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勤務医対策で、「ドクターフィー」を導入か (上)

■入院基本料は非常に複雑

厚生労働省.jpg 患者を診察した医療機関に支払われる診療報酬は主に、レストランのチャージ料に当たる「基本診療料」と、オプションとして上乗せ料金になる「特掲診療料」に分かれている。
 このうち「基本診療料」は、「初・再診料」と「入院基本料」などに分類されているが、「ドクターフィー」(医療技術料)と「ホスピタルフィー」(施設管理料)との区別は明確になっていない。

 現行制度では、診療報酬はすべて医療機関に対して支払われ、医療機関は物品の購入費や医療機器のメンテナンス料などを差し引いた中から、医師や看護師らに給与を支払う。
 このため、産科や小児科など特定の診療科の点数を引き上げたとしても、医師に対するインセンティブとしての効果は期待できないとの指摘がある。前回の08年度改定をめぐる中医協の議論では、病院勤務医を優遇するために何らかのインセンティブを導入すべきとの意見が支払い側の委員から出されていた。

 こうした中、診療報酬などについて審議する厚生労働相の諮問機関「中央社会保険医療協議会」(中医協)では、2010年度の診療報酬改定に向けて、「基本診療料」の議論を開始している。
 「基本診療料」のうち、「初・再診料」については、08年度の改定で診察時間の目安が導入された「外来管理加算」を中心に議論されており、診療側の日本医師会が再三にわたって見直しを求めている。
 日医の主張に対して支払い側の対馬忠明委員(健保連専務理事)が反発するという構図は、診療所の再診料引き下げをめぐって議論した08年度改定前から続いており、昨年4月の改定後は外来管理加算をめぐって同様の攻防が繰り返されている。

 一方、次期改定に向けて「入院基本料」などについて初めて審議した4月15日の中医協・基本問題小委員会では、「ドクターフィー」の導入が話題に上がった。同日、厚労省は08年度改定後の審議会の報告書の中から、入院医療費に関係する部分を紹介。特に、「救急医療の充実」「ドクターフィー」「精神障害者の地域移行」などを挙げた。

 質疑で、藤原淳委員(日本医師会常任理事)が「公式には『ドクターフィー』は使われていないし、現存しないんじゃないか」と厚労省の考えをただした。保険局医療課の佐藤敏信課長は、それぞれの検討会で「(医師に対する診療報酬の)『直接支払い』のことについて議論した訳ではないように思う」と回答した。
 これに対し、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)は、現行の入院基本料について「非常に複雑だ」とした上で、「入院基本料に何が含まれているのか、資料を整理してほしい」と要望。「ドクターフィー」の導入に向けた議論を視野に入れている。

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