医師国家試験、「文科省として腰が引けている」
提言では、2004年度から導入された臨床研修制度によって「地域における医師不足問題が顕在化・加速するきっかけになったとの指摘がある」として、「大学の若手医師の不足や関連事務作業の増大などから教員の診療業務が極めて多忙」「診療参加型の臨床実習の充実に必要な指導体制にも格差」「研究活動を行う十分な時間の確保が困難」などの問題点を挙げた。
その上で、卒前・卒後の一貫した教育に改善するため、(1)基本的診療能力の習得とキャリアの明確化(2)地域の医療を担う意欲、使命感の向上(3)基礎と臨床の有機的連携による研究マインドの涵養(4)学習成果を生かす多面的な評価システムの確立(5)医学教育の充実に必要な指導体制の強化―を求めている。
このうち、「基本的診療能力の習得とキャリアの明確化」では、「臨床実習を系統的・体系的に充実させ、医学生が診療チームの一員として、患者に接し診断・治療の判断ができる基本的能力を確実に身に付け、自らの将来のキャリアを明確に描くことができるようにする」とした。
そのための方策として、▽大学設置基準の改正等により、客観的に能力・適正が評価された医学生が、患者の協力を得て診療に関わる臨床実習として必要な最低単位数(例えば50単位)を法令上明確化し、一定の診療能力の習得を確保▽系統的・体系的な臨床実習の充実を図るため、モデル・コア・カリキュラムを改訂▽侵襲的医行為等を実施する前提となる診療技能の向上のため、シミュレーション教育に関する教育資源の共同利用を推進―などを挙げた。
「地域の医療を担う意欲、使命感の向上」では、地域全体で医師を養成・確保するシステムを「大学が」推進するとした。また、個性ある入学者の受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)を明確にし、時間をかけた面接や社会福祉施設などでのボランティア活動などを考慮した選抜を推進するよう求めている。
「学習成果を生かす多面的な評価システムの確立」では、臨床実習に入る前の4年時に実施する「共用試験」の位置付けを明確にし、統一的な合格基準を設定。その上で、合格者に「一定の証明書」を発行するとした。さらに、「共用試験の見直しによる適正な評価を前提に、医師国家試験が臨床能力の評価を重視したものになるよう強く求める」などとした。
一般紙とは違う、記者としての視点、実力を感じます。
今後も期待しています。