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ニュース〜医療の今がわかる

議連会合3

一般紙では全然報じられないと思うので、丁寧にお伝えすることにしよう。


司会は鈴木寛議連幹事長。
まず仙谷由人・議連会長代行が挨拶
「この春は診療報酬の改定があり、まだ医学会では学会の学術総会が春に多いらしく、日本医師会の総会も4月1日、2日と開かれるようだ。そんな中で勤務医から悲鳴にも似た声が届いている。医療崩壊と言われる流れはますます深刻化しており、何とか食い止めなければと、ここにいる全員が考えているところであう。今日は、厚生労働省からこの春の施策をお聞きして頭に入れて、医療再建に向けての方策を考える材料とするという趣旨で厚生労働省のお話を聞く」


鈴木
「4月1日から医療現場がどのように変わるのか、政策的なことをお聴きしたい。これは超党派の議連なので、予算が通ったという前提でお話をいただければと思う」


木倉・大臣官房審議官
「本日は特に4月からの変更点として、医療計画、後期高齢者医療制度、診療報酬改定について説明する。それぞれは各課長から」


佐藤・医政局指導課長
「まず新しい医療計画について。平成18年6月の医療法改正以来、平成19年に縷々準備を進めてきて、各都道府県においてもあと数日後の20年4月1日に提示される段取りになっている。

これまでの医療計画は人口30万人くらい、言葉を換えると保健所単位の二次医療圏を設定して、人口や罹患率を総合的に勘案して総病床数を決めていた、主に量的管理をメインにしたものだった。これが今回から質を評価するものに変わると共に、住民・患者に分かりやすいものになること、数値目標を示して後から評価できる計画にしなくちゃいけないということで進めてきた。

では、どこにポイントを置いて質を評価するかだが、「がん」「脳卒中」「急性心筋梗塞」「糖尿病」の4疾病と「救急」「災害」「僻地」「周産期」「小児」の5事業、総計9つについて医療連携体制を構築し医療計画に明示することになる。各都道府県には9つの項目ごとに、横軸に患者の状態、縦軸に「機能」「目標」「求められる事項」「連携」「指標」というマトリックスを作っていただいて、そのマスを医療機関の名前も含めて埋めていただくということになる。

それから、これとは別に、患者さんが医療機関を選択するうえで情報が重要だから開示しようとの観点で、医療機関に対して一定の情報を都道府県に報告するよう義務付け、情報を集約して分かりやすく提供する仕組みというものを始める。東京都などは既に始まっているようだが、大半の都道府県では平成21年度からの開始になる。情報の具体的な範囲は、検討会で検討してきたが、診療科目や診療日、診療時間、病床数などの他、専門医やMRI・特殊なCTなどの保有設備、あるいは医療安全対策、院内感染対策、クリティカルパスの実施状況などが考えられる。これによって、何が何でも病院へという流れを減らしたり、2カ所も3カ所も医療機関に行くということを減らせるのでないかと考えており、過重労働を緩和するとともに医療資源の効率的・効果的提供が進むと考えている」

厚生労働省は「そんなマニアックな」とビックリすると思うけれど
ロハス・メディカルでも次号で医療計画の特集をする。
よって現段階ではあまり論評しないでおく。


続いて山本・保険局老人医療企画室長が後期高齢者医療制度を説明。
ちゃんと説明せず5分ほどでサラっと終わってしまったので
ロハス・メディカルの特集をご覧いただいて代用する。


最後は原・保険局医療課長が4月の診療報酬改定について
「本体は久々のプラス改定であったが、その増額分約1000億円は緊急課題としてメインには病院勤務医を支援するために使われる。それだけでは足りないので開業医の取り分から400億円ねん出して全体として病院を支援しようという流れになっている。

どんなものがあるかというと、まず、地域の急性期医療を担っている病院で以下のような勤務医負担の軽減策が具体的に計画されている場合、入院時医学管理加算として14日まで120点つけた。軽減策とは①外来縮小計画②外部の医療機関との診療分担の推進③院内の職種間の業務分担の推進④当直明けの勤務の軽減などで、計画を作って勤務医と共有したうえで計画を届け出ることが条件になっている。これがどの程度病院の収入にプラスになるかというと300床の病院なら年間ざっと1億円になると見込んでいる。

