないといけない。


シンポジウムの報告に戻ろう。
村上博子さんの話を受けて和田仁孝所長が
中村芳彦弁護士(法政大教授)を紹介しつつ
「これから設立するNPOは、誰かが誰かのためにではなく、皆で皆のためにでなければ機能しないと考えているので、ぜひ参加してください。使ってください」と呼びかける。


中村
「気持の問題を解決することが問題の解決につながるということが印象的だった。また裁判が果たして有効なのかという問いかけもいただいたと思う。では、どういう風に対応したら良いのだろうか、ということで私たちはNPO法人の『医療紛争処理機構』を設立する」。
と、資料を交えて説明しだす。
ロハス・メディカル6月号の「ストップ!!医療崩壊2」の
4見開き目と重複するので資料は採録しない。
「これまでも裁判の対立構造によって不信を増幅し医療崩壊を進めてしまってきた。溝を埋めるには対立構造では不可能。医療は強い信頼関係の中で行われるもの。医療ADRの一つの試みとして、こういう仕組みを考えた。NPOの認証を受け、さらにADR法の認証を受けなければならないので、実際にADRが稼働するのは来年はじめくらいだろう。それまではメディエーターの育成支援が主な業務になる。閉じた機関ではなく、様々な方の参加を得て考え直す場、信頼関係構築の場としたい」
と急ぎ足で宣言して休憩に入った。

=====
休憩の後はパネルディスカッション。
向かって左から和田、佐々木、村上、中村と来て
その次が土屋了介・国立がんセンター中央病院院長
さらに黒岩祐次・フジテレビ解説委員(昨日の写真参照)。
新たに加わった2人がここまでの感想を話すところから再開。


黒岩
「お二人の話を伺って、その心の痛み、母親の思いはすごいなと感じた。死を再発防止につなげるとか、真相解明するというのに裁判が向いていないというのも説得力があった。10年ほど前にフロリダの病院を取材に訪れたときのことを思い出した~」。黒岩氏が紹介したマーティン・メモリアル医療センターの件はご存じの方も多いと思うので割愛する。


土屋
「黒岩さんが指摘した欧米と日本の対応の違いは、思想の違いの現れでもある。欧米では事故をゼロにするのは難しいと捉えているので起きた後の対応を常に考えている。日本は間違えたヤツを罰して、そうすれば事故がゼロになるだろうと考えている。
佐々木さんのお話は、医療者としても当該医師の態度や誠意には問題があると感じた。
村上さんのお話は事情がよく分からないのだが、医療者に疑義を申し立てる際にマイナスの感情でパンパンになるまで我慢してからぶつけるという話があった。医療者からすると、だから困るとも言える。もっと早く言ってもらえればいいのにと思う。退院する時になって病室が暑くて苦痛だったというようなことを言う人もいるのだが、入院中に言ってもらわなければ、応えようがない。それから責任者に交渉しようとしたということについては、私の病院でも何でもかんでも『院長を出せ』という人が多いのだけれど、そういうのでいちいち院長が出て行っていたら病院が回らなくなってしまう。多くの病院で医療事故対応のトップは副院長。私も4年間務めて、いろいろな場に出て行った。医療者がなぜ面談を嫌がるかというと、それこそパンパンに不満が溜まっているので、たいてい2時間は話を聞かなければならない。あまりに副院長の業務が多いので、院長が部長にも振るようにと言ってやらせたことがあったけれど二度やって二度とも結局私のところまで回ってきた。部長連中が悪いのは、まだ相手が話しているのに途中で遮って、相手の言ったことを医学的に解説しようとした。だから、私が黙って聴けと言ったら『ほら見ろ、副院長先生は聴いてくれるじゃないか』と言われた。要するに医者と言うのは人の話を聴くトレーニングができていない。
いずれにせよお二人の話を聴いて自分の施設の教育をし直さないといけないと痛感した。素直に皆様の声に耳を傾けることが改善の第一歩なのだろう」


和田
「パンパンになる前に早く言ってほしいという医療者側からの意見があった。一方でそうはいっても相手は医者でイーブンではないのでないか。対話するといっても、そんなに理想的にはいかないのではないかという批判をよく受けるのだけれど、患者側としてはどう受け取るか」


