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「二次救急はレベルがさまざま」 ─ 4000億円は地域の中核病院へ?

■ 「地域の格差が拡大する」 ─ 鈴木委員
 

[鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)]
 (地域の中核病院を評価する)「入院時医学管理加算」ですが、(秋田、和歌山のほか)私どもの茨城では取れている病院が1つもない。人口300万人の県で1つも取れないような加算、「(要件が)そのままでいいのか」ということを以前お話ししたと思いますが......。

 ▼ 「入院時医学管理加算」を算定するには、▽内科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・産科すべての診療科の入院医療提供と精神科の24時間対応 ▽24時間の救急医療提供 ▽外来縮小 ▽病院勤務医の負担軽減体制の整備 ▽全身麻酔年800件以上─など厳しい要件をクリアすることが必要。意外と知られていないかもしれないが、この算定要件は中医協で全く議論されず、医療課の専権である「通知事項」で決められた。「勤務医の負担を軽減するため」という名目で新たに評価するような点数をいろいろとつくっても、最終的には医療課の担当者が鉛筆をなめながら"勘と度胸"で決めてしまう。つまり、「中医協で診療報酬を決定する」とは言い難いのが実情。

 (今回の厚労省案は)「(要件の)緩和」ではなくて「名称変更」ということで、(厳しい要件)そのままということになってしまったのですが......。
 秋田とか和歌山とか、「入院時医学管理加算」を取れていない病院が1つもない県があったと思いますが、そのままにしておくとやはりこう......、地域の格差が拡大すると思いますので、ぜひ、「なぜ取れないのか」を調べていただいて......。

 何かこう......、代替できるものがないのか、要件によって解釈が違うことはないのか、ぜひちょっと......、何て言うんですかね、検討していただければと思うんですけど、いかがでしょうか?

 ▼ 「入院時医学管理加算」を算定している施設数は(平成19年10月1日現在)212施設、(平成21年6月1日現在)174施設。詳しくは、2009年12月18日の基本問題小委員会の資料を参照。二次医療圏別の取得状況が出ている。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 この問題は......、(これまでの議論で)「地方の病院がなかなか取りづらい」という意見が随分出ていたわけですが、事務局(保険局医療課)の原案としては「要件については従来通り」ということで、名称のみ(総合入院体制加算に)変更という形になっているわけですけれども、なぜそういうふうにしたのか、基本的な考え方がもしあればお聞かせいただきたいと思います。

 ▼ 資料の記載は次の通り。「入院時医学管理加算については、平成20年度診療報酬改定において、十分な設備等を備え、産科、小児科、精神科等を含む総合的かつ専門的な入院医療をいつでも提供できる体制を有する病院について評価するものとなったところであり、その趣旨を明確化するために名称を変更する」。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 この問題については、前回改定から今日に至るまで何度も議論がありまして、「どちらが正しい」「どちらが間違っている」ということではないのかもしれませんけれども......。
 前回改定の時の「入院時医学管理加算」の考え方というのは何度も申しておりますが、総合的に診療能力がある、しかも救急に対応できるということで、そういう病院を評価するということになっていたと思います。

 この考えというのは、必ずしもこれまで一般的に語られてきた「医療機関の分化・連携」という流れからすると、(多くの診療科がある総合的な病院は)「ちょっと違う」と思われるかもしれませんが、一方で分化と連携を進めながら、総合的に、(大学病院など高度な医療を提供する特定機能病院に準ずる)"最後の砦風"に機能していただく病院を評価する、という仕組みもあっていいだろうということで、こういうことになっております。

 それから、(前回改定後)この間に一番大きかったのは......。結局、前回(改定)ですと、「入院時医学管理加算」を算定できた施設が200を超えていたのに、特に(平成)20年の段階では「なかなかこの基準が厳しい」、あるいは「基準の意味、理解が難しい」「体制が整わない」ということがあったのかもしれませんけれども、最初の段階では(算定施設が)100(以下)とか、そういう段階にとどまっていたので、始終ご議論があったかと思います。