次に病院勤務医の事務負担を軽減するため、事務的なところを補助するような、いわゆる医療クラークをつけられるようにした。一方で病院に行く軽症の時間外患者を引き受けられるよう、診療所が早朝や夜間に診療を行った場合には、加算が取れるようにもした。

それから後期高齢者の診療報酬についても説明しておくと、医療行為自体の診療報酬はその他の年代の人と全く変わらない。だから医療が受けられなくなるなどということはない。ただし、加齢とともに回復までの期間が長引くことに配慮した独特の点数も設けている。たとえば円滑に退院して生活を送れるようにすることに加算したり、転院がスムーズに行くように医療機関どうしの接点となる部分に手厚い加算をしたりした

また在宅医療の推進という観点から、訪問看護料を12年ぶりに引き上げた」


鈴木
「産科・小児科についても説明してほしい」



「妊産婦の救急搬送が問題になっていて、またハイリスクの確率も高いので、しっかり受け入れてもらえるように妊産婦緊急搬送入院加算というのを入院初日に5000点設けた。またハイリスク妊産婦の治療にあたる診療所と病院が連携する場合に点数をつけたし、また入院の場合にはハイリスク妊娠管理加算というものも1日1000点、その分娩管理も1000点を2000点へ倍増させた。小児医療に関しては、庄小児科医、小児外科医が常勤換算で20人以上いる病院の評価を高くした。それからNICUが後方ベッド不足に悩んでいるので、後方ベッドへの加算も設けた。これならば受け入れてくれる施設があるのでないかと考えている」


この後、質疑応答に入る。
広津素子議員
「高齢者がなるべく自宅で療養しようとした時、訪問看護料は上げたということだったけれど、医師による訪問診療も必要で、そこは来てもらいやすい金額になっているのか。でないと退院の踏ん切りがつかない人もいるだろう」



「訪問診療に関する点は変えていない。それから実際の負担は入院している方が高い」


広津
「具体的な数字が何もないので、モデルケースを出していただけると」



「改定の時にはモデルをいくつか出しているけれど、実際にはバラつきがあり、一くくりに出してしまうと、それに対して高いとか低いとかいう議論になってしまうので出していない」


鈴木
「何かよい工夫があったら事務局へ知らせてほしい」


徳田毅議員
「勤務医の負担軽減の中になぜ外来縮小が出てくるのか。総合病院から勤務医がいなくなっていて地域が困っているという時に外来まで縮小するのは本末転倒でないか。それから後期高齢者医療制度に関して、保険料の滞納者には資格証明書が発行されていったん10割負担ということになるのだと思うのだが、それはどの程度滞納したらそうなるのか。というのが、月16万円の年金だとしたら、介護保険料と合せて月7千円ほどの負担になる。長生きすることのリスクが高すぎないか」



「たとえば二次医療圏に一つ程度の想定だが、入院医療を中心にやる施設を設定した場合、遠くから外来に通わせるのは無理なので、普段の患者さんは他の施設でやっていただいて風邪ひき外来とかはやめて専門外来のみ行うような、外来に関する地域内での連携を描いている。外来患者さんが減れば、その分医師は専門的な入院医療や検査に注力できる」


山本
「滞納された時は、まず督促を行い、いきなり資格証明書ということはない。3ヵ月有効、6ヵ月有効といった短期被保険者証を渡し納付相談の機会を作るようにしている。それでも滞納が続いて1年経過した時に資格証明書を交付することになるのだが、病気や災害、事業に失敗したなど払えない理由がある時は交付しないことになっている。特段の事情もなく極めて悪質な事例の時に資格証明書という話だ。払えない事情があるなら資格証明書は発行されないし、まさその払えない事情に応じて、各自治体で個別に減免措置を設けるなどキメ細かく対応していただく。そういう運用にしていくので、よほど悪質でない限り、資格証明書はないのでないか」


理論上、経済的困窮による無保険者などいるはずはない、と主張しているように聞こえる。
では、この現実は一体なぜ出来したのか。
理論が間違っているのか
それとも理論通りに行動していない誰かがいるのか。


当然、徳田議員からも突っ込まれる。
「しかし国保でも資格証明書を発行されている人は大勢いる。あの人達全員が悪質ではないと思うが、本当にキメ細かく対応できるのか。それから激変緩和措置の対象となるのは被扶養者とのことだが、それは全体の何%なのか」


山本
「激変緩和措置の対象となる方が新しく200万人、後期高齢者医療制度に入ってくると思われ、75歳以上の方全体で1300万人いるので約15%ということになる。資格証明書に関しては、国保についてもキメ細かく対応するよう指示している」


