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ニュース〜医療の今がわかる

AED普及しても救命率上がらない理由

 AED(自動体外式除細動機)の普及が進み、街中で倒れても助かる例が増えたかのように見える。だが実際に救命に結びついた例は多くないことが分かってきた。何が課題なのか考えさせる発表が2件相次いだので、ご紹介する。(川口恭)

 一つ目の発表は、7月に心臓突然死ZEROアクション宣言を行った日本医療学会によるもの。今週10日、アクションに関して笠貫宏議長が説明する記者発表会を開いた。

 全国に22万台もAEDが設置されていながら、07年に一般市民によって心肺停止が目撃された心原性心肺停止19707件のうち、市民によってAEDなどが使用された例は287件しかなかったという。287件の生存率が42.5%、除細動されなかった例の生存率が9.7%と歴然とした差があるので、理論上は千人単位で救えるはずの命が失われていることになる。

 なんとか、このことへの市民国民の認知を上げ、ためらわずに心臓マッサージとAED使用とができるようにするのがZEROアクションの第一段階だという。

 二つ目の発表は、日本メドトロニックが3日にプレスリリースしたもので、医療従事者・心肺蘇生専門家向けのAED『ライフパック1000』というものを発売したという。NASAが採用した唯一のAEDとの触れ込みだが、なぜわざわざプロ向けと銘打ったAEDが出てくるのか調べてみると、心肺蘇生に関して世界の常識がどんどん変わってきているらしい。

 簡単に言うと、心臓マッサージがより重視されるようになってきた。つまり7月の日本医療学会シンポジウムでも強調されていたように、とにかく休まず心臓マッサージ(胸骨圧迫)を続けるのが大事で、除細動だけやれば済むものではないということだ。しかし、現在の市民用AEDでは心電図の波形解析などをする際に数十秒も離れねばならず、それだけ蘇生率の下がる危険があることになる。電気ショックの瞬間だけ手を離せばよいようになっているプロ用が必要なゆえんだ。
 
 AEDに関する日本人の常識を更新する必要があるのかもしれない。

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