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終末期の治療方針、「家族の意見がバラバラ」

■「家族の意見にばらつき」が最多

4月22日の診療報酬改定結果検証部会2.jpg 終末期の治療方針などの話し合いをする上で、医療機関が困難に感じていることとして最も多かったのは、「家族の意見にばらつきがある」46件、次いで「本人の意思確認ができないケースが多い」25件、「本人や家族に医療側の意見が理解されているか不明な場合がある」24件、「家族の希望と本人の状態像にギャップがある場合の対応」10件、「医療側と患者の家族との間が疎遠な場合の対応」6件、「回復の見込みがないことを納得してもらうこと」6件、「家族が告知を拒否する場合の対応」4件、「どの時期を終末期とするかは医師によって異なること」4件、「患者によっては精神的なダメージが大きいこと」3件―などの順だった。

 また、自由記載の形式で回答を求めたところ、医療機関から次のような意見が寄せられた。

1 患者や家族の個々の希望に合わせて、丁寧に話し合いを進めていくことは大切だが難しい。また時間もかかる。
2 本人の意思確認ができないケースがほとんどである限り、推測するしかないこと。家族がどういう選択肢があるかわからず、説明するのが大変であること。
3 24時間体制で対応などができない。
4 患者の思い、家族の考えなどの調整。
5 家族の意見がバラバラ。
6 在宅での看取りが、家庭の都合で困難、理解が全体に伝わらない。
7 急変時の対策が困難。
8 理解力の不足。
9 ・家族間での統一見解が得られない場合。・病状の変化や経済的に家族の対応が変化する。・医療側の説明が十分に理解されているか不明であることが多い。
10 高齢者の場合、臨死状態とは言いがたい時(ゆっくり終末期をむかえる)時に必要しない。又、(急変もありうるので)認知症もあることも多い。理解力も低い。
11 家族が告知を強く拒否する場合、本人が不信感を持ち、関わりが困難になるケース。
12 介護者の理解職が貧しく、くり返し説明が必要。(主な介護者以外の)家族全員の治療方針が
統一しておらず、状態悪化する度に家族会議がひらかれるなど、治療が中断してしまう。
13 回復の見込みがないことを納得していただくこと。
14 家人(患者の)の考えが一致しない時。
15 ▽具体的な日付までは不明な為、経過をみているうちに変更になることがあること。▽身近な親族と話し合いができても、遠い親族がきて、話し合いの内容が変更となることがある。
16 本人(患者)の理解を得られることが難しい。認知症、難聴などの合併を有する人が多く、又、がん末期の場合、本人に告知することもありません。
17 当院は、重症心身障害児施設であり、患者自身に対する話し合いは困難である(言語の理解が困難)。話し合いは専ら保護者・家族に対するものとなる。保護者等は一般的に話し合いに理解を示している(数は全く少ないが)。
18 家族の理解力が乏しい場合(今回2 人は問題なし)。
19 本人が認知症のため、意思確認が困難。
20 疾患や状態に対する理解が家族、本人では困難な事が多い。何時間、何回説明しても困難な方も非常に多い。
21 本人の意思の確認はほとんどの例で不可能であり、家族も、同居している人と、遠方に住み、終末期のみ帰ってくる人では意見が異なる事が多い。話し合いを誰と行い、誰の意向を尊重するべきか。
22 しいてあげれば時間の調整。
23 家族の来院が困難の場合、延命の有無等の確認が難しい。
24 ▽家族の中で意見が違う場合(ペインコントロールや、最後の看取り方など)。▽定期的にメンバーがまとまって時間をとるのが難しい(特に医師)。
25 精神的に弱い患者さんに説明すると体調が悪くなることが多いので、患者さんによってある程
度わけて行っている。
26 終末期の方向性は本人の意向より家族の事情に左右されることが多く、両者の意見を合わせるのが困難である。
27 当院は本人の意思確認が困難なものが大半。基準では家族の意思での代用は不可と解釈される......?
28 家族全員の意見の統一。
29 もし急変した場合に、どのような処置をどこまで行うのかということが患者さんの家族全員に伝えるのが難しい(家族によって意見が違う場合があるため)。
30 患者の責任者(家族、親族)内で意見がくい違う事があり、対応が困難な場合がある⇒延命措置を希望しないといったり、転院を希望したりで、意見が統一されていない事がある。
