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ニュース〜医療の今がわかる

医療志民の会 発足記念シンポジウム

siminnokaisimpo.JPG 医療の抱える課題を克服するために国民的大合同をめざそうという『医療志民の会』が発足し、その記念シンポジウムが11日に開かれた。楽観的に言っても、悲観的に言っても、千里の道も一歩からの「一歩」は確かに踏み出した、ということに尽きるだろう。(川口恭)
*写真左側で立っているのは、来賓を代表して挨拶する川田龍平参院議員。

 医療のステークホルダーには①提供者であり禄を得ている医療従事者②受益者である患者③大部分の費用負担をしている健康な国民・企業、の三者がある。

 医療費抑制策と医療従事者への過度な要求とが続けば医療供給が細って行かざるを得ないということは、医療従事者のほぼ共通認識となったようだが、患者に共有されたとは言えないし、まして健康な国民や企業が心底から共感できるものでないと言わざるを得ない。右肩上がりの終わった社会では、費用負担者の理解を得ずにお金が回ってくるはずもないのだから深刻だ。

 原因は、当事者がきちんと説明していないからであり、そのまた原因は利害を共有できるはずの医療従事者と患者が協同していないからであり、もう少し厳しく言えば、医療従事者間でも利害と思惑が錯綜し、患者もまた一枚岩ではないからだ。ということで、国民的大合同をめざそうという理念・動きが出てくるのは当然とも言える。

 では、この日のシンポジウムで、国民的大合同の姿がかすかにでも見えただろうか。

 パネルディスカッションの司会をした黒岩祐司氏の総括の言葉だ。「論点が、あまりにも多岐に渡ったので方向性を出していけてないが、しかし良い流れなのかなあとは感じている。医師が権威の中にいた時代から、逆に患者の権利が過剰に言われて萎縮医療と医療崩壊の時代を経て、今改めて一つの場で、様々な立場の人々が立場を超えて情報交換し、変えるところは変え、我慢する所は我慢していこうという所に来た」

 努めて前向きな言葉遣いをしているが、要するにバラバラということが改めて分かった。そこは収穫だねという話だ。

 で、そのバラバラが、ステークホルダー三者の間のバラバラなのかというと、パネルディスカッションに登壇した15人の内訳は、医師8(勤務医6、開業医2)、歯科医師1、看護師1、ソーシャルワーカー1、患者2、メディア1、医学生1ということで、恐ろしく医療従事者側に偏っていた。

 患者である塩見健三・がんまんクラブ代表が、いみじくも最後に感想で述べていた。「この場にいながら勉強させていただいた。医療の世界が、これほどまでに複雑で矛盾をいっぱい抱えているんだなあと感じている」。私も全く同感であり、医療界内部のバラバラが主に見えたシンポジウムだった。費用負担者まで巻き込んだ運動にしていくためには、まだまだ何段階かの質的変換をとげる必要がありそうだ。

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