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中央社会保険医療協議会(中医協)―09年度第8回(7月8日)

■ 「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」について
 

[遠藤久夫委員長(中医協会長、学習院大経済学部教授)]
 では、「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」について議論としたい。本日は、同分科会の池上分科会長にお越しいただいている。どうも、長い間お待たせしました。

 本日は、池上分科会長から同分科会での議論の状況についてご報告をいただき、それを踏まえて皆さんと議論していきたい。では、池上分科会長、よろしくお願いいたします。

[池上直己分科会長(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)]
 「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」の分科会長である池上でございます。お手元の資料の「診─3」(平成21年度慢性期入院医療の包括評価調査分科会の進め方について)をご覧いただきたい。これを読み上げさせていただく。

1. 背景
 〇 平成15年3月に閣議決定された「医療保険制度体系及び診療報酬体系に関する基本方針について」において、慢性期入院医療については「病態、日常生活動作能力(ADL)、看護の必要度等に応じた包括評価を進めるとともに、介護保険との役割分担の明確化を図る」とされた。
 ○ これを受けて、平成15年6月より中医協・基本問題小委員会において慢性期入院医療に関する議論が開始された。その際、長期の入院患者に対する新たな支払方式を検討するに当たって適切な調査データを用いる必要があるとされたことから、新たに調査専門組織を設置することとなり、当分科会が発足した。

 ○ 当分科会は、(中医協)基本問題小委員会の付託を受けて、平成15年から17年にかけて慢性期入院医療の包括評価を行うための調査および検討を行った。

 ○ そうした検討を実施していた平成17年に医療制度改革に関する議論が開始された。同年12月に発表された医療制度改革大綱において、「慢性期入院医療等の効率化の余地があると思われる領域については、適正化を図る」とされ、医療と介護の機能分化を推進する観点から療養病床を転換・再編するとの方針が打ち出された。
 また、後述の通り、平成18年度医療制度改革関連法において、介護療養型医療施設が平成24年3月末までに介護保険施設等に転換されることとなった。

 ○ 当分科会が調査データに基づいて提案した医療区分等による患者分類は、平成18年度の診療報酬改定における包括支払制度の導入に当たって採用されたものの、医療区分1に関しては入院医療を必要としないという政策的判断がなされ、診療報酬についても十分にはコストが評価されていない点数が設定された。
 このことについて各委員からは、「当分科会の調査結果が適切に活用されなかったのではないか」という疑間の声が上がった。そこで分科会長は、こうした声を分科会の総意として基本問題小委員会に報告した。

 ○ その後、平成18年から19年にかけて、当分科会は改めて実態調査を実施し、この9区分の患者分類自体は妥当であることを再確認した。

2. 平成21年度第1回分科会(5月27日)における指摘事項
 分科会委員からの指摘事項でございます。

 ○ 分科会としての最後の開催である平成19年6月以来、当分科会は約2年間、開催されなかった。この間、療養病床再編に関する全国目標数の発表や介護報酬改定、急性期における平均在院日数の急激な短縮など、慢性期入院医療を取り巻く状況が大きく変化した。

 ○ 急性期医療における平均在院日数の短縮傾向に伴い、慢性期医療を必要とする患者が増加するのではないか。

 ○ 同様に、介護保険施設において、医療処置を要する入居者が増加している。これらの方々を今後どこで受け止めていくのか。

 ○ 一般病床にも、療養病床と同様の慢性期の患者が入院している実態があるのではないか。

 以上の議論を通じて、当分科会においても、「単に、医療療養病床における包括評価としての患者分類を提案し、その妥当性等を検証するだけでなく、一般病床等との関係を含め、慢性期医療にかかわる中・長期的な課題についても幅広く議論すべきではないか.」という点で意見の一致を見た。

3. 分科会としての提案
 分科会としてのご提案でございます。

 分科会では、まず、本来の役割である患者分類の妥当性の検証とともに、各医療機関における分類の適切性および提供されている医療サービスの質の検証を行う。

 その上で、中・長期的な課題として、医療療養病床に留まらず、慢性期医療全体を横断的に把握し、こうした実態を踏まえて議論し、その結果を(中医協)基本問題小委員会に報告することとしたい。

