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谷川武・筑波大学大学院助教授インタビュー

谷川武 筑波大学大学院助教授

――先生は、睡眠時無呼吸症候群(SAS)が社会問題だと警鐘を鳴らしていらっしゃいますが、そのように考えるに至った経緯を教えてください。

 まず、世界的にSASがどのように取り扱われてきたか、ご説明します。睡眠時無呼吸(SA)は、睡眠中に10秒以上気流が停止した状態を言います。SAが特にノンレム睡眠中に30回以上反復出現するならSASと呼ぶことにしよう、と提唱されたのは1970年代のことです。現在では1時間に5回以上でSAS、20回以上なら要治療と判定されます。

 当初は即効性のある治療法がなく、精神科の一部の医師が診療していました。しかし、1981年に豪のサリバンが、鼻から陽圧空気を送り込んで上気道が狭くなるのを防ぐ「持続陽圧呼吸療法」(CPAP)で症状が改善するとランセットに報告したことから、呼吸器内科医からも注目を浴びるようになりました。


 当初は有病率が1%未満程度と見なされていたため、熱心に取り組む医師も余り多くありませんでした。しかし、93年にテリー・ヤングが、ウィスコンシン州の政府職員約1500人から、習慣的にいびきをかく約600人を抽出して調べたら、有病率が男性で4%、女性で2%に上るということで騒ぎになったのです。この結果は、ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスンに掲載されています。その後も様々な研究が行われ、おおむね有病率は1割程度、治療を要する重傷者は数%というのが、だいたい一致するところでないでしょうか。

 SASになると何が困るかですが、本人は自覚していなくても無呼吸の際に覚醒しますので、何時間寝ていようとも睡眠が足りません。よって昼間に過度な眠気を催し、事故を起こす確率が高まります。また、交感神経が夜通し亢進しているために、高血圧の原因となるほか、血糖値が上がってくるという報告もあります。また、心拍数が多くなるので心筋への負荷も高いと類推されます。突然死との関係もどうなのか、関心のあるところです。

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