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ニュース〜医療の今がわかる

看護師のマネジメント力を引き出す 榮木・がん研有明病院副院長に聴く

榮木副院長.JPG『ロハス・メディカル』誌は、がんの手術件数日本一のがん研有明病院に、誌面制作にあたって全面的にご協力いただいております。そのがん研有明病院で4月から、榮木実枝看護部長が副院長に就任し看護部長を兼任することになりました。抱負などを聴いてきました。(川口恭)

――職掌は3月までと、どう変わりましたか。

特に変わらず、引き続き看護部を担当します。これまでも看護部の利益だけを主張してきたつもりはありませんが、そのような主張はさらにしづらくなったかなという気はしています。

――ご本人に伺うのも妙な話ですが、どういった経緯で昇進に至ったのでしょう。

多くの病院が、看護部長を副院長に登用してきていたので、院長や理事の方々は気にしていたようです。副院長になったメリットはあります。看護師を募集する際に、「この組織で働きたい」と思ってもらえるかどうかは、その組織内部で看護職がどう評価されているのかによって大きく影響されると思っています。副院長という職は、一つの目安にはなるでしょう。

私としては、看護職が人数として大きな割合を占めるから副院長をさせるということではなく、看護部長個人が組織を機能させる上で重要な役割を担っているからこそのポジションだと考えますし、他職種の方々にもそう認識してもらえるよう自覚を持ちたいと思います。そのためにも、看護職の利益だけを主張していては組織が機能しなくなる、看護職としてやるべきことはやらねばならない、と折を見て話をしていくつもりです。

――バランスが難しそうですね。

2年前に大学病院から移ってきて、看護師がとても前向きに幅広い領域で医師を助け、病院をうまく機能させていることにビックリしました。でも、そのことに当の看護師も医師も気づいていないのです。看護師は日常行っている業務が当たり前のことだと思っているし、医師の側にはカバーしてもらっているという認識がない。だから、看護師が実践している業務が専門性高く、医師の業務を相当支援しているということを医師にも看護師にも常々言うようにはしています。

看護師は、患者さんのいるほぼすべての場所に配置されていて、昔から色々な業務をこなしてきました。そういった日常業務を通じて、病院を運営していくマネジメント能力も身につけています。看護職が活躍すれば、病院の機能も発展していくという印象を持っているので、看護師たちの能力をさらに引き出していきたいと考えています。

――チーム医療の要ということでしょうか。

その通りです。医師には高い専門性が求められ、他の職種の人も自分たちの領域以外は余り見ていません。すべての職種をつないで機能させるのは看護師だと思っています。

看護部には、小さなことから重要なことまで病院全体のあらゆる情報が入ってきます。そこで浮かび上がって来た課題をどう病院全体として改善していくのか。今までだったら検討してもらえなかったものも、副院長というポジションパワーを得たことで、提案すれば受け入れてもらえるかもしれないとは期待しています。当然のことながら、現場の看護師が情報をきちんと報告してくれることが大前提です。

――最後に患者さんに伝えたいことがあれば。

2年前に看護部長に就任して以後、つくづく専門性の高い病院だと感じています。また、当院の看護師は専門性が高いだけでなく、本当に優しく、患者さんに寄り添った看護を心がけています。がんにかかった時には有明病院に来て治療したいなと思ってもらえると、お互いに幸せだと思います。

一方で、毎年新採用者等がいて経験の浅いスタッフも必ずいますので、戸惑うこともあるかもしれませんけれど、患者さんの側でも育てる意識を持っていただけると、よい循環になると思います。どのような職場でも経験の浅い者や新採用者はいるものですから、そのような職員が成長してゆく過程も見守っていただきたいと思います。

(えいき・みえ)
1971年東京大学医学部附属看護学校卒業、同附属病院に入職。92年文部省高等教育局医学教育課大学病院指導室専門職員、96年同専門員、98年東京大学医学部附属病院副看護部長、2000年山口大学医学部附属病院看護部長、2004年東京大学医学部附属病院看護部長、2010年癌研究会有明病院看護部長。

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