 以上でございます。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい、ありがとうございます。これまでの分科会の議論を簡潔にご説明いただき、同時に「提案」というものがなされている。「提案」の1つは、調査。「従来通りの」と言うか、いわゆる「患者分類の妥当性の検証」、および「医療サービスの質の検証」というもの。

 さらに、それに加えて医療療養病床に留まらず、慢性期医療全体を横断的に把握し、こうした実態を踏まえて議論して、それを(中医協・基本問題小委員会に)報告したいということ。

 まず、調査専門組織なので基本問題小委員会の付託で調査・分析が行われるということなので、この提案の中にある「患者分類の妥当性の検証」、および「医療サービスの質の検証」ということについては、基本問題小委員会として調査・分析をお願いするという考えでよろしいだろうか?

 (反対意見なく、了承)

 では、その点(調査・分析)についてよろしくお願いいたします。

 次は「中・長期的な課題」で、医療療養病床に留まらず、慢性期医療全体を横断的に把握し、そうした実態を踏まえて議論するというようなこと。ちょっと、具体的によく分からないところがあるが、これについて、「どのような対応を取るか」ということがあると思うので、ご意見、ご質問を承りたいと思う。

 西澤委員、どうぞ。

[西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)]
 今、座長(遠藤委員長)がおっしゃったように、イメージとしていま1つ分からないところがある。「慢性期医療全体」と書いてある。この「慢性期医療全体」というのを、もう少し具体的に説明していただきたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 池上先生、お願いします。

[池上分科会長]
 ただ今、ご報告した(資料)「診─3」の2の所に、「指摘事項」としてある。上から4つ目の丸。「一般病床にも、療養病床と同様の慢性期の患者が入院している実態があるのではないか」というのが大きな点。

 「一般病床」の中にもいろいろな機能があるが、この中で、「医療療養病床」に機能が近い所を中心として(議論を)行うということが、1点あるのではないか。

 それから、もう1点については、上の丸の「介護保険施設において、医療処置を要する入居者が増加している」。これをどのようにとらえていくべきか、今後、分科会で議論する課題にできればしたいと考えているが......。

 いわば、「医療療養病床」の周辺の所を中心として調査・分析したい。例えば精神病床は慢性期だが、そこを調査する意図はない。あくまでも「医療療養病床」に近接する所を調査しないと、「医療療養病床」も若干減っているし、また急性期医療、一般病床における状況も変化しているわけなので、そこの実態も踏まえて、「医療療養病床」の今後の在り方を、調査を介して明らかにしていきたいと考えている。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。かなり具体的なイメージが沸いたが......、西澤委員、どうぞ。

[西澤委員(全日病会長)]
 ありがとうございました。調査対象として、「療養病床」だけではなく、「一般病床」、それから「介護保健施設」まで及ぶということは分かったが、この「慢性期医療」という言葉。

 中医協でも、「急性期医療」と「慢性期医療」の定義は、あまりはっきりしていなかったと思うが、それも含めて分科会で議論していただけると考えてよろしいだろうか?

[池上分科会長]
 「慢性期医療」と言った場合、分科会の名称が「慢性期入院医療(の包括評価調査分科会)」となっているので、慢性疾患の外来での管理ということは対象ではないと個人的には考えている。

 ただ、「介護保険施設」の中には、「外来扱い」という位置付けもあるので、そこになると微妙だが、基本は「慢性期」の中の「入院医療」ということに限定して考えている。

 では、「急性期」と「慢性期」はどこで線を引くのか、あるいは「亜急性期」がその(急性期と慢性期の)中のどちらに位置付けるのか、などの問題について、もしお許しいただけるのならば分科会で検討させていただきたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。ほかに、ご質問、ご意見はございますか? もし、ないようであれば......、あ、対馬委員、どうぞ。

[対馬忠明委員(健保連専務理事)]
 質問というより、意見に近いかもしれない。「医療療養病床」の定義とか、「慢性期医療全体」の定義の問題とかかわるかもしれないが、基本的には、この(分科会の)提案でよろしいと思うが、最終的にはかなり広範な分野なり、実際に転棟している場ともかかわると思う。

