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ニュース〜医療の今がわかる

「薬害を防ぐのは組織でなく人」 薬害検証委インタビュー①


――舛添厚生労働大臣が、4月にPMDAの新人研修の席で「ドラッグラグをなくせ、薬害も出すな」と訓示しました。

 メディアとか世論は今まで、抗がん剤の未承認薬問題のように、ドラッグラグがあるなんてけしからん、早く承認しろだったと思います。それと薬害の問題とは、シーソーのようなもので両者のバランスを取っていくしかありません。薬害を出さない方にだけ注力すれば、どうしてもドラッグラグはできます。一方でドラッグラグを完全になくそうと思ったら、極端には、米国が承認した時に一緒に承認してしまえばラグはほぼなくなります。その場合、薬害を出すなと言われても困ります。

 先ほども言ったように、患者保護のために、事前に可能な限り情報を集めて、現場に知らせておくことが欠かせません。事前情報として、たとえラグができるにしても、きちんと治験もやっていくべきだと思います。企業が日本で治験をしない、できないのはビジネス上の問題であって、欧米と同時に治験を始めればラグができることすらありません。これをどうやって実現するかが現在の課題のひとつだと思います。

 治験でリスクは全部分からないんだから、市販後調査だけでいいじゃないかという意見もあります。たしかに治験だけで全ては分からない。だからといって、やめてしまえというのは極論です。現実に、やってみたら、どうも海外と違いそうだということがあります。こういうことが起きるかもしれないという事前の注意喚起があるのとないのとでは、実際の診療で患者さんを守ることや、市販後調査の精度に大きな違いが出ます。

 この検討会で、本当は薬害防止のため、治験がどうあるべきかの議論があってもよいと思うのですが、被験者の権利保護というような観点に終始してしまっています。治験をやらないでいると、薬を開発するノウハウが失われます。自国では薬が作れないということです。他の国からニセ薬を売られた時の安全保障というか、薬害防止にも密接に絡む話なんですけどね。

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