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医師国家試験、「文科省として腰が引けている」

■「臨床実習の形骸化はなくならない」

 今回で最終回となった文科省の「医学教育カリキュラム検討会」は、今年2月に文部科学・厚生労働両省がまとめた研修制度の見直しに関する最終報告を受ける形で設置された。

 両省の最終報告では、医師不足に対応するため、必修科目を現在の7科目から3科目に減らして現在2年の研修期間を"実質1年"に短縮、研修医の"労働力"を早期に活用できるような仕組みにした。また、大都市部に研修医が流れることを制限するため、都道府県や病院ごとに研修医の定員に上限を設け、医師の地域的な偏在の是正を目指すことも盛り込んだ。

4月13日「医学教育カリキュラム検討会」3.jpg 「医学教育カリキュラム検討会」では、卒後の臨床研修が短縮化されることに合わせ、基礎的な研修部分を卒前の臨床実習に"前倒し"するための改善案について議論した。

 提言では、注目された「医学生の医行為」には大きく踏み込まず、その前提となる「患者に接し診断・治療の判断ができる基本的能力」や「内科・外科などの全人的な総合的な診療能力の育成」などに力点を置いた。大学ごとにばらつきのある臨床実習の時間を標準化するため、「必要最低単位数」を50単位(1500時間)と明確化した。

 しかし、厚労省が所管する医師国家試験が現状のように知識重視のままでは、「臨床実習の形骸化はなくならない」との指摘もある。
 提言をまとめた4月13日の同検討会で小川委員は「共用試験で出題されるような知識が出るから、"オーバーラップ"して、5、6年生の臨床実習に自主性がなくなって形骸化している。もう少し整理したらいい」と求めたが、文科省から明確な回答はなかった。

 提言の取りまとめを受け、文科省の戸谷一夫・大臣官房審議官(高等教育局担当)は「大学や厚生労働省に検討をお願いしたい」と述べるにとどまった。会議終了後、文科省の担当者は記者団に対し、「厚労省や大学などに"ボールを投げる"という意味で理解していただきたい」と話している。

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