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「インセンティブを大きな病院に」

4月10日のDPC評価分科会3.jpg 「インセンティブをDPC病院などの大きな病院に」―。脳梗塞や肺炎の治療など急性期医療を提供する病院を「高度な急性期病院」と「地域の一般急性期病院」などに区分するための議論が進んでいる。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定に向け、中央社会保険医療協議会(中医協)のDPC評価分科会(会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)が4月10日に開かれ、急性期病院にふさわしい機能によって診療報酬に格差を付ける「新たな機能評価係数」の候補について議論した。

 これまでの議論でしばしば意見が対立するのは、急性期病院に特有の機能とは言いにくい政策誘導的なインセンティブを含ませるかどうか―。

 同日の分科会でも、同様の議論があった。小山信彌委員(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科教授)は、後発医薬品の使用が進んでいない状況を指摘した上で、「DPC病院が中心となってイニシアティブを取りながら、後発医薬品の普及率をアップすべき」と主張。そのための手段として、後発医薬品の使用状況を診療報酬(新たな機能評価係数)で評価することを要望した。

4月10日のDPC評価分科会4.jpg 佐藤博委員(新潟大教授、医歯学総合病院薬剤部長)も、「餌と言ったら怒られるが、医師や薬剤師らが何らかの工夫をするようなインセンティブが必要だ」と同調。これらの発言に、保険局医療課の磯部総一郎・薬剤管理官は次のように答えた。

 「地域の中核病院や大病院がどのような薬を使っているかは、地域の病院に影響がある。『DPC病院(のうち特定機能病院)の方が後発医薬品を積極的に使いたくない』という調査結果が出ているのも事実なので、それをどうするか。(新たな)機能評価係数でやるのがいいのか、何らかの方策を検討しなくてはならない。ただ、出来高(DPC以外の急性期病院)との関係もあるので、医療機関や薬局での推進策を(中医協の診療報酬基本問題)小委員会などで議論しながら、その中で、DPC病院ではどういうことがあり得るのか、全体を議論しながらの問題と思っている」

西岡清分科会長(写真右).jpg 西岡分科会長は、「非常に悩ましい」と困り顔。相川直樹委員(財団法人国際医学情報センター理事長)は「本当に機能係数に入れるべきことか? 政策的に後発医薬品を推進すること、これは良いことだが、『良いことをしている』ということと、(新たな)機能評価係数との関係はどうか」と首をかしげ、新たな機能評価係数をインセンティブとして活用することに反対した。

 齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)も、「どういう意味があるのか分からないような細かい項目がたくさんドカドカと積み込まれて、身動きできない"超過積載状態の列車"みたいにならないよう、できるだけすっきりした、『これはリーズナブルだ』というスマートな美しい体系にまとめてほしい」と反対した。

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