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妊産婦死亡、即時で病理解剖につなげるシステムを-来年1月に産婦人科医会が報告システム開始

 日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)は来年1月1日から、妊産婦死亡が起こった場合に現場の医師がスムーズに病理解剖につなげられるよう情報提供し、必要に応じて医会本部による原因分析や追跡調査を行う「妊産婦死亡報告システム」を始める。石渡勇常務理事は、現状では医療事故が起こった場合に「解剖せざるを得ないとなると(警察に届けて)司法解剖にゆだねることになる」と述べ、24時間対応で病理解剖につなげられるシステムにしたいと強調した。(熊田梨恵)

 このシステムは、国で産科医療の無過失補償制度が始まったことなどから、今後周産期医療に関する事故の再発防止策が必要になるとして考え出された。医療紛争になる可能性があると医療機関が判断した産婦人科関連の医療事故について、会員から同会に報告する「偶発事例報告」について、妊産婦死亡のケースに関する報告体制を強化する形だ。

 妊産婦死亡が発生した場合、会員が事故の発生を報告する「連絡票」を東京の同会本部と、会員の地域の都道府県支部に提出する。本部から会員に詳細な内容を求める「調査票」が送付され、会員は記入して送り返す。本部は調査票を都道府県支部にも送り、より詳細な調査や原因分析が必要と判断したケースについて調査を行う。

 同会は9日の記者懇談会でシステムを開始することを公表。石渡常務理事は「妊婦死亡に遭遇した場合、先生方は救命や処置で手いっぱいになると思うので、医会や支部に連絡してもらうと支援やアドバイスができる」と述べ、連絡をやり取りする際に必要な情報提供も行っていきたいとした。

 また、「分娩の場合の死亡症例を『異常死』として警察へ届ける流れも無きにしも非ずで、多くは司法解剖がされる。(司法解剖は)外表を見て死因を特定する、犯罪性があるかどうかを見るのが目的で病態や病気について詳しく検索するのは司法解剖では難しい面がある。病理は臓器、組織のレベルまで細かく検索できる」と、妊産婦死亡が起こった場合の病理解剖の必要性を強調。ただ、「病理解剖は20%に満たない」と、病理医の不足や体制の未整備が問題とした。大学病院などの場合は病理医と連携しやすいが、開業医では難しい場合もあるとして、病理解剖に対応できる施設の情報を24時間体制で提供できるようなシステムにしていく方向で検討しているとした。ただ、どの医療機関で病理解剖に対応できるかなどの把握は進んでおらず、今後のネットワーク化が課題とした。

■病理医の重要性、現状についてはこちらを参照 

 関沢明彦幹事は「(妊産婦死亡は)年間30-40という症例数と思うが、そういう症例を確実に医会に集め、再発予防について提言等を行っていけたら」と述べた。ただ、救命救急センターなどの3次救急施設で妊婦が死亡する場合もあるため、情報収集の方法に課題もあるとした。


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