鈴木
「指示というのは、通知や通達を出すということか」
横から痛烈なパンチが入った。


山本室長は一瞬言葉に詰まり
「通知等も含めて、また会議などの場でお願いをしていく」。
本気で経済的無保険者を出さないつもりがあれば
しっかり通知・通達を出せばよいのだ。
結局、自分たちが理論通りに行動していないだけと語るに落ちた。


鈴木
「医療計画で量から質への転換というのは結構なことだと思うのだが、救急患者の受け入れ困難の理由の中で後方ベッドの不足というのもあるはず。4疾病5事業に関しても病床規制は残るのか」


佐藤
「総病床数についての広い意味での規制は残る。計算式も同じ。救急医療に関する受け入れ不能の理由の中の10%から20%はたしかにベッドがないというもの。そういう報道がされると病床足りていないのでないかという誤解を招くけれど、実際のはベッドの利用率はじわじわ下がってきている。最も利用率が高いであろう救命救急センターでも80%を切るくらい。その母体病院でも20%空いている。ではなぜ病床が空いていないかというと、私達もいろいろ話を聴いてみて、病床の上手な融通がうまくいっていないのでないかと結論している。診療科ごとのベッドの固定化というか、ベッドの割当が実情に合わなかったら需給に合わせて割当を変えるべきだが、それができていないから、ある診療科ではベッドが空いているのにその枠が必要な救急に回せていないということだと思う。そうした現状を踏まえながら適切に計画を作って指導して参りたい」


鈴木
「病院長なり経営者のマネジメントの問題であるという認識か」


佐藤
「その通り」


詭弁を弄するにも程があると思うのだが
態度からすると確信を持って言っているようにも見える。
徳田
「ベッドの空きなんてのは平均在院日数の短縮によって生まれてきたに決まっているだろう。搬送までに30分以上かかっているのが全国で15000件あるという現実をどうするのか」


佐藤
「おっしゃる通り。先ほども申し上げたように、10〜20%は病床がない、それ以外には専門外であるとか、他の患者の対応中ということだったりする。その辺り細かく見ていかなければいけない。そうした中で無資格の人にも分担してもらえる部分があるのでないかということで診療報酬も新設された。救急についても役割を果たせるのでないかと思う。また救急医療情報システムというものも動かしている。これはJALやANAの空席照会システムのようなものだ。しかし必ずしも有効に働いていない。それは病院が多くても1日3回しか更新せず、リアルタイムではないからだ。更新の頻度をもう少し増やすと同時に内容についても詳しく丁寧になるよう、システム改修費用を計上している」


仙谷
「大雑把な言い方になるけれど、勤務医の労働条件を改善するという時に、ここに出てくる程度のことで36時間連続勤務が当たり前というようなムチャクチャな話は変わるのか。勤務医がどんどん職場を離れる大きな原因になっているのが、労働基準法を全く無視したような勤務状態であり、交替勤務を取ろうにもそんなにお金が払えないという診療報酬形態があるわけだ。そういったことが解消に結び付く何かというのは、どこを見れば『ああなるほど』ということになるのか」



「質問の趣旨がよく分からないのだが、診療報酬は医療機関の収入になる。勤務医の負担軽減策というのは先ほど説明したようなことで配慮している。医療機関の体制についてまで診療報酬では触わることはできない。間接的にいたしているということ。ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求しているし、その軽減策は勤務医にも見せるという条件になっているので、計画が実行に移されなければ、その病院から勤務医がますますいなくなる可能性もあり、計画を立てたからには実現する方向に動くはず。それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」


この改善計画については
官僚の知恵がいかに浅く、目先のことしか考えていないかよく分かるので
別稿で改めて考察する。
仙谷
「ハイリスク分娩につけたというけれど、じゃあモデルとして、小児科病院に加算したように10人常勤医がいる時、年収いくらの医師をこれだけ雇うには、これだけの加算が必要というような計算はしているのか。2交代、3交代の勤務にできるのでなければ、つけたつけたといっても意味がないではないか」