佐々木
「対話は大切。顔と顔が合うから心も通じ合う。絶対に必要」


村上
「医療者側に聴いてほしい。火中のクリを拾ってほしい。たとえば待ち時間が長いというクレームがあったとしても、本当は診療に不満があるのかもしれない。なぜなら、おいしいラーメン屋さんに行列しても誰も文句を言わない。言葉の向こうにあるものをほじくり出してほしい。クレームの中に解決すべき課題があると認識してほしい」

=====
和田
「医療機関側が聴く姿勢を持っていればよいが、そうでない場合にそれをどう変えていくのか。現実にできるような体制を整えていくときに、まず中村さんにフェアネスをどう捉えればいいのか伺いたい、土屋先生には医療機関の体制をどうすればよいのか伺いたい、黒岩さんにはメディアとして敵対的でない構図をどう描くのか伺いたい」


中村
「まず院内での安全管理の徹底をすること。安全管理部門の人間は臨床現場と距離を取って、透明性・公平性のある運用をできるようなシステムを持っていることが必要だろう。しかし最初から期待すると、そもそもそれができないから問題になっているのであって、どうすればいいのかという話になってしまう。
少なくとも患者側に対するサポート体制は必要であろう。大きな情報格差が依然としてある。その意味で我々の描く院外ADRにはサポート機能も必須と考えている。患者側自身の理解と納得が実現されることを通じてフェアネスも達成される。
院外ADRに強制的調査権のないことを批判されることが多いのだが、証拠保全をかけてからADRに来ていただいても構わないわけで、その辺りはいきなり訴訟ではない柔軟な構造が取れる」


土屋
「根底に患者側が満足していないことがあるというのがポイント。日常診療からキッチリ対話をするように見直していかなければならないと思う。私は院長になってから、外来を完全予約制で1時間6人までにした。それまでは主治医がどんどん診察を入れて1時間に10人も20人を診るようになっていた。患者さんのためと本人たちは言うけれど、結果としてきちんと対話ができていなかった。そういう風に診療そのものから見直していかないといけない」


黒岩
「前提条件がキッチリできていないと難しいと思う。ミスがあった時に隠したくなるのが自然な反応で本能のようなもの。そのままの状態で対話しろと言ったって、逮捕されるかもしれないと思ったらムリ。米国では、件のベン君の事例をモデルにするにあたって、クリントン大統領が全部出しなさい、その代わりそれは刑事で問わないということをした。罪に問われないということが大前提。メディアの人間として、この問題に関しては内心忸怩たる思いがある。どの立場に立っているのか問わざるを得ない。特にテレビはエモーショナルに患者さんの立場に立った方がやりやすい。患者の声を伝え、一方で取材に応じない病院やドクターを敵として追及するというのはよくある。印象として善良でかわいそうな患者と殺人者に値する医療者という構図にしてしまう。福島県立大野病院事件があって、その後どうなったか。それでメディアはいいのか。この医療崩壊をどうやって食い止めるのかはメディアが抱えている課題だと思う」

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佐々木
「記者会見でよくテレビカメラに向かって病院側を謝らせてますよね。あれは一体誰に対して謝罪させているんですか。先に遺族に謝罪させるべきではありませんか」


土屋
「極論すれば会見しないでも良いと思う。被害者に直接謝るべき。でも、メディアに責め立てられ、メディアに用意されて出ていくというのが実際のところ」


村上
「土屋先生が先ほど責任者に話を持って行ったのが無謀だとおっしゃった。確かに自分でも無謀だったとは思うけれど、方法論としては間違ってなかったと思っている。というのが、最初に質問した際に現場の責任者からは明らかにおかしな回答が来た。これは組織としての意思決定があるに違いないと感じた。黒岩さんの紹介したベン君の件では、婦長が最高責任者に『これを検査したら病院になるかもしれないけれど調べるか』と尋ねて、最高責任者が了承している。そういうくだりがあったので、だからそのことを紹介した和田先生の本を手紙に同封して担当理事あてに『どうかこの本の付箋を付けた個所を読んで欲しい。あなたの英断が必要』と手紙を書いた。しかし結局決断はしていただけなかった。上の方の意思がないと、事実も出てこないし、医者も大変な思いをするのだと思う」


