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「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」 ─ 中医協公聴会で窮状を訴え

■ 「再診料引き下げは医療サービスの礎を崩壊」 ─ 開業医団体


 私は千葉県の開業医の団体であります、「千葉県保険医協会」という団体の職員であります川井と申します。本日は、千葉県千葉市からこちらのほうに来させていただきました。
 このたび、このような意見発表の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。本日は会員の先生がこちらのほうに来られませんので、会員の開業医の声をお伝えできるように意見を述べさせていただきたいと思います。

1. 診療所の再診料引き下げに反対
 今回の意見発表の募集があったときに、私は次のような意見を提出させていただきました。最初の意見発表をしていただきました(福島県医師会理事の)先生と重複するのですが、私の意見は、再診料の病院・診療所間の格差統一について、診療所を引き下げての統一に反対します。

 再診料には、医師の基本的な診療行為と医療の提供に必要な看護師、事務員等のスタッフの人件費、カルテ、基本的な診察用具、光熱費、施設の整備費等の人的・物的コストが含まれており、再診料が医療サービスの礎であることは言うまでもありません。再診料の引き下げは、この礎を崩壊させることは明らかであります。

 度重なる報酬引き下げでサービス提供体制を崩壊させた介護保険の悲劇を繰り返さないためにも、診療所の再診料引き下げはすべきではありません。以上のような意見を提出させていただきました。

 私は提出させていただきました意見の中で、「いしずえ」という言葉を使わせていただきました。漢字で書きますと基礎の「礎」になりますけれども、この「礎」という言葉には「建物の柱を乗せる土台となる石」という意味と、「物事の基礎となる大事なもの」という意味がございます。

 地域医療の礎が診療所であるのならば、その診療所を支える礎が再診料であるということは明白なことでございます。再診料の引き下げはこの礎の一部を取り除くことに他なりません。
 既にある建物の土台を少しでも取り除きましたら、その建物がすぐ不安定になるように、再診料の引き下げは診療所経営の土台を揺るがし、その動揺は地域医療全体に波及することは想像に難くないと思います。

 医療は病院だけが担っているわけではございません。初期治療はもちろん、健診、予防接種、最近では新型インフルエンザの対応など地域医療を担う診療所の存在があって成り立たっているのではないでしょうか。
 この診療所が成り立たず、病院に患者が集中する事態になれば、勤務医の負担がさらに増大します。診療所の再診料を引き下げて病院に配分したら、勤務医がさらに疲弊してしまうという本末転倒の事態を望まれていらっしゃるのでしょうか。

 介護保険は度重なる報酬切り下げでサービス提供体制が崩壊しまして、「介護崩壊」と言われておりましたが、その建て直しのために、昨年の介護報酬改定でわずかに報酬がアップいたしました。しかし、それが状況の改善につながっていないのが現状でございます。
 一度サービス提供体制が崩壊すると建て直しが困難であるという介護保険の実例を見ながら、さらに医療でも同様のことを繰り返すのは絶対に避けるべきだと思います。

 以上の点から、診療所の再診料引き下げに反対いたします。

2. 地域医療を支える中小病院に大きな影響
 もう1点、病院の改定案について意見を申し上げたいと思います。病院についての評価について今回の改定骨子案は、2008年改定に定められた施設基準に対応できた救急などの医療機関はさらに評価されたというふうに思います。

 しかし、前回改定で対応できなかった多くの中小病院は、今回も評価を特にされておりません。さらには、地域医療で急性期病院と慢性期病院の安全弁としての役割も果たしている「15対1入院基本料」病院についても引き下げが示唆されており、90日超えの「後期高齢者特定入院基本料」を一般患者にも拡大する方針が出されております。

 これらの方針が実行されれば、地域医療を支える中小病院に大きな影響を与えることは明らかです。ギリギリのところで踏ん張っている中小病院にさらに追い討ちをかける改定を実施しないよう、切にお願いする次第でございます。

3. 医療現場からの声が改定に反映されているか
 最後になりますが、この中医協公聴会につきましても一言、意見を申し上げたいと思います。実は私、この公聴会に3回、過去2回、今回で3回参加させていただいております。

 毎回、さまざまな意見が出ておりまして、(中医協委員の)先生方にも聴いていただいているのですが、この医療現場からの声が改定に反映されているかどうかというのは、少し疑問なところもございます。

 「この公聴会で意見を聴いた」という事実だけではなくて、ぜひこちらに出された声につきましても、委員の先生方に真摯にご検討いただければというふうに僭越ながら意見を述べさせていただきます。本日は、ご静聴ありがとうございました。
 

【目次】
 P2 → 県医師会理事 ─ 「診療所の再診料を下げて統一することに反対」
 P3 → 歯科開業医 ─ 「初診料・再診料の大幅な引き上げを」
 P4 → 病院薬剤師 ─ 「24年度改定で薬剤師の病棟配置に評価を」
 P5 → 訪問看護師 ─ 「日ごろから制度にとても矛盾を感じている」
 P6 → 公立病院長 ─ 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」
 P7 → 開業医団体 ─ 「再診料引き下げは医療サービスの礎を崩壊」
 P8 → 健保組合 ─ 「診療報酬の引き上げを行う環境にはない」
 P9 → 連合福島 ─ 「医療過疎が極めて深刻な事態」
 P10 → 透析患者 ─ 「先進国たる日本で医療の状況は異常」

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