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「中医協の意見書」が密室で決裂、問われる国民代表

■ 「中医協はメッセージ1つ出せないのか」 ─ 邉見委員
 

─ 今回、もし診療側の意見が受け入れられた意見書になった場合、それはどのような意味を持つのか。また、意見書を提出しない結果に終わった影響について。

[邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)]
 今、(医療費を)上げようとしても財務省サイドからの圧力でいろいろと苦労されている医療関係者ですね、厚生労働省の中にもそういう方が多いと思いますし、あるいは民主党の中にもいると思います。

 一番は、医療界に対するメッセージですね。我々がこれをのんでしまって、(両論併記の)分からんような文章になったら、「何をしているんだ」と。我々の存在価値というか、中医協自体がですね、ただ集まって議論だけをしている。メッセージ1つ出せないのか。特に私たち診療側がそれをのんでしまうと、全国で一生懸命、「今度こそは」と思っている仲間を裏切ることになります。それが一番、私としては今回のめない原因です。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 邉見先生と同じことを言うような感じですが、前回改定の意見書は1号(支払)側と2号(診療)側が意見を出して、それを公益側がまとめて、「(薬価を除く診療報酬の)本体部分についてはさらなるマイナス改定を行う状況にはないということで意見の一致を見た」と書いていただきました。それによって、前回は本体部分のプラス改定があったと考えています。

平成20年度診療報酬改定について(2007年11月28日総会)
○ 我が国が厳しい財政状況にある中で、国民が安心できる生活環境を整えるためには、地域医療の確保を含め質の高い医療を効率的に提供する医療提供体制の構築と将来にわたる国民皆保険制度の堅持が不可欠であること、現下の勤務医の過酷な業務実態、とりわけ産科・小児科や救急医療等の実情等に照らして、次期診療報酬改定においては勤務医対策を重点課題として診療報酬の評価を行うべきであり、また、本体部分については更なるマイナス改定を行う状況にはないこと、一方、後発医薬品の使用促進を着実に推進すること、という基本的認識については、意見の一致を見た。
○ しかし、このような基本認識の下で、どのように平成20年度診療報酬改定に臨むべきであるか、については、次のような意見の食い違いがあった。すなわち、上述の課題について、支払側は、医療における資源配分の歪みやムダの是正による範囲内で行うべきとの意見であったのに対して、診療側は、地域医療を守るために診療報酬の大幅な引上げの実現を行うべきとの意見であった。
○ 本協議会としては、厚生労働省が、平成20年度予算編成に当たって、財源の確保に努めつつ、平成20年度診療報酬改定に係る改定率の設定について、本意見の趣旨を十分に踏まえて対応することを求めるものである。あわせて、本意見の趣旨に照らして、診療報酬のみならず、幅広い医療施策を講ずることを望むものである。
 そういうことで、(意見書は)非常に影響が大きくて、もしここで診療報酬全体での引き上げを書き込んでいただければ、内閣府で決める改定率にかなり良い影響を与えることができたんじゃないかなと私は思っています。

 それからもう1つは、意見書案にもありますように「(我が国の医療は極めて)厳しい状況」にあるので、勤務医の負担軽減などをしなくてはならないというメッセージを出しました。現場の若い先生方は非常に期待していると思います。

 そうであれば、そういうこと(勤務医の負担軽減など)をするためには当然にお金が必要ですから、診療報酬改定は引き上げになるんだろうと期待して(意見書を)読んでくださる。しかし、下(の結論部分を)見てみると、「診療報酬を引き上げる環境にはない」という支払側の意見を入れた両論併記になりますと、「本当にしてくれる気はあるのかな」という疑問を持たれるのではないか。

 私たちが両論併記を認めてしまうと、やはり勤務医、若い先生方が「中医協の代表は本気で私たちのことを思ってくれているのか」と思われるのが非常に残念なんですね。ですから、そういう方々が後ろにいるということを踏まえまして、今回は強い態度で出させていただきました。

[嘉山孝正委員(山形大学医学部長)]
 今回、中医協委員を引き受ける条件として、中医協は従来の日本の審議会のような、つまり「国民に何の益ももたらさないような存在であってはならない」という思いがありました。

 要するに、今までの審議会では日本を動かせない、アルゴリズムは変わらないということで中医協に臨んできたわけですが、結局、最後のこの調停案を見てみたら以前と何も変わっていない。アルゴリズムがちっとも変わっていないということで、我々としては完全に拒否してでも、「席を立つか」というところまで考えたわけです。そのぐらいの決意があった。

 もう1つは、地方では現在、新聞報道はありませんが医療崩壊が進んでいます。医師が増えているわけではなく、ディマンド(需要)が増えているわけですから、「また病院がなくなるんじゃないか」と不安になるのではないか。
 国民の目線から見た場合、非常に大きいんじゃないか。頑張っている政治家の方々をエンカレッジ(激励)したかったのですが、できなかったということで大変遺憾である。


【目次】
 P2 → 「中医協として改定についての意見具申は行わない」 ─ 遠藤会長
 P3 → 「公益委員は1号側の意見を採り入れた」 ─ 嘉山委員
 P4 → 「中医協はメッセージ1つ出せないのか」 ─ 邉見委員
 P5 → 「非常に悩んだ心の内を知っていただきたい」 ─ 西澤委員
 P6 → 「公益側が全部潰したということではない」 ─ 厚労省

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