土屋
「組織として対応しないといけないのは確か。私が先ほど言ったのは、決まり文句のように『院長を出せ』という人が多いという話」


黒岩
「終末期医療なんかまさにそうだけれど、殺人罪と一線を画したところへ持ってきてあげないと。免責は大事な要素だと思う。
メディエーターというのが、話に聴いてもどうもイメージがつかめなかったのだけれど、実際に活躍している人に会ってなるほどと思った。医療福祉チャネルの番組で大阪・豊中病院の水沼さんというナースの仕事ぶりを追った。それこそマイナスの感情でパンパンになった人が突然やってくるわけだが、その方は奥さんがミスで寝たきりになってしまった。で暴れまわって大クレーマー。水沼さんに対しても、しょせんお前も病院から給料もらってる病院側の人間やろうと罵倒する。それに対して、たしかに私は病院側の人間ですけれど、きちんとやりますから、思う存分話してください、とまず不満を聴きとって、それを今度は現場の人間に対して、テクニックなのか少しキツイ位に『こんなことがあったのか』と問いただす。それを見て旦那さんも心を開いていくわけ。最初は大クレーマーだった人が私たちのインタビューに対して『水沼さんには感謝している』と言った。『裁判になった時も暴れたけれど納得した。こういう気持ちにならせてくれたことに対して感謝している』と。そういう人間力のあり人がメディエーターになるんだなと思った」


和田
「水沼さんクラスのメディエーターは今日の会場にも何人もいる。刑事免責の件だが、日本以外の国では医療事故は刑事事件にしない。それは遺族から見た時にどうなのか」


佐々木
「私の場合は刑事へ行って業務停止3カ月の行政処分も出た。でも聴いたら院長は業務停止中も毎日病院に来ていたらしい」


村上
「裁判をやっわけではないのだが、池田小事件で宅間死刑囚が『早く死刑にしてくれ』と言って執行されたのを見て、遺族は気持が治まるのかなと思った。言葉は悪いが、もっと本人に自分のした罪に苦しんでもらいたかったのでないかという気がする。医師の場合の刑事罰もそれで遺族の気持ちの整理がつくのかなとは思う。気持の整理がつくかどうかの方が大事。佐々木さんの例のように形だけの罰だったら余計に腹が立つ」

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和田
「医療者の苦しみが刑事罰だと遺族に伝わらないという話だが、それをつなぐのがメディエーションでありADR」


土屋
「解決した後も恨みは残ると思う。ただ、医療者が真摯に反省して改善があれば遺族の慰めにはなるだろう。ただし、対話の場には水沼さんのようにエクセレントなメディエーターでなくても、医学的な常識のズレを埋める翻訳者は必要だと思う」


ここでディスカッションの第一部が終わり中村、土屋の両氏が退席。
代わりに鴨下一郎衆院議員(自民党、医師)と
鈴木寛参院議員(民主党)が加わって第二部へ。

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鴨下
「ここまでどういう議論が行われてきたか承知していないが、対話型ADRを構築すべしというシンポジウムの趣旨については、まさにその通り。福島県立大野病院事件に大変ショックを受けた。政治も取り組まないといけない。厚生労働省も第三者委員会を作ろうと動き始めているので、その動きについてまずご報告したい。
本当は医療は安全・安心にかかれるものでなければならない。一方で医者は訴訟に対して防衛的になりがち。胸襟を開いて対話するためにも、いきなり警察・検察でない仕組みが必要」


鈴木
「行政監視委員会に所属して医療ミスがどうやったらなくなるかといった問題を考えてきた。また福島県立大野病院事件で鴨下先生ともご一緒に医療者の請願を川崎厚生労働大臣に取り次いだりした。
この問題は相当根が深いというか、いろいろなレベルで様々な問題を含んでいる。医療現場のコミュニケーションの問題でもあり、医療機関のガバナンスの問題でもあり、霞が関・永田町の医療政策の問題でもある。この問題こそ熟議・熟論が必要であり、今日だけで解決策が示せるはずもないがキックオフとしたい。
医療崩壊、保身医療、委縮医療がどんどん広がっていて、みな善意で関与していて、加害者はいないにも関わらず被害者がいろいろなところに出ているという状況だと思う。また霞が関の議論が、我々の意図とズレてきていることも指摘しておきたい」


和田
「鴨下先生からも言及のあった医療版事故調というか原因究明機関について、遺族としてどう評価するか」


佐々木
「対話型ADRのことで頭がいっぱいなのだけれど、第三者機関は行政任せになるような気がする。遺族は情報を得ることができないし、医療者の顔も見ることができないのでは? 被害者はその場の議論でどんな気持ちになるのだろう、納得できるのだろうか」


