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新型インフル 「ハイリスク群の命に集中を」 尾身・専門家委員長

 新型インフルエンザに関して、政府の専門家諮問委員会委員長を務める尾身茂・自治医大教授は8日の都道府県知事会文教常任委員会で、ウイルス対策は長期戦になるとの見通しを示したうえで、「今後は、糖尿病や喘息などの基礎疾患を持つ人や妊婦などが重症化して死亡するのを避けるという一点に集中すべき」と述べた。尾身氏の主な発言をご紹介する。(川口恭)

【尾身】

 まず、これまでの対策をどのように評価するか。

 最初が水際作戦。他国に比べて過剰でないかという批判もあって、色々あったけれど、一定の効果はあったと考えている。成田で捕捉されていた人の中には関西以外の方もいたわけで、感染の中心が関西以外に増えていた可能性があった。それからメディアなどでは余り触れられていないが、保健所が行っている濃厚接触者に対する注意喚起とフォローアップ、あれが大変重要だった。実際に発熱した方もいたわけで、フォローアップしていなければ適切な対処が遅れたかもしれない。もちろん課題はあって、ひとつは水際に関心が行った余りに、いずれ発生するから地域での対応も必要なんだというメッセージが伝わらなかった。

 次に行動計画とガイドラインについて。強毒の想定で社会が混乱したという批判があったが、しかし危機管理では最悪のシナリオを想定するのは当然のことだ。むしろ法や計画には弾力的に運用できるように書かれている、そこを活用するかどうかが問題。新しい感染症の場合、どのようなものか最初は分からないのが当然であり、あのような計画を作ったことは問題ないと思う。ある程度状況が分かった時点で、どういう理由でどのように弾力化したいのか明確にメッセージを出していくことが国への科せられた宿題と考えている。

 3点目に地方自治体の対応。これは大筋で合理的だったと思う。学校閉鎖がやり過ぎだという批判もあったけれど、しかし感染初期の段階で拡大を防ぐにはやり過ぎくらいやるのが合理的だ。大阪や神戸が落ち着いたように見えるのは、早期に学校閉鎖を行ったからだと私は判断している。自治体の課題としては、準備段階で国からの指示待ちになる所もあったこと。自分たちでどんどん進められることまで待っていたから、結果として発熱外来や発熱相談センターの整備が遅れたという所もあっただろう。感染症と闘う現場は地方自治体なのだから、立案、実施能力のさらなる強化が必要であり、国が財政支援を含めた援助をすることも必要だ。

 最後に医療機関の対応。当初の国からのメッセージがハッキリしなかったことも影響しただろうが、初期に一部の医療機関が診療拒否をしたのは残念なことだった。状況がハッキリしてからは医師会や学会などが発熱患者を診察するというメッセージを打ち出して改善されたが、闘う前線で診療拒否があったことは繰り返すが残念だった。

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