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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼18 古川勝久・安全保障/危機管理専門家(中)

大変長らくお待たせして、すみませんでした。古川勝久氏の2回目です。

村重
「たとえば薬がないという話がありましたけれども、薬を実際に運んでいます。東京の癌研有明病院(現・がん研有明病院)から東北大学病院へ抗がん剤を運んだんですけれども、これも医者同士のコミュニケーションでできたことです」

古川
「なるほど」

村重
「医者同士のネットワークの中で、東北大学の周辺で他の病院の機能が失われたために、東北大学の患者さんが増えて薬が足りない、という情報がありました。しかも漠然と『薬がない』だけで何となく色々な薬をいっぱい持って行くのではなくて、現地のニーズに合わせて、特定のこの薬がない、抗がん剤がないと聞いて、抗がん剤を癌研から東北大へ届けました。医者同士の話は、コミュニティの中で連絡すればある程度できることですが、搬送手段の確保が医者にとっては結構難しいんです。このケースはシビックフォースというNGOが、虎屋の羊羹を届けるトラックに空きスペースを作ってくださって、そこに抗がん剤を乗せて運びました。薬に限らず、そういう感じで、現地に入るトラックがどんどん出ている中で、実際にモノを届けたい人たち、欲しい人たち、その間のマッチングをシビックフォースがやってくださって、途中から毎日定期便を出してどんどん物資を運んでおられましたね」

古川
「なるほどね」

村重
「ちょっとずつ空きスペースに薬を詰めて 届けてほしいという、そういうマッチングも民でできてます。日本海側の病院から被災地の病院に運ぶこともしてますので、かなり何件もやってるんでしょうね。病院から病院へ薬を送るという民の動きが現に起こって、それより随分遅れてから、やっと厚労省が薬を病院同士で融通していいですよという通知が後追いで出たことは、ある意味でとても健全な当たり前の姿だと思います。そうでなければ現場のニーズは分からないわけですから。現場のニーズは現場の人間が知っている、それに一番近い人がヘルプするというのは凄く健全なことです。当たり前に被災地にとって必要なことであるならば役所が後追いで認めるのも当然だと思うんですよね。
つまり、最初から役所に期待して、通知がないからできないとか、指令が来ないから動けないと思いこんで待っていると、どんどん何日も経ってしまって、救える命も救えなくなるわけですよね。だから、民でできるものは、どんどんやっています。もちろん、民でできない部分は、軍のリソースを使えたらいいなというのはあるんですけれど」

古川
「おっしゃる通りです」

村重
「普通のバスに乗れるような、自分で歩けるくらいの軽症の患者さん、例えば透析患者さんや高齢者といった人たちは何百人規模で民間でも運んでます。これも医療者同士のコミュニケーションで実現したことです。でもやっぱり、凄く重症な患者さんを遠くへ運ぶということは、医者が持っている搬送手段の中ではあまりなかったのです。医者にとって身近な、普段の救急車やドクターヘリなど、医者だけで手配できるような搬送手段ではなくて、重症患者の医療モニタリングが必要で遠くまで運ばなければいけないとか、あるいは放射線被ばくの可能性がある地域を飛ぶとかですね、そういう自衛隊の医療部隊ならではの機能が必要な患者搬送はできなかったわけです。そこは今回、『空飛ぶICU』の相談窓口を示していただいたのでこれからできるかなと、これから選択肢の一つとして医療関係者に知っていただいて、使っていただけるかなと思います」

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