村上
「実はパブリックコメントを送った。書いたのは、死亡原因を広く取ってほしいということ。これからの医療を良くするためという観点に立って、行政とか保険点数の所まで遡って原因を広く取ってほしい、と。それから被害者・遺族の申し立てで調査に入ってほしいし、その結果を踏まえて対話の場を設けてほしい。そのうえで話し合ってほしいと書いた」

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鴨下
「第三者機関の議論は始まったばかり。こうした声は吸い上げなければならない。患者の疑問と医療者の言い分はすれ違いがち、何が重要か、罰することなのか、補償を受けることなのか、むしろ多くの方にとっては、なんでこうなっちゃったのか知りたいのだろう。当事者どうしで話してもらう。医療者は防衛的になりがちなので、お互い納得するものを見つける、患者が納得できる仕組みでないと意味がない」


ん?と思った。第三者機関の議論が既に取りまとめ段階に入っていることは耳に入っていないらしい。本題とずれるので、あまり深く考えないようにしておこう。


鈴木
「村上さんのおっしゃった死亡原因を広く取るというのは非常に大切なこと。というのは先ほどから対話が大切だという話になっているが、医師が患者さんと10倍コミュニケーションの時間をとったとしても診療報酬は変わらない。もっとヒドイ例で言うと家族とのコミュニケーションも大切だと思うのだけれど、それに対しては診療報酬は1点もつかない。そんな中、マジメな医療者たちは自己犠牲を払って患者や家族と対話しようとするのだけれど、やればやるほど燃え尽きてしまう。原因といった時の食い違い、それは直接の死因なのか、それともその死因を発生させてしまったシステムの問題なのか、きちっとしておく必要がある。たとえば日本外科学会の調査では、実に外科医の7割が当直明けの手術を経験しているという。つまりほとんど徹夜明けで手術している。そんな状態でミスをした時にそれは果して医療者本人の責任なのか。本人を追及しても恐らく再発防止にはならず、リスクのある医療行為をやらなくなるだけ。二度と繰り返さないために何が必要なのか、という原点に帰ってくることが大切だと思う」


和田
「だんだんマクロの話になっていくのだが、事故の当事者にとっては常にかけがえのないミクロの話。そういうミクロをすくい上げるのはメディアの得意分野なのかなという気もする」


黒岩
「ミクロを取り上げやすいのはその通りなのだが、エモーショナルに動かして大きなグランドデザインを壊すことになる危険性が常にある。死亡原因を広く取る、というのは実に素晴しい表現。対話にはテクニック性もあるのだが、医療者の教育で教えているのか、などなど言い始めるとキリがない。一つひとつやっていくしかないのかなと思う」

=====
和田
「そういう意味でも一つひとつの被害から学ぶ、こういった機会が重要だと思う。では折角の機会なので会場の方、質問があったら」


会場1
「大学で倫理学の研究者をしている。今日の話を聞いていると、これはもはや法律の世界ではなく倫理学の分野だと思う。倫理学的に言うと責任は応答可能性と翻訳するのだけれど、医療ADRでは誰が誰に応答するのか、主に医療者が患者・被害者に対するものと理解したが遺族・被害者に対して一般市民がどうレスポンスすべきとお考えか、レスポンスという言葉がなじまないとしたらどう下支えしたらよいのか」

和田
「個々の体験に互換性はないので、応答する際には医療者とか被害者肩書が抜け落ちて、最終的には個と個のレスポンスになるのだろう。もっとリテラシーというかレスポンスを高める活動はNPOとしても必要になるだろう」


村上
「パブリックコメントに、普通の人を入れてほしいと言った。普通の人の感覚を取り入れてほしい。医師や弁護士が持っているのは普通の人の感覚ではない」


黒岩
「普通の人というのが一番難しくて、実際に探そうとしても難しい。先ほどの一般の人のレスポンシビリティは、外から見ているのだと思う。あそこの医療機関は患者の声をよく聴いてくれるという評判が一般の人も巻き込んでいくのでないか」


鴨下
「事が起こってしまってからの話をしているが、倫理的には紛争を未然に防いだ方がよいに決まっている。情報応答性に欠ける医療現場では、どんどん不信感を増幅する。開業医が増えているのは、安全なところに逃げ込もうという医療者の心理があるので、リスクの高い行為をしている人へのサポートをしないと解決しない。医療ADRだけでなく総がかりで取り組まないと。そして、もっともっと広い意味で医療を担っていくのは皆さんが主体という考えを持っていただきたい」