「おっしゃる通りだが、勤務医の勤務条件をどうするかというのは、診療報酬がタッチするような話ではない。報酬をどういう形で使うかは経営者の判断だ」


赤沢亮正議員
「(略)後期高齢者医療法は地元でムチャクチャ評判が悪い。75歳以上は早く死ねということですね、と支持者たちに言われる。これでは障害者自立支援法の二の舞でないか。痛みを生じることは間違いないのだから早めにその対策を考えておくべきでないか。それと、そこまでしてやる意味があるというのなら、その良い点をきちんと説明してほしい。それから私の地元でも勤務医が怒ってる。結局、日本医師会のことばかり気にして、我々のことなど何も考えてないではないか、と。何がマズイかと言うと2200億円削っているあれが一番悪い。そろそろ取っ払ってもよいのでないか。勤務医が怒っているのに関して、開業医との間で実は可処分所得は変わらないというような話があったはず。そういうことをきちんと説明してほしい」


佐藤
「略」


山本
「国民皆保険を守っていくために、負担の仕方と公平性とを考えているのだということを、分かりやすく周知して参りたい」



「(略)日本医師会が渋々ではあるが400億円を勤務医対策に回した。会費はともかく会員数では40%以上が勤務医であり、勤務医についても目配りはあったと思う」


赤沢
「少なくともそういう説明は私の地元には行き渡っていない。後期高齢者医療制度は少し延期することにして中身をよく考えた方がよいのでないか。それから2200億円削減ももうやめた方がよいのでないか」


佐藤
「(略)」


広津
「救急医療をなぜ受けられないのかと言ったら、交通事故を考えてもらったら分かることだが、初心者では対応できないし生死がかかっているということで、熟練した医師が必要なんで、要するに医師不足に尽きる。医療クラークが救急現場にいても意味がない。クラークが役に立つのは日常の診療の場面の方だ。救急対策にはならない」


佐藤
「私ども、医師が、救急ではどうか分からないけれど、どの業務にどの程度の時間を割いているか調査したところ30%〜40%は医師以外の人にもできることだった」


広津
「今は救急の話をしている」


佐藤
「先ほど話の出た救急情報システムがなぜリアルタイムに更新されないかと言えば、現場の人手に余裕がないからで、しかしでは有資格者がやらなければならないかというと、そんなことはない。現場の情報をしっかり把握して医師の片腕となって医師の了解のもとにボタンを押すようなことはできる。このように勤務を代替し得る面はあるのでないか」


かなりトンデモな事を言っていると思う。さすがに木倉審議官が補足する。
「基本は救急にしても産科にしても小児科にしても医療者が足りてないのは事実だ。しかし医学部定員を増やすというところから始めると10年かかるので、定員増加と勤務状況の改善と両方大事だと考えている」


広津
「医療者は足りなくはない。現に有床診療所がいくつも潰れている。どうして必ず10年かかるという話になるのか」


鈴木幹事長が
「今日は厚生労働省の見解を聴く日だから」と取りなす。


塩崎恭久元官房長官
「後期高齢者のうち国保から移行する1100万人は、結果として今までとこれからと負担は重くなるのか軽くなるのか」


山本
「国保は市町村が保険者であり、保険料の算定方法がバラバラ。単純に比較することが難しいのだが、8割の保険者が採用している四方式で比較するならば、傾向としては低所得層では負担減、高所得者で負担増になる」


塩崎
「全体では」


山本
「マクロでは中立と思う」


鈴木
「国保の1世帯平均が13.2万円。2人世帯だとすると1人あたり6.6万円。これが後期高齢者医療制度では1人平均7.4万円、増えていないか」


山本
「国保は過去のデータ。単純に比較するのは難しい」


仙谷
「モデル的な所はやらないと隔靴掻痒で分からん。病院の現場や収入は知ったことではないみたいな言い方だが、まずちゃんとした調査をしないとダメよ。計画をつくれば解消できるのか、診療報酬も組み合わせるのか、実態に基づいて道筋を作らないと。皆さんの足元の虎の門病院の医師がフラフラになっているようでは何をかいわんやだ」


木倉
「診療報酬や補助金を十分でないながらもつけていただいたので、それをどう使っていくのか、医政局長と保険局長から都道府県あてに文書を出している。また、この対策がどのような効果を呼んだのか、検証続けながらさらに議論を進めて参りたい」


鈴木寛・議連幹事長
「医療計画で量から質への転換というのは結構なことだと思うのだが、救急患者の受け入れ困難の理由の中で後方ベッドの不足というのもあるはず。4疾病5事業に関しても病床規制は残るのか」

