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介護報酬改定の基礎調査、把握方法変更へ

 「少々気が早いですけれども」―。厚生労働省老健局の鈴木康裕老人保健課長は、社会保障審議会介護給付費分科会調査実施委員会(座長=田中滋・慶応義塾大教授)に対し、介護報酬改定前に実施している介護事業経営概況調査について、月単位の収支把握から、年単位に変更することを提案した。介護報酬改定の大元となる基礎データの調査方法が、大きく変わろうとしている。(熊田梨恵)
 

 3年ごとに行われる介護報酬改定は、各介護サービスにかかる平均費用をみながら報酬設定を行っていく。このため、厚労省は改定前に介護事業所に対して「介護事業経営概況調査」と「介護事業経営実態調査」の2種類の調査を行う。診療報酬改定の「医療経済実態調査」や「社会医療診療行為別調査」などに相当するものだ。
 
 改定前々年度の9月単月分の決算額を調査するのが「概況調査」で、全事業所から約30分の1を無作為抽出し、事業の実施状況や事業活動に関する支出を見ている。前回は4800か所に実施した。
 改定前年度の3月単月分を調べるのが「実態調査」で、こちらは全事業所から約6分の1を無作為抽出する。概況調査の内容に加えて損益計算書や貸借対照表なども調べ、詳細に分析する。前回は約2万4000か所に実施した。
 介護報酬改定は、概況調査を基に改定の大枠を作成し、実態調査で上がってくる詳細なデータを使って報酬設定を考えていく。
 
 それぞれの調査は単月分の決算額を見ているが、介護保険制度創設当時から1年単位の決算額で見てはどうかという意見もあった。特に、訪問介護系など小規模事業所では毎月の収支額を把握していない場合もあり、調査に答える事業所側の事務負担の軽減が求められていた。
 
 また、介護報酬改定について議論する介護給付費分科会では、有効回答率の低さが委員から指摘されており、調査手法の設計や検証を行う場を設定することが求められていた。 

 こうした中、5月18日に開かれた厚労省の介護給付費分科会調査実施委員会で、事務局の鈴木課長は「少し気が早いですけれども、次回の介護報酬改定に向けた調査について」と切り出し、調査の有効回答率を上げるために、概況調査のみ1年分の決算額で実施することを提案した。決算書で提出できるようにして、費用を按分するために使っている職員数などの項目は厚労省が別に行っている介護サービス施設・事業所調査など既存の情報を使い、調査記入の際の負担軽減を図るとした。このため、通常のスケジュールなら2010年10月に概況調査を行うことになるが、決算報告の時期を見計らい、前倒しで7月に実施する方針を示した。

 事務局はこれまでの調査の問題点として、法人種別で異なる会計基準に合わせて調査項目を作成していたことや、費用を按分するために使う項目が半数を占めていることなどから、調査票が40枚程度と分厚く、記入が難しく事業所側の負担になっているとした。
 このほか、今回の調査予定時期となる10年10月には介護労働者実態調査など別の調査も重なっていることも挙げた。

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