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長男の死から15年 メディエーターめざし看護学校入学 協会研修会で講演

1103jahm.JPG 医療機関の中で患者側と医療者側の対話の架け橋となる人材『医療メディエーター』の育成を進めている日本医療メディエーター協会が3日、早稲田大学で会員研修会を開いた。生後間もない長男を病院内で失い、その後遺族ケアを行うNPO活動を長く続けてきた愛媛県の寺尾るみ子さんが、医療メディエーターをめざして看護学校へと通うようになったいきさつを語った。(川口恭)

 寺尾さんは15年前、先天性の心臓病を持つ長男を出産。すぐ手術を受けた長男の術後は順調と聞かされていたのに、突如病院から急変の連絡を受け、駆けつけたものの生後38日で失うという経験をした。普段から病棟が慌しく看護師の目が離れやすい状態だったことや、死亡時に病院から受けた説明があやふやだったことなど、湧き上がる不信感を止めようもない状況だったが、死後しばらくして看護部長や主治医が時間を取って改めて対応してくれたことをきっかけに、家族の支えもあって乗り越えた。長男の生命保険金は、その病院のプレイルームへと寄付し、その後『SIDS(乳幼児突然死症候群)家族の会』の電話相談やメール相談の活動をずっと続けてきたという。

 しかし、長男の亡くなった時に5歳だった長女が2年前に突然看護師になりたいと言い出した時には、「もしあなたの関わった患者が、あなたのミスで亡くなったら一生恨まれる」と猛反対。それを押し切って長女が東京の看護大学へ進むことが決まったころに、ちょうどNHKの番組で協会のことを知り、連絡を取った。そして、ついには自らメディエーターをめざすことを決意、現在は病院職員でないとメディエーターになれないことから、看護師になるために長女に1年遅れて自分も看護学校に入学、半年経過したところという。

 ちなみに長女は1年目の実習が終わったところで「やはり看護師になるのをやめようかと思う」と連絡してきた。理由を尋ねると「白衣の天使は天使じゃなくて悪魔だった」と答えたという。今は思い直してまた勉強に励んでいるそうだが、寺尾さんは、長女の正義感が強く現場ではどうしようもないことを見過ごせないのだろうと分析しつつ、「やはり医療現場ってどうなってるんだろうと改めて腹立たしさに火がついた」と語った。

 参加者たちは、水を打ったように静まり聞き入っていた。ここでは、講演の後の質疑応答を少しご紹介する。

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