佐藤敏信・医政局指導課長
「総病床数についての広い意味での規制は残る。計算式も同じ。救急医療に関する受け入れ不能の理由の中の10%から20%はたしかにベッドがないというもの。そういう報道がされると病床足りていないのでないかという誤解を招くけれど、実際のはベッドの利用率はじわじわ下がってきている。最も利用率が高いであろう救命救急センターでも80%を切るくらい。その母体病院でも20%空いている。ではなぜ病床が空いていないかというと、私達もいろいろ話を聴いてみて、病床の上手な融通がうまくいっていないのでないかと結論している。診療科ごとのベッドの固定化というか、ベッドの割当が実情に合わなかったら需給に合わせて割当を変えるべきだが、それができていないから、ある診療科ではベッドが空いているのにその枠が必要な救急に回せていないということだと思う。そうした現状を踏まえながら適切に計画を作って指導して参りたい」


今朝の新聞にこんなニュースが載っているではないか。
産科病床数の上限撤廃、妊婦受け入れ改善(読売新聞朝刊)

産科医不足で、全国の産科医療機関が相次いで閉鎖されるなか、厚生労働省は、現在診療を受け入れている産科医療機関の能力を最大限に活用するため、地域ごとに設定されている病床の上限数から、産科病床を例外的にはずすことを決め、27日、各都道府県に通知した。
(以下略)


片方で通知を出し、しかも国民の代表でも何でもない記者クラブには情報を流しておきながら
我々の正当な代表である国会議員に説明しないとは一体どういうことだ?
さきの選挙で鈴木寛さんに一票入れた人間として、この不遜さは許し難い。


仙谷由人・議連会長代行
「大雑把な言い方になるけれど、勤務医の労働条件を改善するという時に、ここに出てくる程度のことで36時間連続勤務が当たり前というようなムチャクチャな話は変わるのか。勤務医がどんどん職場を離れる大きな原因になっているのが、労働基準法を全く無視したような勤務状態であり、交替勤務を取ろうにもそんなにお金が払えないという診療報酬形態があるわけだ。そういったことが解消に結び付く何かというのは、どこを見れば『ああなるほど』ということになるのか」

原徳壽・保険局医療課長
「質問の趣旨がよく分からないのだが、診療報酬は医療機関の収入になる。勤務医の負担軽減策というのは先ほど説明したようなことで配慮している。医療機関の体制についてまで診療報酬では触わることはできない。間接的にいたしているということ。ハイリスク分娩管理などについても、負担軽減計画を必ず作るように要求しているし、その軽減策は勤務医にも見せるという条件になっているので、計画が実行に移されなければ、その病院から勤務医がますますいなくなる可能性もあり、計画を立てたからには実現する方向に動くはず。それ以上の全体の話は総額の問題がある中でこの程度しかできなかったということだ」


今回の診療報酬改定で
ハイリスク分娩管理加算は1日あたり1000点から2000点に倍増した。
その加算をもらうには、施設認定を受ける必要があり
認定を受けるには勤務医の負担軽減計画を出さなきゃいけない
どうだちゃんと考えているぞ、と胸を張ったわけだ。


さて、そのご自慢の軽減計画だが
理論的には、現状がどうなっていて、それをどう変更するか示さないと
何がどう軽減されたのか分からないことになる。
だから、そういう現状報告を病院に求めるそうだ。


ところがである。
現在多くの特定機能病院での勤務実態が労基法を完全に逸脱した状態であるため
厚生労働省職員は申告を受けた瞬間に、違法状態を知った公務員として告発義務が生じる。
つまり、病院は労基法違反で摘発されてしまうかもしれないのだ。
病院上層部としては、現状を虚偽申告するか、認定申請をあきらめるかしか選択肢がない。
とはいえ、虚偽申告それ自体が危ない橋であるから
結局、本当に勤務医が激務で大変なことになっている病院はこの加算を受けられないのだ。
実際、多くの大学病院が申請を見送る方向だという。


好き好んで違法状態にしているわけではないのに
その違法状態があるばっかりに改善の財源を得ることもできない。
たとえは悪いかもしれないが
薬物中毒者が処罰を恐れて助けを呼べず薬物からも離脱できないのに似ている。


本当に勤務医の負担を軽減させるつもりがあり
現実が少しでも分かっているなら
こんな制度運用しないし、まして自慢なんかしないよね。
中医協委員の方々は
自分たちの善意がこんな風に骨抜きされていることをご存じなのだろうか。


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