入院、外来、在宅医療について(総論) ─ 質疑応答
■ [厚労省] 「具体的なご質問にだけお答えしたい」
[厚生労働省保険局医療課・鈴木康裕課長]
様々な貴重なご意見を頂きましたので、今後の議論......、特にあの......、今回は結論ではないということですけれども、今後、各論を議論したときに様々な「参考」にさせていただきたいと思います。
▼ あくまでも「参考」のレベル。中医協の診療側委員らの要望が反映されるかは分からない。中医協には国民の立場を代表する「公益委員」が6人いて、議事の最終決定権を持っている。この公益委員は主に○○学者で構成されている。
お時間の関係もありますので、「具体的なご質問」にだけお答えしたいと思います。まず、鈴木委員(日医常任理事)から、病床......、特に「地域に密着した」ということで......(質問があった)。
元々、人口レベルで考えなければいけないものと、それからフェーズ(病期)ごとに考えたもの、整合性はどうなっているかというお話がございました。
▼ なるほど、要約するとそういう質問だったのか......な?
これはもちろん、人口の市町村レベル......、20万、30万レベル、県のレベルで考えるものと、それから層別に見たものと......、全く関係ないわけではないんですが、一定の関係は当然でございますけれども......。逆に、全く密接でもないということございますけれども、この関係をどう考えるかというのも、今後議論していただきたいと思いますし......。
▼ 鈴木委員の質問は、「地域に密着した病床」と「地域一般病床」の関係だったはず。「一般病床の長期入院をどうするのか」「療養病床の削減方針をどうするのか」という疑問に答えず、「地域に密着した病床」を、「地域に密着」と「病床」に分解した上で、「性質が違う」という理屈でうまくかわしている。なるほど。頭いいなあ~と関心してしまう。
それから、鈴木委員がおっしゃった......、都市部でも地域に密着した患者さんが混在している場合があるだろうということですが......、これはあの......
▼ 厚労省の質疑応答から学べるのは、議論を誘導する上で都合のよい質問のみを選んで、今後の議論へ伏線を張っていくヒントや論点を示していくという技術。改定の主要項目は次年度予算の概算要求を出す段階で大筋の設計が終わっている。とすると、8月からの半年間、医療課の幹部は予定している答えに誘導すべく、論点やポイントを小出しにしていくことに終始するだろう。これは、おしゃべり好きには務まらない仕事かもしれない。
そういう......、ある意味で言うと、都市部では、基本的には人口も多いので分化ができ得るケースも、分化を、ある違いをどう評価するか、という問題をこれから考えていく......ということだと思います。
それから、白川委員等々からもご指摘がございましたけれども、将来、基本的にはどっちの方向に向かっていくのか、ということと、それをある程度踏まえた上で、今回の第一歩としていこうと思います。
ということで我々の......、特に地域密着の......、医療資源が乏しい所の......、今回、もし考えるとすると、第一歩としてはこういうことだろうか、ということを一応、提案をさせていただいているつもりでございます。
▼ ここ、重要ポイントのような気がする。
それから2点目は、白川委員から2つ質問がございました。後半のほうは恐らく、安達委員がお答えになったと思いますので、前半のほうの12項目について届出等がどうなっているか、ということでございます。
1番から11番までが、これは基本的にはカルテに書いていただくだけということになっておりますが、12番が、その他これに準ずる者ということでございます。 これについては、ご指摘のほうに届出を出していただくということになっております。ちょっと11番、12番の扱いが違っているということになります。
▼ 「項番不明」をめぐる議論について、詳しくは中医協の下部組織である「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」の7月1日の議事録を参照。日本慢性期医療協会会長の武久洋三委員が、「一般病床の特定除外はそういう手続的な事務的なことは非常に楽だ」「日本は法治国家だし、健康保険というのは法解釈に基づいてやっているのですから、それに基づいてきちんとするということが入院のレセプトを出せる条件かなと思いますので、そこがはっきりしなければブラックボックスになってしまう」などと厳しく追及している。
それから、安達委員(京都府医師会副会長)のほうからご質問がありました(人口)推計についてでございますけれども、一番最初の人口推計について、「中位推計を用いております。
後段のほうの......、救急車との関係はどうかということについては、調査課長から後でご説明をお願いしたいと思います。