31 患者本人の意見をしっかり把握する事。
32 終末期であることを本人に話すのは、本人の精神的ダメージが大きいので主として家族とのみ話し合いをしている。
33 医師・看護師間での感覚のギャップを充足しながら連携につなげるのに労力を費やすことがある。
34 ▽病状に対する理解が難しい場合において今後の生活の場所を検討していくにあたって、繰り返しの説明が必要である点。
  ▽本人の意向は自宅退院であるが、看護・介護の問題で病院で最後を迎えられることとなる状況。
35 当院では終末期に限らず入院時に、当院で対応できない場合の緊急搬送先の希望の有無や、急変時の対応の確認、終末期になった場合、当院でどの程度まで対応できるかの話を全ての入院患者に対して実施していますが、たいていの場合、終末期の治療法等の話をすると、怒り出すことがほとんどです。我々、医療従事者が、一般的に認められている医学的知見に基づき回復を見込むことが難しいと判断したとしても、患者様や家族等が、そのことに対して、心の準備というか現実を受け止められないケースがほとんどです。終末期の診療方針の話し合いを実施するうえで、終末期という現実を受け入れる心の準備が、本人や家族にできていない場合が一番困難であり、話し合いにならないケースが多いことです。また、キーパーソンになる家族と話し合う機会は多いのですが、日ごろ病院に訪れない、身内・親族が多く、死期が切迫している状態になって、初めて病院を訪れ、これまでの話し合いの経過を無視し、合意内容を一から構築し直すことが多く、そういった切迫した状況では、時間が足りないのが現実で、困難を極めています。
36 入院のとき、当院の医療の程度(治療可能な範囲)を説明しているが、家族の理解要求の変化や、家族間での対立などにより、転院となる時、困難な事がある。
37 家族の希望する治療と患者の状態との落差。
38 家族の統一した意見が得られない。
39 終末期の定義が不明確。特に癌再発患者に関しては常時終末期をも想定して診療を行っている。
40 本人、配偶者、家族との終末期に対する考えが異なることが多い。訪問看護しと医師との死生観の相違も、多々存在することもあり、方針決定が定まらないことがある。
41 本人の死後の事(遺言、財産分与)まで持ち込まれた場合、話し合いがスムーズに行かず進行に困った。
42 ▽患者に告知を希望しない家族が多いため、対応に苦慮する。▽終末期を在宅で迎えることが、まだ少ないために、患者本人との思いのくい違いが見られることがある(外泊的場合も同じような状況がある)。
43 ・家族の間で意見がわかれる。・家族、医療者間で日時の設定。・理解力が不充分な場合のフォロー。・希望にあった治療が、自病院でできないとき。
44 10月以降現在まで患者様本人の同席は2例あったが、なかなか同席が難しい。
45 ▽入院時に終末期を迎えることになった場合を想定し、お話をしているが、突然なことでご家族様はキョトーンとされ、考えが伴わないことがある。▽度々の話し合いで家族間で考えがくい違う場合は困ります。▽化学療法の効果が期待できない場合、治療中止等、家族の納得が得られない。
47 ▽患者の意志が十分わからない場合(せん妄等)に本当は何を望んでいるのかわからない。▽患者本人と家族の意向がくい違っている▽患者・家族・医療スタッフとも死生観をきちんと持っていない。▽医療スタッフと患者・家族との状態把握について認識に差がある。▽本人や家族がまだ決意できない時は何度も話し合いを行わなければならない。動揺も大きく不安を助長させてしまう可能性も大きいことから早い時期からの説明が必要。
48 当院は高齢者の認知症専門病院であり、入院時に家族と終末期の対応や診療について説明し、一応方針を話し合っている。この時はまだ終末期ではないので具体的な方針は決めかねないという問題がある。もちろん、終末期になった場合には改めて話し合い方針を決定している。
49 ▽経口摂取ができなくなり、栄養補給の方法として、胃瘻増設をした場合の療養の場が制限され、選択肢が限定される(家庭でも特養でも受け入れなくなる傾向)。▽核家族・家長制の崩壊で、在宅で療養できない。
50 重度の意識障害等の症状により、患者本人が終末期の話し合いに参加が困難な場合がほとんどであり、家族の意向を反映せざるをえない状況である。

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