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産婦人科医会への事故報告、08年は350件-分娩時の母体や胎児異常など

 2008年に日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)に寄せられた、医療紛争になる可能性があると医療機関が判断した妊産婦死亡など産科関連の医療事故は350件あったことが同会のまとめで分かった。このうち同会が報告書の提出を求めたのは178件で、分娩時の母体や胎児の異常に関するケースが過半数を占めていた。(熊田梨恵)

 同会では再発予防を目的に、毎年こうしたケースを収集する「偶発事例報告事業」を行っている。国内で産婦人科を標榜する5666施設のうち、4181施設が事業に参加している。

 参加施設が扱う年間分娩件数は毎年増えており、08年は75万339件。報告事例数も事業が始まった04年の171件から増加していたが、07年の398件を最高に、08年は350件と減少に転じた。報告書提出のケースも同様に推移し、04年の116件から07年には227件にまで増えていたが、08年には178件と減少している。同会は「医療安全に対する取り組みがされるようになって、その成果が出たのではないかと推察している」と話す。

 報告書の提出が求められた178件のうち、最も多かったのは「分娩に伴う母体異常」で49件(27.5%)、次に「分娩に伴う新生児異常」で46件(25.8%)、ほかには「産婦人科手術事例」23件(12.9%)、「妊娠中の管理事例」15件(8.4%)、「人工妊娠中絶事例」、「外来診療事例」ともに10件(5.6%)など。

 妊産婦死亡(妊娠中、妊娠終了後満42日未満の死亡の合計)は22件だった。死亡原因として最も多かったのは、羊水の中の粘液が母体の血中に入って肺の毛細血管を詰まらせる「羊水塞栓症」で11件と過半数を占めた。他には弛緩出血などの「出血」4件、「脳梗塞」や「脳出血」の脳血管疾患がそれぞれ1件、「腹腔内出血」2件、「肺塞栓」1件、「子宮破裂」1件、「子宮外妊娠」1件だった。

 また、周産期死亡(妊娠満22週以降の死産、生後1週間未満の早期新生児死亡の合計)は42件あり、最も多かったのは「常位胎盤早期剥離」による分娩中の死産が9件だった。このほかに分娩中に死産したケースでは、「胎児機能不全」や「羊水塞栓」、「臍帯脱出」などが要因としてあった。新生児死亡したケースの要因には「カンガルーケア」や「前置胎盤」、「新生児仮死」などがあった。

 産婦人科手術に関する事故は23件あり、卵巣がん手術時などの「尿管損傷」4件、開腹手術時などの「小腸損傷」が4件などだった。患者が死亡したのは1件で、子宮内膜症の手術時に「イレウス、DIC(播種性血管内凝固症候群)」が起こっていた。


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