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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼11 薗部友良・VPDを知って子供を守ろうの会代表(中)


村重
「だからワクチンの無過失補償みたいなものが必要なんですよね。そう思ってしまうのも人情ですし、実際に副反応や有害事象もゼロではないので。副反応があるからワクチンを打たないのではなくて、メリットの方がずっと大きいわけですから。それでもわずかだけデメリットが出てしまうので、そこを皆さんで支え合おうということなんですよね。今ある国の定期接種の補償というのは、無過失ではなくて、国の責任が推定されるから、今まで裁判で負けてきて今後も負けるだろうから、だからお金を出しましょうという、過失を前提にしています。そうではなくて、過失のありなしとは関係なく補償されることが重要ですね。過失を追及したい人は裁判に行けばいいんですけど、そうではなくて被害が出た人はちゃんとみんなで支え合いましょうということを国民が議論して、国民のコンセンサスができれば、できることだと思います」

薗部
「本当に大切なことですね。予防接種の法律や裁判の判決を知れば知るほどワクチンを接種する医師は、本当に"勇気"がある方だと思います。こんな危険を背負いながら接種しないといけないのです。我々は敵と闘うために前線にいるのに、後ろにいる指令部が我々を撃ってくるという感じですね。小児科医に限らず医師は善人が多いので、多少気づいていても接種しますが、本当に詳しく考えれば考えるほど、守られてなく、恐ろしいことです。裁判においてはワクチンを受ける子どもや患者さんが弱者で医師は強者だと言われますが、実際問題は接種医も厚労省の方も弱者ですね」

村重
「本当ですね。先生方もつらい思いをされて」

薗部
「ですので両方の弱者を救うという考えを持たないと、最終的には国民は救われないとおもいます。無過失補償、免責制度を取り入れないと、結局最後に損をするのは国民ですね。このところ理解してマスコミが上手に伝えていただきたいといつも願っています」

村重
「そうですね。今、無過失補償・免責制度がないために、定期接種と任意接種という国民には意味のない、役人の責任逃れの線引きができてしまっています。制度があれば気にせずどんどん定期接種化できるんですよね。実際アメリカでは免責制度を入れたことによって、ワクチンが安定供給されるようになったそうなので、昔アメリカでも今の日本と似たような状況があったのかなと。国民が議論してコンセンサスをつくったからこそ、アメリカ人は今ワクチンの恩恵にあずかれているのです。日本はそのプロセスがまだこれからですが、そこを乗り越えないと、世界的には進歩しているはずのワクチンの恩恵にあずかれないまま病気にかかってしまうんですね」

薗部
「先生と同じく欧米で予防接種に関心を持ってみてこられた先生方は、日本人はベネフィットの前に、まずリスクを考えるということをよく述べられていますね。もう一つ先ほどのワクチンの安全性ですが、リスクがゼロでないのは間違いのない事実です。国立三重病院名誉院長の神谷齊先生がおっしゃるように人間は雑種ですから、どんな遺伝子を持っいて、どんな反応が起こるか予測できない点があります。それはその通りなのです。ただし医療従事者の方でさえ感じるワクチンのリスクの大きさに対して本当のリスクは小さいものだということを訴えていきたいですね。実際に起こった重篤な真の副反応(アナフィラキシ-ショックなど)を見てみると、ゼラチンがワクチンから抜けたことと、疑わしい人の選別などで、実際にはそれほど多くは起こって無いとも言えます。ですが、今後もポリオの生ワクチンに限らず、色々な意味でのワクチンの改良も絶対必要です。また、診断のついていない重症免疫不全の人に生ワクチンを接種しても、実際に重症になっている人はわずかといえます。また、先天性重症複合型免疫不全(SCID)に関しては、新生児期のガスリー法の採血の血液を利用して新生児期に発見することが可能のようで,防衛医大小児科の野々山教授らが研究されております。早期導入が望まれます。また、ワクチンで脳炎が起こるという積極的なエビデンスもないのです。また接種後の発熱(麻疹を除く)や一般的な症状は、プラセボを使用した群とワクチン接種群で大きな差がないのです。それだけ今のワクチンは安全性が高いのです。このあたりの副反応の考え方や情報(エビデンス)が医学教育の中にもないので、世の中全体としてそういう情報を知って、判断材料にしていってほしいというのが、この会の一つの目的ですよね」

(つづく)

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