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「労基法違反がバレバレになる」 ─ 厚労省課長

6月28日の「医療機関のコスト調査分科会」.jpg 医療機関のコストを調査する中医協の分科会で厚生労働省の課長は、「職種別の給与が把握されていない病院がある。タイムカードなんか全然使っていない。もしかすると、労働基準法違反がバレバレになるのでやらないのかもしれない」と述べた。(新井裕充)

 厚労省は6月28日、中医協の下部組織である「医療機関のコスト調査分科会」(分科会長=田中滋・慶應義塾大大学院経営管理研究科教授)を開催した。

 この分科会は、診療報酬改定に医療機関のコストを反映させることを目的として年1回のペースで開かれている。池上直己・慶應義塾大教授は08年6月13日の同分科会で、「公的な調査として活用可能な段階になった」と自信を見せた。昨年の分科会では、このコスト調査が実用可能な段階になったことは了承されたが、悩みの種があった。
 
 それは、調査に参加する病院の数。この複雑怪奇なコスト調査に協力できるのは、DPC病院の中でも比較的規模が大きく、経営管理の体制が整っている病院に限られている。
 しかし、診療報酬改定の基礎資料である「医療経済実態調査」を補完するデータとして使用するためには、127のDPC病院の回答ではあまりにも少なすぎる。

 そこで、大病院だけでなく中小病院にも調査に協力してもらうため、調査を簡素化する方針が昨年の同分科会で決定。次の調査に向けて、まずは回答する上で手間が掛かった項目をアンケート調査することにした。
 具体的にどの項目の回答に手間が掛かったのか、既存のデータを回答票に転記するだけで済んだのか、判断に迷った項目は何か─。これらを調べるため、厚労省は205病院を対象に09年11月から12月にかけてアンケートを実施、106病院から得た回答を今年の分科会で報告した。

 厚労省は、改善や廃止などが必要な項目として、▽職種区分 ▽保険外収益 ▽部門ごとの延床面積 ▽実施場所 ▽医師の勤務状況─の5項目を挙げた。このうち、医師の勤務状況については、「個々の医師の給与は調査せず、勤務時間割合についても診療科医師全体について代表者が記入する方式としてはどうか」と提案した。

 質疑では、簡素化せず正確に把握するような調査を求める意見があった。厚労省保険局医療課の佐藤敏信課長は病院団体の関係者らに向かってこう言った。
 「ビックリなんですけれども、職種別の給与が把握されていない病院がある。通常の企業では普通ないんじゃないか。こういうことが、これほどの病院ですら存在している。お医者さんの給与1つとりましても、勤務実態1つとりましても、想像はついたんですけれども、タイムカードなんか全然使っていない。そんなことを言われると、もしかすると、労働基準法違反がバレバレになるのでやらないのかもしれないけれども。お医者さん自身が何時間働いてその給料を得ているのかが分からないし、単に調べものだけをしたり学会の準備をしたりして病院にいた時間がどれぐらいかがまったく分からないという状況です」
(発言の詳細は6ページ以下を参照)
 

【目次】
 P2 → 入院基本料と地域特性
 P3 → 「いくら必要かという調査ではない」 ─ 田中分科会長
 P4 → 「あるべき姿のコストを出してほしい」 ─ 西岡委員
 P5 → 「改善だけでは済まない」 ─ 西田委員
 P6 → 「労働基準法違反がバレバレになる」 ─ 佐藤課長
 P7 → 「思い切ったことをやらないと難しい」 ─ 佐藤課長


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