=====
会場2
「まさに市民社会の創造なのだと思う。普通の人を探すのが難しいと言うけれど、それをあきらめていいのか。裁判員制度も始まる。あまりにも医療制度は偉い人だけで決められていないか」


鴨下
「がん対策基本法のがん対策基本計画を議論する協議会は患者団体の代表も含めて構成した。皆さん苦労して、自分たちの想いはあるけれど全体のことを考えて意見を取りまとめている。ある人が新しい民主主義の第一歩だと言ったけれど、ぜひこの動きに関心を持っていただきたい」


まだ質問の手は上がっていたが時間切れ。
最後に鈴木寛参院議員が講演した。


鈴木
「一市民としてこの運動に参加していきたいと考えている。私の専門は情報学、その中でも情報社会学とコミュニケーション教育なのだが、医療には現代社会の抱える問題が凝縮している。不条理なこと理不尽なことがいっぱいある。学者としては現場の問題点を抽出したいと思うし、立法者としては対策を取りたい。
我々は日々様々なトラブルに巻き込まれる。個人ではほとんど解決できないので社会や組織というものを作ってきた。ベースには倫理があるべきなのだが、ここ200年ほどは法律や社会制度のような規範で解決しようとしすぎている。これがひずみの原因。というのも法律は、責任者を定め権限と責務を与えるという構造を持っている。その責務がどんどん広くなっている。無過失責任とか結果責任という言葉に代表されるように故意でなくても責任を問われる。そうするとどうなるか。誰もが責任あり立場に就きたくない、責任を取りたくないということで社会が崩壊する。医療崩壊はまさにその象徴。
インターネットにベストエフォートという概念がある。インターネットが出てくるまでの通信は、NTTやKDDといった電気通信事業者が責任を持って回線を保証していた。しかしインターネットに運営者はいない。誰も保証はしないけれど、自発的につながって、それぞれの立場で最善を尽くすというもの。最初のころのインターネットはブチブチ切れた。でも誰も責任を取れとは言わなかった。そういうものだと皆が理解していたから。
医療の世界にもベストエフォートの概念を導入するべきでないか。誰が最善を尽くすのか。それは医療者だけではない。患者も家族もメディエーターも、それぞれがそれぞれにできる最善で関与する。
その世の中をどうやって作るのか。そのためには法律や制度の可能性と限界を理解する必要がある。
世の中で立場をわきまえて行動するようになると社会人になったと言われる。しかし現代社会では、良い社会人であることがかえって禍いを招く。立場をわきまえるから、組織の目的に従順になって、普通の人の立場から遊離していく。
ADRの話をすると法律のプロほど反発する。法律の限界を認めたくないというか、万能であると信じたいから。しかし、立場を超えて普通の人として良心のみに従って行動したら、そうはならないはず。
本当は我々が幸せになるために組織を作ったのに、組織によって人々が不幸にさせられているという逆転現象の起きるところまで来ている。ここで普通の人とは何かということになるけれど、一つの立場に拘泥しない様々な立場を内包した存在、自分がなったことのない立場のことも慮ることができる、そんな人のことだ。
もう一度医療について、政策のつくりかた、医療機関の運営の仕方、日々の診療現場考え直す必要がある。医師と患者の対立構造が一番不幸。一つひとつの現場で最善を尽くすにはどうすればよいのか。
必要なものは①関与する人間の能力と志と倫理②知恵や方法論、この二つがあったうえで初めて③社会制度・システム・法律が出てくる。それも①②に対してポジティブフィードバックをかけるという目的を達成してこそ意味がある。
現在の医療はあまりにも過剰な責任によって、ベストエフォートの芽が摘まれている。もう一度普通の人に戻って、良心に誓って、本当にその行動でよいのですかと自問する。資格や立場を超えて一人ひとりに戻ることが大切なんだと思う。
そういう人の連なりである現場が増えることが大切。そしてつながる。
一緒に知恵を出し、一緒に勇気を出して、一つひとつの現場を作り出そう。一緒にやっていこう。私も一市民として皆さんと一緒に活動していきたい」


 今までモヤモヤしていたものが一気に具体的な像を結んだ気がする。ロハス・メディカルと私もその中に加わりたいと強く願う。


最後に和田所長が
「皆さん、それぞれの場へ持ち帰っていただき、一歩ずつ進んでいけたら」と総括して、幸せな日曜日の午後は幕を下ろした。

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