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医師国家試験、「文科省として腰が引けている」

4月13日、「医学教育カリキュラム検討会」.jpg 「国家試験に関して、文科省として腰が引けている」―。医学教育の改善に向けた提言をまとめた文部科学省の検討会で、小川彰委員(全国医学部長病院長会議会長、岩手医科大学長)が語気を強めた。(新井裕充)

 小川委員は、「学生が臨床実習に進む前の知識の最終確認として共用試験が位置付けられている。『こういう知識を持っている学生は患者さんを診てもいい』というのが共用試験。(医師国家試験に)共用試験で出題されるような知識が出るから、"オーバーラップ"して、5、6年生の臨床実習に自主性がなくなって形骸化している。その辺をもう少し整理したらいい」と指摘した。

 医学教育の改善案を検討している文部科学省の「医学教育カリキュラム検討会」(座長=荒川正昭・新潟大名誉教授)が4月13日に開かれ、医学部の基本的な教育内容を定めた「モデル・コア・カリキュラム」の改訂などに向けた提言(意見のとりまとめ案)を大筋で了承した。

 これを受け文科省は、「大学設置基準」や「モデル・コア・カリキュラム」の見直しに向けた検討に着手し、卒業後の臨床研修制度が見直される2010年度からのスタートを目指す。

4月13日「医学教育カリキュラム検討会」5.jpg 今回の提言は、新人医師の研修制度が2010年度から大幅に見直されることに合わせ、医師免許取得前の臨床実習を強化する方針を打ち出した。
 医学生の臨床実習に必要な最低単位数として「50単位(1500時間)」を示したほか、医師国家試験が臨床能力の評価を重視したものになるよう求めている。

 同日の会合は終始和やかな雰囲気で進行し、委員らの指摘は細かな文言修正にとどまった。前回会合で、「目の前の医療崩壊だけに目を向けて、即戦力の医者だけをつくるのか」「医師不足は医学教育の問題か」などと指摘した委員らは欠席だった。提言には、「医師不足」の文言が依然として残っている。

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