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「製薬協セミナー 悲しかった」 スマイリー片木代表

1009ikakenkatagi.JPG 『卵巣がん体験者の会スマイリー』の片木美穂代表は9日、講師を務めた東大医科研病院での勉強会で、「一昨日に製薬協(日本製薬工業協会)の集まりに患者会を代表してしゃべってくれというので行ってきたが、前日に国が予算をカットしたとか会場の話題はお金の話ばかりで、患者のためという言葉が一言もなく悲しかった」と述べた。(川口恭)

 東大医科研病院の勉強会は、患者と医療者が共に学ぶというコンセプトで8月18日に第一回が開かれ、この日が2回目。片木氏は『がん患者から見たドラッグ・ラグ』というタイトルで話し、点滴ポールを横に置いた患者や看護師、医師など40人ほどが耳を傾けた。主な内容は、同じ8月に国立がんセンター中央病院で開かれた勉強会に重なるものも多かったので、そちらをご覧いただくとして、問題の発言は講演の最後に飛び出した。

1009katagisiryou.JPG 「ドラッグラグ解消には、まず今の日本の状況を国民の皆さんに知ってもらうことが必要」と最後のスライドを示した後で、「これはスライドには作れなかった」と切り出した。

 「一昨日、製薬協という製薬会社の集まりに、患者会を代表してしゃべってくれというので行ってきた。会場には400人ぐらいの製薬会社の方とか国会議員とがが来ていたのだけれど、同じく壇上にいた参加者たちから、患者は素人なんだから動いても無駄になるばかりだとか、患者会というのはお金をくれくれというおねだり団体でしょうとか言われてムカっとした。

 タイミングが、ちょうどその前日に国が未承認薬の開発支援につけていた予算760億円ぐらいを100億円だけ残してカットしたという時だったからかもしれないけれど、その時のセミナーではこんなんでは薬の開発ができないとかお金の話しか出なかった。製薬会社のテレビCMなんかでは、どこも患者のためとか言っているのに、患者が困るじゃないかという言葉が一言も出なかったのが悲しい。

 CINCA症候群という出生直後から原因不明の周期性発熱があるお子さんを持つお母さんが会場に来ていて、手を上げて発言した。この病気は日本はもちろんアメリカにも承認されている薬がなくて、ただアメリカで関節痛の薬として承認されている薬が効くかもしれないということで個人輸入して使ったら、それまで痛みで泣き叫んでいたのがスタスタ歩くようになった、と。それも1人や2人じゃなくて、そういうお子さんが大勢いるんだ、と。何とかその薬を日本でも、と涙ながらに訴えたのに対して、ある社長は『プラセボでも効く時は効くから』と言い放った。とにかく患者を小バカにしているというか、患者側困っている側の視点が全くなかった。

 困っている人の目線で考えてくれる人が多い、そんな日本になってくれると嬉しいなと思う」
と講演を締めくくった。会場は一瞬静まり返り、その後で大きな拍手が響いた。

 片木氏が言及した製薬協の集まりとは、7日に都内で開かれたセミナー「未承認薬・未承認適応問題の早期解決に向けて」。その前日の6日に長妻昭厚生労働大臣が、今年度補正予算に計上されていた『未承認薬等の開発支援』に関する予算753億円のうち653億円を執行停止すると明らかにしていた。セミナーの内容を伝える業界紙でも、この予算停止に反発する発言が相次いだ旨の報告がされているが、その場に患者会の代表がいたことは報じられていなかった。

 勉強会終了後に片木代表は「こういう人たちを一致団結して支えるために頑張って未承認薬問題を解決しようという趣旨で呼ばれたとばっかり思っていた。予算を削られて開発できないじゃなくて、日本版コンパッショネートユースの制度化を提言するとか、できることは他にもあるはずなのに、そういう発言は一切なかった。相談に親身になって乗ってくれたり、薬の承認のルールを教えてくれたりと、私たちの気持ちが分かる人も製薬会社には大勢いる。社長の発言に憤って後で謝ってくれた人もいた。でも経営陣や製薬会社の一般の人とは温度差があるのかな、今までいい人たちと会ってただけだったのかな、とショックだった」と話した。

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