 ▼ 勤務医の負担軽減策について前回改定の影響などを審議した2009年5月20日の中医協総会で、邉見公雄委員(全国公私病院連盟副会長)は「平成20年度改定はほとんど影響を与えなかったのではないか。病院勤務医の負担の軽減等は悪化に歯止めすらかかっていない」と指摘。その上で「入院時医学管理加算」に触れ、「算定施設は88か所、これは四国と同じ。あまりにも少ない。(全国に)9000近くある病院のうち、88か所しか算定できないような『入院時医学管理加算』では、屁のツッパリにもならない」などと批判した。

 (算定施設の)実態としては、(改定後)1年を経過するぐらいの過程で、数だけでは前回以上の施設が届出をして認められているということですので、数だけで言うならば前回以上のものは確保できているんじゃないのかと思います。

 ▼ 算定施設数を増やすため、08年12月26日付の疑義解釈通知(その6)で「治癒」の要件を緩和したことが功を奏したのか......。

 そういう意味で、これがこのままでいいのかどうかというのはまだご議論があろうかと思いますけれども、現時点では20年(改定)の考え方を生かして、しかし、「名は体を表すように」ということで名前を(総合入院体制加算に)変えた。

 また蛇足になりますけれども、総合的な体制を取っている病院の評価と併せまして、救急医療、あるいは後方病床というのは、ある程度、役割を特化したものについては、それぞれの項目の中で......。

 今日、全部紹介できるかは別として、「相当程度の評価をする」ということにしておりますので......。「入院時医学管理加算(総合入院体制加算)が取れないから、もう病院としては全然評価がなされない」ということではなくて、個々の診療報酬の専門的な分野、特化した分野での評価の中でまたご検討いただければと思います。

 ▼ 「ほかで頑張ればいい」という意味に聞こえる。サラリーマンが査定で給料を下げられるとき、しばしばこんな説明をされる。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい、あの......、分かりました。ただ、(これまでの)議論の中ではですね、地方の中堅の病院に対する評価というものが、「前回改定で十分だったか」という意見が出ていたわけでありますから......。

 この「入院時医学管理加算」だけではなく、ほかの所(項目)も含めて、(二次救急に取り組む中小病院など)そういう所への(診療報酬上の)配慮というものがいずれ紹介があるということを前提に、何らかの(評価の)形があるのかどうかという、その辺の考え方をちょっとお聞かせいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。医療課長、どうぞ。

 ▼ 遠藤会長も中小病院への影響を心配している様子。「15対1入院基本料」を算定している病床の点数引き下げなど、全国の中小病院にとって好ましくない改定になるのだろうか。ちなみに、全国約8700病院のうち急性期の入院医療を担うDPC対象病院・準備病院は1500程度。「入院時医学管理加算」を算定できる中核病院は約200施設、大学病院など高度医療を担う特定機能病院は83施設。入院の改定財源である4000億円超の行き先をザックリ予想すれば、「20億円を200病院にばらまく」といったところか。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 今日はあの......、ザッと32ページ紹介したいうちのおおよそ3分の1ぐらいを紹介しました。(資料の)後段のほうに出てきますので......。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 分かりました。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 また、それ以外に細かなものでも、いくつか......。2ページで言いますと、入院を必要とする程度の方ということになりますが、救急だけに限定するならば、「救急医療管理加算(・乳幼児救急医療管理加算」(の引き上げ)というものも......。

[遠藤久夫会長(学習院大経済学部教授)]
 はい。そういう意味で、ここ(入院時医学管理加算)の所の要件は変えていないけれども、(救急医療に取り組む病院を評価するという)それなりの考え方は全体の中に反映されているのだというのが今のお答えだったと思います。また、個別に議論していただきたいと思いますけれども......。(邉見委員が挙手)

 邉見委員、何かありますか、はい、どうぞ。
 

【目次】
 P2 → 「平成22年度診療報酬改定の個別改定項目」を提示 ─ 厚労省
 P3 → 「医政局が認めない救命救急センターから壊れている」 ─ 嘉山委員
 P4 → 「地域の格差が拡大する」 ─ 鈴木委員
 P5 → 「総合的な入院・救急体制でも周りに受け手がない」 ─ 邉見委員
 P6 → 「地域にいろんな問題があるが割り切らざるを得ない」 ─ 白川委員
 P7 → 「二次救急はレベルがさまざま」 ─ 厚労省課長

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