それから伊藤代理(連合・生活福祉局局長)のほうから、(地域一般病床)26万床(ママ)と言ったときに、その根拠は何だということでございます。これもあの、あんまり細かく、現段階でやっているわけではなく、スライド9をちょっとご覧いただいて......。
下の「注」の2番目の2行目でございます。「地域一般病床は、概ね人口1万人未満の自治体に暮らす者」......、大体250から300万人......の「100人当たり1床程度の整備量」を予定しているということで、こういう切り方で病床をはじいたということでございます。
それから牛丸委員のほうからは、今回、診療報酬そのものの様々な手当てだけではなくて、実は例えば介護でどうするか、医療提供のほうで......、医療法の改正等々をどうするかということでございますけれども......。
これはあの......、私ども厚生労働省としては、全体改革をそれぞれの部門できちっと受け止めた上で、それを各審議会でご議論いただきながら進めていくということにしておりますので......。
現在、社会保障審議会の医療保険部会、医療部会でも、様々な議論がされているころですので、ある意味で言いますと、そういう所で一定のまとまりが付いた段階で、私どもから情報提供をさせていただいて、相互の連関をしっかりさせていただきたいというふうに思ってます。もしかしたら、そういった具体的な制度との関係も......と思います。
[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
はい、以上、今ご質問にお答えいただきましたけれども......。
(調査課長が挙手)
ご質問された方......、ご意見......、あ、失礼しました。どうぞ。
[厚労省保険局調査課・村山令二課長]
9ページのスライド......、スライド9ページのですね、人口推計の扱いですけれども、これは人口推計には「高位」と「中位」と「低位」があるんですが、これは「高位推計」でございます。
[森田朗会長(東京大大学院法学政治学研究科教授)]
こ......、「高位推計」です。はい......。
(委員らがざわついている)
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
え......? 課長......、鈴木課長、「中位推計」とおっしゃっいました......。
(調査課長が挙手したが)
[厚生労働省保険局医療課・鈴木康裕課長]
すいません、もう一度説明いたしますと、3ページの人口推計の所は「中位推計」ですけれども、今、調査課長がおっしゃったのは、9ページの......(地域一般病床の算定根拠である)こちらのほうは「高位推計」を使っております。
ちょっと、申し訳ない。
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
はあ?
[厚生労働省保険局医療課・鈴木康裕課長]
別々になってしまっている、というのが現状です。
[安達秀樹委員(京都府医師会副会長)]
それでその......、「高位推計」なら「高位推計」を採られて、その中で、例えば急性期は現状投影によると少なくなるということなんですけど......。これは人口比だけで減るのか、さらにそこを絞り込むという提案なのか、ということを1つ伺いました。
同様に、長期療養についても現状投影よりは少ないんだけれども、現状よりはプラスということは、現在凍結されている介護療養病床の減少政策の変更の提案ですか? ということもお尋ねしました。それはいかがなんでしょう。
▼ ちょっと盛り上がってきました。
【目次】
P2 → [診療側] 地域特性への配慮
P3 → [診療側] 「地域に密着した病床」の意味
P4 → [支払側] 一般病棟の長期入院等
P5 → [診療側] 改革シナリオ等
P6 → [支払側] 一般病棟の長期入院等
P7 → [診療側] 改革シナリオ等
P8 → [支払側] 「地域一般病床」の算定根拠等
P9 → [支払側] 一般病棟の長期入院等
P10 → [公益側] 中医協の審議範囲等
P11 → [診療側] 改革シナリオ等
P12 → [厚労省] 「具体的なご質問にだけお答えしたい」
P13 → [診療側] 療養病床の削減方針
P14 → [厚労省] 「亜急性期に3つが混在している」
P15 → [診療側] 在宅療養支援診療所等
P16 → [診療側] 「地域に密着した病床」等
P17 → [支払側] 診療科別の医師数等
P18 → [公益側] 診療計画の公表等
P19 → [診療側] 改革シナリオ等
P20 → [支払側] 改革シナリオ等
P21 → [診療側] 診療報酬改定の重点課題
P22 → [診療側] 改革シナリオ等
P23 → [厚労省] 「先を見越した課題に取り組んでいく」