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介護職処遇改善交付金の事業所向け説明会、7月開催へ

 厚生労働省は5月28日、介護職の賃金アップを図る事業所に交付金を支給する「介護職員処遇改善交付金(仮称)」について、7月に事業所への説明会を実施し、8月にも交付金申請の受付を始めるよう、都道府県や中核市の担当者に指示した。(熊田梨恵)

 人材不足が深刻な介護職の待遇改善を図るため、厚生労働省は2009年度補正予算で介護職員の処遇向上を図る介護事業者に対して交付金を支給する「介護職員処遇改善交付金(仮称)」を設置する。賃金アップや教育・研修の充実など介護職員の処遇を改善する事業所に交付するもので、事業所の類型ごとに、介護報酬額に一定の交付率をかけた金額を毎月支給する仕組み。今年10月サービス分からの実施となり、12月支払い分の介護報酬とともに支給が始まる。
 
 この交付金を受けたい事業所は、介護職員に「処遇改善計画」を通知し、支給される交付金を上回る額を賃金や待遇の改善に当てなければならない。また、来年度以降は介護職のキャリアプラン構築など、継続して介護職の待遇改善を行っていく意思を示さなければ、交付率が減額される。
 
 
 この交付金は、政府・与党が4月10日にまとめたばかりの経済危機対策に盛り込まれた施策だったため、厚労省が5月28日に開いた全国介護保険担当課長会議で概要が明らかにされた形だ。
 
 厚労省は自治体の担当者に今後のスケジュールを提示。10月サービス分から対称になることを踏まえ、7月には介護サービス事業所に説明会を開いて申請手続きや承認要件、交付額を知らせるよう求めた。都道府県は8月には事業所からの申請の受付をスタートし、9月には交付する事業所を認定するとした。
 
 また、原則として事業所単位での申請になるが、場合によっては法人単位での申請も可能。申請は年度単位で扱われ、承認を受けられなくても再申請できるとした。交付金で増額する賃金の支払いは、月額払いでも一括払いでもよいとした。
  
■改善計画書は「賃金改善」「賃金以外の処遇改善」の2本柱
 また、申請時に提出しなければならない「処遇改善計画書」の概要も例示した。
 
 計画書は、「賃金改善について」「賃金改善以外の処遇改善について」の2本を柱に構成する。法人で一括作成したり、運営している地域やサービスごとに作成したりすることも可能とし、提出の際には一覧表の添付でよいとした。
  
 「賃金改善」に関する内容には、▽交付金の一月当たり交付見込み額▽介護職員一人当たりの賃金改善見込み額(月額)▽賃金改善の方法として、「基本給増額」や「手当の新設」など改善する給与項目や改善期間の具体的な明示▽前年度の介護職員の常勤換算総数▽前年度の介護職員に対して支払った賃金等の総額-の5項目を記載する。
  
 「賃金改善以外の処遇改善」には、人事制度の整備や昇給・昇格要件の明確化など処遇全般、資格取得のための支援など教育・研修、出産・子育て支援など職場環境に関する項目について、詳細を記入する。
 
 この計画書は職員に周知することが交付金支給の条件になっている。周知方法は、「提示、メールなどで、労使ともに了解した内容で(計画書を)提出してほしい」と求めた。 
  
 このほか、処遇改善計画書には、労働保険に加入していることが分かる書類と就業規則を添付し、規則を改正した場合はその都度提出が必要になる。
 事業所などに労働基準法違反による罰金以上の刑が課された場合、都道府県は状態が改善するまで支給を停止したり、支給済みの交付金を返還させたりすることもできるとした。
 
 また、交付金を受けた事業所が作成しなければならない「実績報告書」には、▽助成を受けた交付金の総額▽改善対象期間の介護職員の常勤換算の総数▽改善対象期間における介護職員の常勤換算総数▽改善対象期間に介護職員に支払った賃金等の総額▽介護職員一人当たりの賃金改善額(月額)▽賃金改善に充当した交付金の総額-を記載するとした。
  
■「キャリアパス要件」はポストに応じた給与水準など
 2010年度以降に一定の要件を満たさなければ交付金の減額につながる、法人や事業所内での介護職のキャリアパス構築に関しては、「介護職員についてどのようなポスト・仕事があり、そのポスト・仕事に就くために、どのような能力・資格・経験等が必要なのかを定め、それに応じた給与水準を定める」ことを要件として検討中とした。
 
 具体的な内容については、今後各サービスや事業所の特性に応じたモデルを事業者団体などと相談しながら具体化していくとした。
 

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