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介護職の処遇調査、10月に約6万人に実施―厚労省介護給付費分科会

 厚生労働省は5月18日、社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会(座長=田中滋・慶応義塾大教授)の第2回会合を開催し、今年10月に実施する介護職員の処遇改善状況に関する調査の詳細項目を大筋で取り決めた。特別養護老人ホームや訪問介護事業所など約6000の事業所で働く、介護職員や看護職員など約6万3000人が対象になる予定だ。(熊田梨恵)
 

 この調査は、介護職員の処遇改善などを目的に3%のプラス改定を果たした2009年度介護報酬改定の内容が、実際に個人の処遇に反映されているかどうかを検証するためのもの。政府は当初、介護職員の給与を月2万円増やすとしていたが、介護事業者の運転資金などに回されて給与の増額につながっていないと言われている。この調査で事業所の賃金の改善状況などについて実態把握し、次回の介護報酬改定につなげていく考えだ。
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 調査は10月1日の開始を予定している。対象となるのは、▽介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)▽介護老人保健施設▽介護療養型医療施設▽訪問介護事業所▽通所介護事業所▽認知症対応型共同生活介護事業所(グループホーム)―の6種類の事業所の中から無作為に抽出する5969施設。これらの施設の中で働く▽介護職員▽看護職員▽相談員、サービス提供責任者▽介護支援専門員▽理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などリハビリスタッフ―など、合計6万2814人が対象になる見込みだ。
 
 調査項目は、事業所や施設を対象にしたものと、職員を対象にしたものとに分かれる。
 事業所や施設には、給与の引き上げや手当、教育など職員の処遇状況、収支状況、今回の改定で新設した人員配置に関する加算の取得状況、サービス利用者数などを聞く。
 職員には、勤続年数や勤務形態、労働時間や資格の取得状況、基本給や一時金の額などを尋ねる。
 
 また、今年度の補正予算で設置する予定の「介護職員処遇改善交付金(仮称)」が介護職員の賃金に影響することが予想されるため、この調査とは別に実態把握していく方針も示した。
 
 この日は、全国老人福祉施設協議会や日本慢性期医療協会など6つの団体から調査内容に対する意見を聞いた。各団体は、調査だけでなく報酬改定に関する感想も報告し、今回の介護報酬改定が実際には処遇改善に結びついていないという意見や、他の職種との兼ね合いから介護職だけ給料を上げるのは難しいとする意見などを挙げた。
 
 事務局は委員や団体から挙がった調査項目に対する要望などを反映し、次回の介護給付費分科会に報告するとした。
 
 
■介護事業概況調査、1年分の決算額を対象に
 また事務局は、介護事業経営概況・実態調査の概況調査について、一年分の決算額を対象にすることにし、通常より3か月早い2010年7月に調査を実施することも提案した。
 
 介護事業経営概況・実態調査は、介護報酬改定前に介護サービス費用など事業所の経営実態を把握するために行う調査。診療報酬改定でいう「医療経済実態調査」に相当する。報酬改定の大枠をつくるために事業の実施状況や収支などを調べる概況調査と、報酬設定に必要な細かいデータを得るための実態調査の2種類がある。2009年度改定では、08年4月に約2万4000施設を対象に実態調査を、07年10月には約4800施設に概況調査を行っていた。
  
 事務局は調査について、事業所が毎月の収支状況を把握していない場合があることや、調査項目が多く記載が難しいことなどから、有効回答率が低くなっていることが問題だと指摘。これまでの概況調査は調査前の9月の一月分の収支を調査していたが、一年(度)分の決算額に変更することで、事業所の負担緩和につなげる意向を示した。事業所が決算書で提出できるようにしたり、厚労省が別に行っている介護サービス施設・事業所調査など既存の情報を使ってデータ分析に役立てたりすることを提案した。
 実態調査は通常のスケジュールに沿い、2011年4月の実施を予定しているとした。
 
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