どうなる医療事故調
そんな訳の分からない話になるならば、チャブ台を引っくり返してしまえという勇ましい意見もありそうだ。大野病院事件を経て、警察・検察もかつてのようには傍若無人に医療に踏み込んでくることはなくなった。だったら、慌てて事故調を作らなくてもよいのでないか、と。かく言う私も個人的には、まずは現行法制をベースに、その運用を皆できちんと監視していく方が合理的だと思っている。
しかし、そうは問屋が卸さない。今回の法制化の動きが、日本医学会傘下主要19学会による共同声明を受け、厚労省が一肌脱いで始まったという形になっていることを忘れてはならない。このような声明を出すこと自体、医療界が自ら社会に向きあわず対応を官僚に丸投げした非常に横着なことと思う。しかし、それは未だに生きている。声明を撤回して、関与した学会トップが総退陣するのでもない限り、医療界はそんなものを頼んでいないなどという虫のいい話は通らない。
医療界は、事故調の成立とその円滑な運営とに協力する責任がある。
もし大綱案が通ったら困ると思っているのならば、この猶予期間の間に、どうしても譲れない点は何なのか医療界の中でコンセンサスを固めて、大綱案から切り分けておく必要はあるだろう。
医療事故調の議論が錯綜している原因を突き詰めれば、同時に満たすことのできない複数の目標を1つの委員会で実現しようとしていることに行きつく。その目的は、井上清成弁護士によれば、患者遺族側の精神的側面と経済的側面、医療者側の過去を清算する側面と将来を志向する側面の4つに大別できる。
この中のどの目的に沿った事故調ならば認めるのか、運営に協力するのか、今のうちに考えておいた方がよい。
川口さま
>しかし与党が勝った場合には、恐らく参院民主党が割れ、民主党の対案も雲散霧消する。
参院民主党が割れますか。私は自民党の方が割れる可能性が大だとばかり思っていたので意外な感じがします。もう少し詳しくその説明を伺うことなどは可能でしょうか?
>KHPN様
政界再編には「大義名分」が要ります。
大義名分として一番強いのは「国民の選択」「選挙民の選択」というヤツでして
政治の安定と速やかな政策実行を求めるうえからも
衆参のねじれを解消したいという力学は相当ありますので
第一党を取った方が再編の主導権を握って、ねじれ解消に向かうと思われます。
川口さま
本論の医療事故調の話とはだいぶずれて恐縮ですが
>衆参のねじれを解消したいという力学は相当ありますので
>第一党を取った方が再編の主導権を握って、ねじれ解消に向かうと思われます
仰ったのはあくまで一般論ですね。行動的な川口さまが、各議員にインタビューして独自に掴んだ感触かと思いましたのでお聞きしました。
しかし、参院が割れるとする場合、比例区で当選した議員は、その議員個人ではなく、あくまで彼の所属する政党に対して有権者は投票したのですから、勝ち馬に乗ろうとして所属政党を鞍替えするようなマネをすると、また妙なことになりはしないかと多少心配しますが。