 例えば中医協は当然そうだが、それ以外にも(中医協上部の)社会保障審議会の医療部会、医療保険部会にもかかわってくるので、できれば、「(同分科会で)まとめて答えを出したのでそれを報告する」というよりは、(基本問題小委員会の下部組織である同分科会では)"もう少し柔らかい段階"で、中医協にお出しいただければありがたいかなと、こう思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 本日、特に池上分科会長からご指摘はなかったが、これ(分科会としての提案)を読む限り、解釈の仕方によっては、「ある種の政策提言につながるようなことをされるのかな」というイメージも沸くので、恐らくその関連で、対馬委員はそうおっしゃったと思う。

 (同分科会は)基本的には(中医協下部の)「調査専門組織」なので、「政策提言のためのエビデンスを集めていただく」というのが基本ミッションなので、調査・分析した結果がある種の政策を示唆するということは当然あり得る話だが、ミッションとしては「エビデンスを集めていただく」ということ。基本的には、対馬委員がおっしゃったような考え方でお願いするのがよろしいと思っている。

 そこで......、藤原委員、どうぞ。

[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
 今の議論の中で、「回復期リハ」とか、「亜急性(期)」の問題について、これまでの中医協の議論の中で、これ(亜急性期)は慢性期に入るのか、急性期に入るのか、その議論はあまりされていないのだろうか?

 要するに、「これ(亜急性期)は慢性期でやってもいいよ」という結論が出るなら、そういったことを今、決めた方がいいのではないか。あるいは分科会でもうちょっと煮詰めたものを(基本問題小委員会に)上げてもらうとか、そこをきちんとしておいた方がいい。

 ▼ 「亜急性期」へのDPC導入が検討されているとの噂もある。日医としては、「亜急性期=慢性期医療」とした上で、DPCの拡大に歯止めをかけたいところだろう。「亜急性期=急性期」なら、DPC評価分科会のエリアになる。医療メディアの間では、「日医は病院団体との話し合いでDPCに反対するのをやめた」との噂もあるが、それはあくまでも「声高に叫ぶことはやめた」ということ。DPCに依然として反対であることは変わらないようだ。なお、藤原委員は2008年12月3日の基本問題小委員会で、「DPC対象病院」という表現に難癖を付けている。「DPC病院ではなく、DPC病床(病棟)と言うべき」という主張。つまり、DPCの範囲を限定的にとらえる立場から、「急性期」以外の病床にDPCが拡大することを懸念したのだろう。ところで、「亜急性期」という言葉は人によってとらえ方が微妙に違うが、「急性期を過ぎた回復期の段階」「急性期と回復期リハの間」などのイメージでとらえる場合が多いかもしれない。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 これは、(分科会の)進め方の問題なので、事務局(保険局医療課)、何かあればお願いしたい。

 ▼ 込みいった議論に発展するのを避けたい様子だが......。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 分科会長と深いところまで相談したわけではないが、あくまでも「医療療養病床」を中心にして、その前後というか、入り口と出口を中心に議論いただくべきものと考えている。

 また、ご質問のあった(慢性期医療に)「亜急性期」まで含めるかは、現時点では固まっていないし、議論に出なかったと承知しているので、同分科会の議論の中で、どうしても「亜急性期や回復期リハまで検討しないと医療療養病床の話はできない」ということになれば、その時点で相談をさせていただきながら、調査が進んでいくものと思われる。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 はい。ありがとうございます。牛丸委員、どうぞ。

[牛丸聡委員(早稲田大政治経済学術院教授)]
 先ほどのご提案で、短期的なものと、中・長期的なものと2つあるということ。それで、こういう形でお願いすることになった場合に、池上分科会長としては、今後、分科会をどのようなペースで開いて、そして基本問題小委員会にどのようなペースでご報告いただけるのだろうか。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 池上分科会長、何かご意見があればどうぞ。

[池上分科会長]
 そこに述べた通り、本来の役割としての患者分類の適切性、および提供されている医療サービスの質の検証ということが中心業務なので、これは平成21年度において適宜開催して、結果が出るように持っていきたいと考えている。

