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「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」 ─ 中医協公聴会で窮状を訴え

中医協公聴会1.jpg 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」「訪問看護はボランティア」「医療崩壊を患者自身が痛感している状況は異常」─。4月の診療報酬改定について国民から意見を聴く中医協の公聴会で、福島県内の医師や看護師、患者らが医療現場の窮状を訴えた。(新井裕充)

 診察や検査など医療行為の値段を審議する厚生労働相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は1月22日、福島市の福島県文化センターで公聴会を開いた。2006年の横浜、08年の前橋に続いて3回目。1500人を収容できる大ホールには空席が目立った。

 意見発表者は一般公募約70人の中から選ばれた9人で、遠藤会長は「意見の内容および発言者のバランス等を考慮して公益委員のほうで選ばせていただいた」と説明した。
 9人の内訳は発表順に、▽県医師会理事 ▽歯科開業医 ▽病院薬剤師 ▽訪問看護師 ▽公立病院長 ▽開業医団体の職員 ▽健保組合 ▽連合福島 ▽患者─で、診療側の意見が中心となった。

中医協公聴会3.jpg 公立病院の院長は、「全国の自治体病院の多くが国の社会保障費縮減の中で、診療報酬の引き下げ、医師不足の影響などにより経営的に極めて厳しい状況にある。本院も、最近数年間に常勤医師26名が20名に減少している」と窮状を訴えた。

 その上で、「本院が倒れれば(隣接する)郡山の医療、次の地域の医療も崩壊していき、まさにドミノ倒し的に崩壊していくことが危惧される。これ以上の地域医療の崩壊を防ぐには、第一線の医療を支える開業医も含めた病院運営が安定的に継続可能であることが絶対的な条件」として、診療所や中小病院などを含めた地域医療全体を再生する必要性を強調した。他の発表者からも、診療所の再診料引き下げに反対する声や、中小病院の評価を求める意見が出た。

 一方、会津若松市の訪問看護ステーションの看護師は「日ごろから制度にとても矛盾を感じていることが多々ある」として、4回目からの訪問看護が算定できないことなどを指摘。「必要なケアを行っているにもかかわらずタダ。訪問看護はボランティア」と声を強めた。さらに、育児との両立が難しい過酷な深夜勤務に触れ、「労働環境を整えていただきたい」と求めた。

 連合福島の執行委員をしている男性は、「福島県内でも診療科がなくなってしまった地域もある。南会津地方には産科がなく、出産ができない。会津若松まで1時間以上の時間を掛けて通院し、出産しているのが現状」と訴えた。
 28年間にわたり人工透析を受けている男性は、「福島県では地域医療の崩壊が危惧されているが、これを患者自身が痛感しているという現実が非常に大変な問題。医療の状況は異常であると言わざるを得ない」と述べた。
 
 このほか、意見発表の詳細は2ページ以下を参照。なお、公聴会の後に再診料などを議論するかが注目されたが、ほぼ終了予定時間に閉会。厚労省の職員らは足早にタクシーに乗り込んだ。


【目次】
 P2 → 県医師会理事 ─ 「診療所の再診料を下げて統一することに反対」
 P3 → 歯科開業医 ─ 「初診料・再診料の大幅な引き上げを」
 P4 → 病院薬剤師 ─ 「24年度改定で薬剤師の病棟配置に評価を」
 P5 → 訪問看護師 ─ 「日ごろから制度にとても矛盾を感じている」
 P6 → 公立病院長 ─ 「地域医療がドミノ倒し的に崩壊」
 P7 → 開業医団体 ─ 「再診料引き下げは医療サービスの礎を崩壊」
 P8 → 健保組合 ─ 「診療報酬の引き上げを行う環境にはない」
 P9 → 連合福島 ─ 「医療過疎が極めて深刻な事態」
 P10 → 透析患者 ─ 「先進国たる日本で医療の状況は異常」


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