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「地方ではナースの数が足りない」

坂本すが専門委員(左)と西岡清分科会長.jpg 「地方ではその病院しかなくて頑張っているのに、ドクターやナースの数が足りない」―。医師や看護職員らの不足が深刻化する中、日本看護協会(日看協)の坂本すが副会長はこのように述べ、来年の診療報酬改定で都市部と地方の格差が生じることを懸念した。(新井裕充)

 中央社会保険医療協議会(中医協)の診療報酬基本問題小委員会(委員長=遠藤久夫・学習院大教授)が4月15日に開かれ、DPC(入院費の包括払い)などを審議した。DPC病院の機能によって診療報酬に差を付ける「新たな機能評価係数」の候補について議論する中で、中医協の坂本委員は次のように述べた。

 「地方の中小病院からよく聞くのは、地方ではその病院しかなくて頑張っているのに、ドクターやナースの数が足りない。そのような状況でDPCに入っているので、(入院期間を短縮するために看護師らが多忙な)病院を駄目にしていくようなことにならないようサポートするため、(新たな機能評価係数で)評価できないか。へき地にはその病院しかない。DPCを取っている都会の病院のようにいろいろなもの(スタッフや設備など)を整えられる病院と、努力してもできない病院との関係をどのようにしていくのか」

 坂本委員はまた、院内感染の防止や医療安全を図るため、「チーム医療」を評価する必要性を指摘した。

■「重症度・看護必要度は新たな負担を現場に求めない」

DPC評価分科会委員の提案(日看協).jpg  DPCについて専門的に審議するため、中医協・基本問題小委員会の下に設置されている「DPC評価分科会)では、日看協元常任理事の嶋森好子委員(慶応義塾大看護医療学部教授)が「チーム医療の推進」を強く訴え、専門的な知識や経験のある看護師の配置を評価することを求めている。
 日看協には、看護の質向上を目的にした「資格認定制度」があり、「専門看護師」「認定看護師」などの資格がある。

 同分科会で嶋森委員は、専門的な看護師を中心とするチーム医療や手厚い看護体制を進めるため、「重症度・看護必要度による改善率」を指標とすることを要望している。

 嶋森委員が1月21日の同分科会に提出した要望書では、「必要な患者に必要な医療が提供できていない事態が様々な分野で生じており、これらの是正が必要とされている」とした上で、医師不足の問題に触れ、「既に増員する方向は決まっている。しかしこれを解決するには、まだ10年の歳月を要する。現状で解決する手立ての一つがチーム医療の推進である」と訴えている。

 チーム医療の評価について要望書は、「単に体制を評価するだけでは、患者の状態に関係なく看護師の数を集めて 7:1 入院基本料を算定したときと同じ状況になる可能性がある」とした上で、チーム医療の効果を測る指標として、患者の「重症度・看護必要度の改善率」を用いることを提案。「重症度・看護必要度は、既に導入されており、新たな負担を現場に求めるものではないので、指標としての導入は比較的容易であると考えている」と結んでいる。

【7対1入院基本料】
 入院に必要なベッド代や看護に掛かる費用などを評価する「入院基本料」の上限は、2006年度の診療報酬改定で引き上げられた。06年度改定前は、「入院患者10人に対して看護職員1人」(10対1)という看護体制が最も高い点数だったが、「急性期入院医療を適正に評価する」という観点から、日看協の強い要望を受け入れて、「7対1入院基本料」を創設した。
 これにより、入院患者1人につき、「10対1入院基本料」と2860円の差が生じた(06年改定時)。これを400床の病院の場合で単純計算すると、1か月(31日)当たり3546万4000円となり、年間4億円を超える増収になる病院もあるため、看護師の獲得競争が過熱。国立大病院の医師や看護部長らが全国の看護師養成校を訪問する"全国行脚"などが話題になった。
 「7対1入院基本料」の創設をめぐっては、資金やブランド力のある都市部の病院が新卒看護師の大量採用に走り、地方の看護師不足が深刻化したことなどを批判する声もあった。
 このため08年度改定では、「7対1入院基本料」の要件に看護必要度や医師の配置要件などが加わったほか、「10対1入院基本料」の点数が引き上げられ、両者の点数格差が縮まった。「7対1入院基本料」の基準は中小病院でもクリアできるものだったが、次の10年度改定で基準が厳格化されるのではないかを懸念する声もある。

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