 中・長期的な課題については、平成21年度に結論が出る問題とするのか、あるいは中間報告を出す問題とするのか、あるいはもっと年度をまたぐ作業になるかについては、今後、事務局(保険局医療課)および分科会の各委員の意見に従って、考えていきたいと思う。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ありがとうございます。西澤委員、手短にお願いいたします。

 ▼ 2004年度の診療報酬改定で新設された「亜急性期入院医療管理料」の背景には、全日病が提唱している「地域一般病棟」があったといわれるが、同管理料で言う「「亜急性期」は、全日病が主張する「亜急性」とはイコールでなかった。「亜急性」をめぐる議論は全日病の根幹にかかわる問題。議事を進めるため、「手短に」とくぎを刺したのかもしれない。なお、「地域一般病棟」とは、在宅や介護施設の高齢者が急性増悪した場合、大学病院のような高度な手術はできないけれども、"軽装備"の処置や手術ならできるという病院が地域にあり、そのような在宅医療の後方支援となる病院を評価すべきという考え。「在宅医療」と「急性期医療」の架け橋になるという意味で、「亜急性期」。これに対して、厚労省の言う「亜急性期」は、病期の流れに沿った分類。「超急性期」→「急性期」→「亜急性期」→「回復期リハ」→「慢性期」「在宅医療」という一連の流れの中の「亜急性期」。ただ、最近では大学病院などの特定機能病院の医療を「高度急性期」、地域の中小病院の急性期医療を「一般急性期」という言い方もするので、全日病の「亜急性期」は「一般急性期」に近いだろうか。あるいは、「地域一般病棟は、ポストアキュート(post-acute)よりも、サブアキュート(sub-acute)に近い」という言い方もできるだろう。

[西澤委員(全日病会長)]
 大体、「慢性期医療」のイメージが沸いた。「亜急性」というのは、「慢性」とは違って、「亜」が付いていても「急性」なので、こちら(亜急性期)の議論は基本問題小委員会で審議していただきたい。

 当然、慢性期分科会の中で、関連するので、そこら辺のことは絡んでくるとは思うが、「亜急性期入院医療管理料」は基本問題小委員会できちっと1回、議論させていただきたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 ご意見として、承っておく。ほかにもご意見があるかもしれないが、ただ今、分科会長から中・長期的な課題の具体的な中身についてご説明いただき、理解が進んだ。

 やはり、基本問題小委員会として分科会にお願いするということであれば、もう少し具体的な、今、冒頭でお話しされたようなことでも結構だが、もう少し具体的な内容という形で、改めて出していただいて、中・長期的な課題について、それをお願いするかどうかをここできっちり議論したいと思う。

 (分科会としての提案の)文章の中には、(中・長期的な課題として医療療養病床に留まらず慢性期医療全体を)「横断的に把握して議論する」ということしか書いてないわけで、それを補足的に分科会長が説明されたわけだが、もう1度、文章にして具体的な調査のイメージを出していただいて、改めてここで中・長期的な課題をお願いするかを議論したいと思うが、いかがだろうか?

 (反対意見なく、了承)

 よろしいだろうか。では、池上分科会長、大変申し訳ないが、具体的な中・長期的な課題について、どういうことを調査・分析するかを具体的に詰めて、またご提示いただきたいと思う。

[池上分科会長]
 承知しました。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 では、「現行の医療区分の妥当性の検証」と、「慢性期入院医療の質の評価」と、これはもう、平成22年度改定にはどうしても必要なものであるので、それをやっていただくということで、大変お世話になるが、どうぞよろしくお願いいたします。

 では池上分科会長、長時間どうもありがとうございました。では、特になければ本日の基本問題小委員会はこれにて閉会したいと思う。次回の日程等について、事務局(保険局医療課)から何かございますか?

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 7月中を予定している。また詳細が決定次第、ご連絡を差し上げたい。

[遠藤委員長(中医協会長)]
 それでは、本日の小委員会、これにて閉会したいと思う。どうもありがとうございました。(散会)

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