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新型インフルワクチン 疫学解析を 副反応検討会

 先月30日に新型インフルエンザワクチンの安全性について検討する厚生労働省の検討会が開かれた。接種後まもなくの高齢者の死亡が相次いでいることに関して、委員からは「ワクチンとは関係ない」という意見が大勢を占めたが、「関係あるとかないとか言えるだけの疫学データが示されていない」と参考人から「待った」がかかり、事務局は研究班に依頼して解析を行うと約束した。(川口恭)

 先週から今週にかけて非常に多忙で報告できていなかったが、疫学解析を行うと事務局が約束したことに関して、あまりメディアで報じられていないようなので、議論がなかったことにされないよう証拠保全的意味を込めて書いておく。

 この検討会は『薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会』と『新型インフルエンザ予防接種後副反応検討会』が合同開催されたもの。新型インフルエンザワクチン接種後の死亡例や重篤症例に関して、主なやりとりは以下の通り。

 永井英明・国立病院機構東京病院呼吸器部長(副反応検討会委員)
「季節性ワクチンに比べて死亡の報告が多い。これは報告義務があるから多いのか。というのは、新型ワクチンの死亡例が多いというイメージが流れている。因果関係のないものは排除して季節性と同じようにして数を出さないと今後ますますこの数だけ増えることにならないか」

 多屋馨子・国立感染症研究所感染症情報センター室長(副反応検討会委員)
「明らかにワクチンとの関連ないものはハッキリ分けてしまうほうが誤解を招かないのでないか」

 稲松孝思・東京都健康長寿医療センター感染症課部長(副反応検討会委員)
「報告基準が違うので同列には比較できない。基礎疾患のある人が接種されているから死亡率も高くなっていて、念のために報告というのがほとんどだろう」

 河野茂・長崎大学病院院長(参考人)
「今の薬剤に関しては関係あろうがなかろうがすべて報告することになっている。報告が来るのは当たり前で仕方ない。そして、その因果関係が本当にサイエンティフィックに結論が出るかというとなかなか難しい。たとえ関係ないと言っても、それを信用する人もいれば信用しない人もいる。それを議論しても仕方ない。問題は従来のワクチンと理屈のうえではリスクが変わるはずはなく死亡までの副反応があるとは考えられない一方でメリットはあるということだ。いわれのない罪をワクチンに着せるのはかわいそう。その辺りのメリットデメリットを世間の方とか先生方にわかりやすく提言するしかないのでないか」

 庵原敏昭・国立病院機構三重病院院長(参考人=治験実施担当医師)
「重症例の方でも明らかに因果関係のあるものはない。数字だけが勝手に走り出しては困る。公表する時にきちんと説明する必要があるのでないか」

 五十嵐隆・東京大学小児科教授
「0歳から50歳までは死亡者がいないことになっている。この年代には、どの程度の割合で打たれたのか。こちらの方が多いのでないか。そうでもないか。というのは、もし何かワクチンに原因があるのだとして、若い人にも副反応は起きるのだけれど、高齢者にだけ恐ろしいことが起きる理由を考えないといけない。そんなことはないんだと言うためにも、実際の接種割合が分かるともう少し判断できるのでないか」

 事務局
「医療従事者が最も先に行き、続いて妊婦と基礎疾患のある人という流れ。幼児と小学生には前倒し。高齢者の場合は、この中で言うと基礎疾患のある人になる。数に関しては、医療機関も忙しいので、まだ十分に捕捉できていない。その報告が出てくると、もう少し議論できるのかもしれない」

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